紙の本
ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)における、国際ビジネスをめぐる政治経済についてのディスカッション用ケーススタディ
2010/10/11 11:22
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の看板教授リチャード・ヴィートーの授業をAMP(Advanced Management Program)で受講した日本人との共著になるものであるが、ベースはHBSの必須講義、ヴィートー教授のBGIE(Business, Government and International Economy:ビジネス、政府と国際経済)を日本人向けにやさしく紹介したものである。
「ジャパン・ミラクル」(日本の奇跡)というケーススタディから本書が始まるのは、現在に生きる日本人ビジネスパーソンにとっては実に新鮮だ。なぜかというと、「ジャパン・ミラクル」とは、1954から1971年までの17年間も続いた、年率10%以上の高度成長期のことだが、これを「高度成長」といってしまっては。なんだか手垢のついた表現で、ああその話ですかと思わず黙殺してしまうかもしれないからだ。
しかし、これがHBSのヴィートー教授の手にかかると、現在の国際ビジネスを取り巻く環境を理解するための出発点になるのだ。これだけの長きにわたる高度成長は空前絶後であり、これほど国情と国家戦略がフィットして機能した例は他にないからだ。この「日本モデル」とその応用発展系である「シンガポール・モデル」を押さえて進める議論はアタマに入りやすい。いまやシンガポールの一人あたりGDPは日本を越えている。
この議論を皮切りに、アジアからは中国とインド、資源国からはサウジアラビア(および中東産油国)とロシア、そして欧州連合、最後に日本と米国について論じられる。なぜ日本と米国が同じカテゴリーに分類されているのか、これは直接読んで確かめてみるとよい。
本書はあくまでもディスカションの素材として捉えるべき性格のものだ。ビジネススクールの授業とは、教授の講義をありがたく拝聴するのではなく、教授が挑発し、授業参加者の発言の応酬と教授のファシリテーションぶりにこそ意味があるからだ。
残念ながらこの本は、サンデル教授による正義をめぐる「ハーバード白熱教室」のようなライブそのものではなく、それを再現するための工夫が足りないのが本書の弱点である。とはいえ、ビジネススクールの授業で使用するケーススタディの素材そのものは、日本語にしてしまえばこんなものだ、ということを知る意味では読む価値があるといえよう。
だが、これを英語で(!)ディスカッションするのは、フツーの日本人にとっては、きわめて大変な苦行ではあることは確かなことだ。自分が教授の授業に参加した日本人エグゼクティブになったと仮定して読んでみるといい。自問自答しながら読み、著者の見解を鵜呑みにせず、仮説として批判的に読めば、世界の読み方として、得るところはきわめて大きいものがあるだろう。
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出版業界では、東大とネーミングされた本が売れるとか。
この頃は、ハーバード大のなんとかという本が相次いで、出版されて
いる。
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HBRのEMBAの看板教授による、グローバル経済、国の競争戦略を概観した本。
日米欧中印シンガ、メキシコ、ロシア、サウジを各国の概要を解説している。各国の歴史背景が概観でき、非常にまとまっている。
今後の国の戦略を考える上でのベース知識として持っておきたい知見。
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■ハーバードの「世界を動かす授業」 ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方
国の舵取りの重要性を学べる良作。
国を発展させるには?
戦略が大事。
ケーススタディでその国家戦略を学ぶ本。
「ジャパンミラクル」から始まるケーススタディ。
日本人ならなぜ日本が経済成長、それも未だに世界一な急成長ぶりを成し遂げられたのか・・・
それは国、企業、人が苦労と長期戦を前程に同じビジョンに向かって進んだから。
なぜ
銀行主軸の資本で車、電子機器産業で成長したのか・・・
そして
日本参考に成功したというシンガポール。
500万の人口、島の集まりという不便な国土なのに・・・
2009年の1人当たりのGDPは37,293ドルであり、世界では第20位!!
1人の首相リー・クアンユーが40年で成長させた。
■内容紹介(by Amazon)
世界トップ企業のエリートたちがこぞって受ける、ハーバード人気NO1教授の授業を紙上公開!
国際経済をビジネスと政府の役割をまじえながら学んでいく。
教授の世界経済の見方は、それぞれの国は発展の軌道を持つと考え、大きく8つの軌道に区分している。
アジアの高度成長。
債務危機に苦しむラテンアメリカ、
アフリカのルネッサンス、
イスラム諸国の台頭、
ロシアと東欧のポストソビエトの構築、
欧州統合の試み、
巨大な借金に苦しむ超大国アメリカと日本。
そして地球規模の環境問題。
本書ではこの軌道区分をさらに発展させ、新たな切り口で世界の読み解き方を示していく。
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ビジネスエリートになるには、世界がどのような状態にあり、どう動いているかを読み取る能力が必要なのだと気づかせてくれます。
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最近よく見かける米有名大学講座の単行本の一つ。MBAの中でも更に一握りのトップエリートが受講する講座。世界経済に関する本は多いけど、ここまでわかりやすく、データに基づいた的確な分析は少ないかも。
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ハーバードがケーススタディだということが、よくわかる一冊。
日本人用に書かれた本。
一番最初に、第二次世界大戦後の日本の復興が、どれだけ
ミラクルだったかということが書いてある。
なぜ、あれだけの復興を遂げられたかを詳細に分析していて、
愛国心をそそられる内容になっている。
実は、この本を読む前に「昭和16年夏の敗戦 (猪瀬 直樹)」と
いう、第二次世界大戦の本を読んでいたので、流れとして入り
やすかったのもあって、とても面白かった。
他にも、シンガポール、中国、インド、メキシコ、南アフリカ、
サウジアラビア、ロシア、EU、アメリカが、今までどのような
戦略で国家運営してきたのか、そして今どのような問題を
抱えているかが、具体的に書かれていて、とてもわかりや
すかった。
池上彰さんの本より、世界状況については勉強できたと思う。
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他の人のレビュー
http://yaokou.cocolog-nifty.com/yaotyan/2010/09/post-01e8.html
http://honyonderu.blog28.fc2.com/blog-entry-1101.html
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代表的な新興国や先進国の現状、直面する問題等をわかりやすく解説した本。ハーバードの著名な教授による人気授業を書籍化したもの。
新聞やニュースなどで把握しているはずの各国の実情がまとめられており、新たな発見が多数あった。世界のトップビジネスマンに対する授業ということであり、今後グローバルな視点で物事を考えていく上では、有用な書籍であった。
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レビューはブログにて
http://ameblo.jp/w92-3/entry-10663012124.html
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それほど大騒ぎするような内容だろうか?と思うのだが、冷静に考えたら、『これからの「正義」の話をしよう』しかり、名門校の講義の一端を書物を通じて体験できる機会は、自分がどう感じるかはさて置き大変有難いものである。出版社に感謝。
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世界の国々を8つにカテゴライズした上で、
それぞれの代表的な国の経済の歴史を紹介しています。
・「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた時代の日本
・日本の真似して、それを発展させたシンガポール
・アジアの高度成長
・欧州統合に苦しむラテンアメリカ
・石油資源に頼り切っている中東諸国
・巨大な借金を抱えるアメリカ&近年の日本
など、世界の経済史を知ることができる興味深い本でした。
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【対象】
グローバル経済を一冊で理解したいと思う人にはうってつけ
【感想】
主要な国々(日本、シンガポール、中国、インド、メキシコ、南アフリカ・サウジアラビア・ロシア・欧州連合・米国)を例にあげ、どんな経済成長を遂げてきたかを、政治・経済の観点から端的にまとめてあり、これを読むだけで「今の各国の姿」がどのように形成されてきたかが伺える。
上記の国々が選定された理由も明確であり、この本はもっと早く読んどきたかったとおもわせる良書。
個人的には、海外のこともさることながら、日本経済について理解が深まったことがなにより有難かった。
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非常に明快。わかりやすい。
ただ、あまり新鮮なことは書いていない。
過去、現状についてはよくまとまっているし、わかりやすいのだけれど
今後、という点についてはほとんど何も語らない。
世界各国の事情を理解するには非常に有用。
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HBSの必修科目の1つであるBGIE(Business, Government and International Economy)を担当する名物教授リチャード・H・K・ヴィートー氏の本授業内容をざっくりとまとめて書籍化したもの。これをベースにcase studyを展開していくHBSの授業では一体どれほど有意義な時間を過ごすことができるのだろうか。優秀なコンポーザーの発信は事実が多く(不勉強で初めて知ったことも多いが・・・)知識の集積といえるものであるが、1冊の書籍にまとめられたものを読み終えると様々な「知恵」が盛り込まれていることに気付かされた。全てのビジネスマンは日本を取り巻く国々(その目線は誤認ではあろうが)を理解するために、必読の一冊と言えよう。
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国がどのような成長戦略をとるのか、そのことを国民は知る必要がある。国民は国家の成長に貢献しなければいけない。様々な国の成長戦略を学び考えさせられるよい本。