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長男洋平くんは、最重度の心身障害。
次男ダイくんは、高機能自閉症(アスペルガー)。
三男航くんは、知的遅れのある自閉症。
三人三様の障害がある子どもを持つ佐々木夫妻。
親としては、「なぜ、うちの子が?」という思いに苦しみ続けることでしょう。
「なぜ、他の子とちがうのか」「なぜ、他の子のようにできないのか」
公園で、同じ年頃の子供たちといっしょに遊ぶことができない五歳のダイくんを連れてうちへ帰るとき、
歩きながら、手をつないだまま、ダイの手をつねったことがあった。
「ダイのせいなんだよ。ダイがみんなと仲良く遊べたら、お母さんはこんなにさびしくないのに」
その頃の志穂美さんは、他の子になんとか追いつかせようと、他の子と比べてばかりいました。
ダイの背負っているハンディがどんなにこの世の中で生きにくいか、日々、どんなにダイが努力して生きているかなんてぜんぜん知らなかった。
洋平くんも、ダイくんも、航くんも、彼らの生を必死に生きています。
でも、彼らを、異分子としてはじき出そうとする人もいます。
中学時代、特にダイをいじめていた子は勉強もスポーツも優秀だった。
「一番でなければ」と育てられた子に、ダイは価値なく見えたのだろう。
でも、その子が、その価値観のままで生きていくなら、この先、もしなんらかのトラブルで人よりうんと負ける経験をしたとき、自分を許せないと感じるのではないだろうか。
一番なんかでなくても、人は価値がある。どんな自分でもかけがえのない自分だと気づいてほしい。
強い心はもっと強い風が吹けば折れる。強い風に折れないしなやかな心を持ってほしい。
多くの経験をし、多くの人と出会い、いろんな人を受けとめることがしなやかな心を作る。
その経験のために、ダイをクラスに置いてやってほしい。
巻頭には、洋平くんの一歳の誕生日に書いた父博之さんからの手紙。
巻末には、洋平くんの二十歳の誕生日に博之さんが書いた手紙が置かれています。
この二通の手紙から、親であることの意味を深く考えさせられました。
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長男洋平は重度心身障害、二男は高機能性自閉症、三男は智恵遅れを伴う重度自閉症。
”親亡き後、ダイや航は旅行を楽しむことはできるだろうか。一生この子たちが困らないお金を残してやることはできないけれど、どんななかにも楽しみを見つける力はつけてやろう。”
という著者。
”「ダイくんはなんの問題もない」
と言ってくださる先生がいたから、おおいに期待して、全試合全校応援の高校野球地区予選を見に行ったら(ダイは応援団に入ったのだ)、どの生徒よりヘロヘロしているし、先生が心配そうにそばにつきっきりだ。なんだ、思いっきり手がかかっているじゃん・・・・と、ちょっとがっかりしながらも、「手がかかること」が「問題あること」とイコールではない学校の考えかたがうれしかった。”
とか、あれとかこれとか、際限なく引用したくなって困ります。
でもこんなに貴重な珠のような文章を書きながら、著者としては夫の後に名前を出す志穂美さん。表題紙も著者紹介も夫から。夫の博之さんは息子への二通の手紙と「はじめに」しか書いてないのに。
文章で自分と世の中をつなげようとしたのは志穂美さんでしょう。博之さんもこの本が志穂美さんの書いたものであることを承知しているでしょう。なのになぜ、志穂美さんの名を主たる著者として、先頭に書かないのでしょう。
残念です。家族の物語だからお父さんの名を先に書くというのは間違っています。本は書いた人が著者なのです
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普通とは、何か。障害も個性。一番であることにだけ、価値があるのではない。それぞれの個性を見よう。
強い心はもっと強い風が吹けば折れる。強い風でも折れない、しなやかな心を持ってほしい。
それは多くの個性を受け入れることからはじまる。
また、この本で親の無償の愛情を再確認。
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長男、寝たきりの障害者、次男、高機能自閉症、三男、重度の自閉症。そんな三人の子育てを語るエッセイ。
さん さん さん、はまだ読んでいませんが、こちらも とても判り易い話です。
おもて表紙・裏表紙にある お父さんから洋平くんへの手紙は
人のいない場所でよむべきです。もちろん中身も。
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三兄弟全員、障碍者。
私、まだ結婚してないし、子どもいないけど、子どもがいたら老後は安心、みたいな気持ちがある。
そういう感覚じゃないんだろうな。無償の愛なんだよね。この三兄弟くんたちに注がれてるのは。
お父さん、お母さんが、心が綺麗で、現実をきちんと歩んでいて、とても好感がもてる。
逆に考えるとね、こういう、お父さん、お母さんにしたのは、紛れもなく三兄弟くんたちのお陰なんでしょうね。
この家族の生活が気になる。これはどういう気持ちなんだろう。単なる好奇心なのか。。
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前回読んだ三人の障害児を育てているお母さんのエッセイ本の二冊目です。
お父さんのすごく暖かい文章も掲載されていて、これにも心打たれました。
前作を読んだときにも感じたことなのですが、
すごくユーモアに溢れた文章なんです。
子供さん一人一人の生活の中でのエピソードを交えて、楽しく書いてある。
でも読みながら、こんな風に笑って書けるようになるには沢山の辛い経験もあっただろうし、いっぱい涙を流してこられたんだろうなということが伝わってきました。
そういう、直接苦労を語らずして相手に伝わるのってほんとに素敵な書き手だなって思います。
お勧めの一冊☆