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図書館で姪っ子を待つ間に読んだ作品。
タイトルが印象的だったのと、書き出しに興味をそそられて読み始めた。
内容はナチスのユダヤ人迫害の話をユダヤ人の視点で書いたもの。
生き残ることができた人たちの心の葛藤を主人公が両親の話としてインタビュアーに語る形式。
これは子供が読むための本なのかな。日本の子供にはちょっと理解しにくいかもしれない。
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この長さ(短さ)で、これだけの重いテーマを扱いながら、しっかり深いところまで描いたすばらしい作品。マイケル・フォアマンの透明感のある水彩もすばらしい。架空の音楽家であるパオロ・レヴィが、実在の人物のように感じられた。
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世界的に有名なヴァイオリニストを取材できることになった新人記者。「絶対のモーツァルトの話をしてはいけない」という注意を受けたが…
ナチスづいています。
ナチスとモーツァルト、その悲しい繋がりとは。
と、言いつつ、ハッピーエンド感のある爽やかなエンディングです。読みやすく、美しい水彩の挿絵も相まって、読後感のいい本でした。
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タイトルだけだと、ロマンスか何かのようにも思えます。原題はThe Mozart Question。やっぱり、原題の持つストレートさにはかないません。それでいて、タイトルだけでは何も中身がわからない。じゃあ、邦題は何だったらよかったのという話になりますが、やっぱり、モーツァルトはおことわりがベストかもしれません。翻訳ものの難しさよ。
お話は、とってもシンプルです。世界的に有名なヴァイオリニストに急遽インタビューをすることになった記者の回想から始まり、インタビューまで。
ヴァイオリンと音楽というロマンチックなアイテムと一緒に、ホロコーストの話を描くのは、しかもそれが実話だったからこそ、子どもにも理解しやすい。
歴史上には数々の非道徳的なことがありますが、それを子どもにどう伝えるかは大人の頭を悩ますところ。人間は、性質としてとても残虐で利己的なところがあるということと、それを表面に出していては社会では生き残れないというのが、結局のところ、普遍的なのかもしれません。世界に愛しかあふれていない子どもたちに、どうやってこの世界の不条理さを伝えるべきか。それはこういった絵本が得意とすることなのだと思います。
挿絵がとてもイギリス的で素敵。ガス室の煙しか描かれていなくて、その中でひとがどうなっていくのかなんかは、見る必要がない。だって、そのための想像力なのだから。
たとえ恐ろしいものをたくさん見せられても、やっぱり世界は愛にあふれている、と確信するためにも、汚いものに蓋をするやり方では真理にたどり着けないのかもしれません。
最近、100歳近くで亡くなられたユダヤ人ピアニストの方は、絵本のように音楽を収容所で弾いていたそうです。彼女は、「あの時、音楽がなければ誰も生きていられなかった。たとえ誰に弾かされていたとしても、私はあの時も今も、音楽を愛しているし、音楽に感謝している。私には音楽があったから、今でも胸を張って言える。私の人生は、とても良いものだったと」とおっしゃっていて、涙しました。
本棚に残しておきたい本です。
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原題は「The Mozart Question」。上司の代わりに急遽、世界的なヴァイオリニストにインタビューすることになった新米記者。上司は「モーツァルトの件についての質問だけはするな」というのだが…。モーツァルトにそんな悲しい逸話があったとは。モーツァルトが悪いわけではないのだが。ヴェニスの美しい景色を淡い色彩で描いた絵が美しい。
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著名なバイオリニストへのインタビューの形で話は進みます。彼はなぜモーツァルトを弾かないし、話題に触れることもNGとされているのか。
生い立ちに、両親のナチスの強制収容所での暮らしが関係していたのでした。
列車が到着するたびに演奏させられ、多くの人がガス室へ送られた。
その過去を忘れてはいけないというメッセージを、優しさあふれるタッチの挿絵とともに伝えてくれるお話。青がきれいでずっと見ていられます。
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こんな厳しい話がナチスにはいっぱいある。
それを掘り起こして子どもたちに伝える話にするのはすごいことだ。
ナチに利用された音楽家たちもかわいそうだが、モーツァルトも聴く度に収容所を思い出すなんて、言葉もない。
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>父はそう言うと、私がそれまでに聞いたなかでは、もっとも悲しい、そしてもっとも幸せな物語を話しだした。
相反する感情を併せたこの一文に惹かれた。
10代のころに聴講したビブリオバトルでチャンプ本になった本。アンネの日記とかアンネフランクの伝記とか小学生のころ読んでたけど、全然知らなかったなと思った。
先日日本史の教授と話した時に、現在の日本はこんな歴史の上で成り立っているということを知ってほしいと聞いた。
学生時代に歴史は点数を取るために暗記していて、自分とは関係ない「歴史」という別の世界の話な感覚だった。
当たり前なんだけど自分事なんだなあと最近思う。
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楽器が弾ける人を特別待遇するくらい(といってもひどい状況ですが)音楽の素晴らしさをわかっている人たちが、どうしてあんなに酷いことができたのでしょう。
昔も今も、悪の元凶となっている1人を、どうして止められないのでしょう。とても悔しいです。
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ユダヤ人の強制収容所で奏でられた優しいモーツァルトの響き。それを演奏していた人の苦悩が静かに語られます。柔らかな挿絵もストーリーにフィットして、イメージが膨らみ、わかりやすく簡単に読めるけど、読後にしっかり残る一冊でした。
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「ひとつの物語を話してあげよう-」世界的に有名なバイオリニストのパオロ・レヴィの秘密はかつてナチスの強制収容所でくり返された悲しい記憶とつながっていた。美しい水の都、イタリア・ヴェニスを舞台に描かれた人間のたましいふれる物語。(パオロは架空の人物)
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『ベルリンは晴れているか』で第二次世界大戦後に敗戦国として支配されたドイツで、ドイツ人でも演奏家だけは優遇されていたことを知ったことがきっかけでこの本を読んでみたくなりました。
強制収容所でユダヤ人が演奏させられていたことは知りませんでしたが、中世ヨーロッパで音楽というものがいかに重んじられ特別な役割があったか改めて思い知りました。
楽器の演奏ができることで命をつないだ音楽家たちが経験してきた辛く悲しい時間は、戦後も彼らから音楽を奪ってしまいましたが、勇気づけ再び希望を与えるのもまた音楽でした。
生きて再び出会えたユダヤ人の絆に涙がでました。