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紙の本
沖縄を考えることは、日本の未来を考えること
2011/01/01 06:08
6人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年11月に行われた沖縄知事選挙は、結局、有力候補2者が、ともに普天間飛行場県外移設を訴える中で、現職の仲井真知事が再選されることとなった。
これで1996年の普天間返還合意以降、4回の知事選ですべて自民県連などが推す保守系候補の当選となった。
仲井真知事の「偽装転向」のおかげで、すっかり沖縄の民意が見えない選挙結果となってしまった。
仲井真知事は、「自公政権下では名護市辺野古への移設を条件付きで認めてきたが、名護市の市長と市議会がそろって移設を拒否している現状を踏まえ、立候補前に「県外移設」を求める立場に転じた。(11月29日付け朝日新聞)」とあるように、選挙対策として「偽装転向」し、選挙において普天間問題が争点とされることをうまく回避させた。
仲井真知事であれば、いずれはまた条件次第で県内移設受諾の可能性が残されると考えていた民主・自民の思惑は見事に達成された。
有権者の真意はつかみがたい結果となったが、しかしこれで、ただ一つだけ間違いなく明確になったことがある。沖縄の県民に対して、普天間飛行場の存置または県内移設は絶対に認知されないということ。仲井真知事の選択した変節がそれを物語っている。
しかし、仲井真知事と善戦した伊波氏の主張には、もう一つ明確な違いがある。仲井真知事は当選確実が報じられた後の第一声でこう言った。
「米軍は沖縄のためだけにいるのではない。日本全体、東アジアのための日米安保だ。日本全国で移設先を見いだしてほしい(同 朝日新聞)」
伊波氏は、日米安保体制自体に否定的姿勢をとり、普天間航空部隊のグアム移転を訴えた。
今回の沖縄知事選は、本当はこの部分が争点になるべきであった。沖縄知事選は、単なる沖縄県だけの問題ではないことを、日本中でしっかり確認し、全国民で考えるちょうどよい機会となるはずであった。
見事に争点ぼかしに成功した仲井真知事の勝利であり、ぼかされた全国民の敗北であった。
普天間の基地をどうするか考えるに当たっては、まず、なぜ普天間に、沖縄に、日本に米軍の基地があるのかを、もう一度みんなで検証し、今後とも日本が国としてそれを受け止めていくべきか考える必要があった。
長い自民党政治のもと、基地対策振興策のアメの中で、沖縄経済は基地無しではたちいかなくなってきている。ちょうどそれは、日本全体が土建国家化し公共事業無しでは経済がたちいかなくなってきているのと全く同様である。
対沖縄政策について、今後の民主党政権に大きな発想の転換を期待することはまず無理であろう。であれば、もしかしたら、今回の沖縄知事選挙は、全国民で沖縄を考える最後の機会だったのかもしれない。
この敗北はまったくもって痛い。
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