投稿元:
レビューを見る
端的に言えば『開眼した』ということになろうか。右も左もずーっと進めば真裏で繋がる。何となく感じてはいたけれど。
しかし、小泉純一郎がアーナーキストとは、恐れ入った。
だが、無政府自由主義はどう考えても、喧嘩になっちゃわないか?
面白い一冊だった。
投稿元:
レビューを見る
中森さんが、日本の初期(明治?)社会主義運動史をお勉強する過程にお付き合いしたって感じかな。おさらいになってちょうどよかったよ、印象悪くない。まじ『寒村自伝』とか松下竜一さんの『久さん伝』を読み返したくなったしね。
投稿元:
レビューを見る
読む前に不安あり。読み始めてそんな不安はぶっ飛んで文体の気持ちよさに酔いしれ、りんこりんとの解合以降は辛く。
投稿元:
レビューを見る
アナーキスト大杉栄の霊が乗り移った21世紀少年の物語。
アナーキーって無政府主義、ということは分かっていたけど、いまいちどんなものか分かっていなかった。大杉栄という人も。
大杉栄を学ぶ上では面白くていいと思う。
こんなにだしちゃっていいのか?というほど政治家の実名が出されていておもろい。
本当の革命が起こることに期待。
投稿元:
レビューを見る
17歳のバースディにパンクに目覚めたシンジ。
ピストルズのシドヴィシャスの霊を呼び出そうとして間違って「ナンバーワン・アナーキスト」大杉栄がシンジの頭に乗り移ってきた。
現代と過去とが交錯してハチャメチャな展開になっていくんだけど疾走感はたっぷり。
面白かったけどちょっと無茶しすぎの感もあります。シドヴィシャスは大好きだったけど大杉栄はほとんど知らなかったので興味深く読めた。
「おたく」の生みの親、中森さんの力と魂のこもった物語ですが好き嫌いがはっきりわかれる作品ですね。
投稿元:
レビューを見る
イタコに頼んでシド・ヴィシャスを呼び出そうとしたパンク少年が大正のアナーキスト大杉栄に憑依されるという、なんともアクロバティクな展開のお話。
妙に細かい描写と深みは無いが滲み出るパンク・スピリッツ。
軽妙な語り口と馬鹿馬鹿しくも生真面目に飛躍する考察が面白い。
そしてその蠢きの中に、サブカル世代がゼロ年代以降に襲われた違和感が詰まっているのだ。
80年代の「言葉」が叩きつけられるラストの「うた」はバカっぽいが感動的でもあります。
投稿元:
レビューを見る
家庭崩壊している少年の元に、日本で唯一のアナーキスト「大杉栄」が舞い降りる。
彼にとって、21世紀はどう写るのか?
また、少年・シンジの青春はどう動いていくのか?
夢も希望も無気力・脱力な少年がアナーキーになっていく様描く。
これを読んでいる最中に、RADWIMPSの『dada』がラジオから流れてきた。
ダダイズムと関係有るのかないのか分からないが、あまりのタイミングの良さに、検索してしまった。
ついでに歌もダウンロードしてしまった(笑)
一言言わせてもらえば、大杉栄は、女の敵。
ただ、好奇心旺盛な第2次成長期のような印象を受け、読んでいて、とても楽しかったです。
投稿元:
レビューを見る
セックスピストルズのアナーキーインザUKから高校生のパンクロック青春のはなしと思いきや、アナーキストの大杉栄が登場。21世紀のアナーキズムへと展開していく。坊ちゃんの時代を読んでおいてよかった。大逆事件の面々が登場。
この著者、「おたく」の命名者なんだとか。で、ペンネームは中森明菜のもじり、確かに80年代前半は強かった。
投稿元:
レビューを見る
毒気に当てられること必至の怪作。まさにタイトルどおりのアナーキーな展開で、読んでいる者の脳みそをひっかき回すに十分な作品だ。まず、驚くのは少年に取りつくという設定の「大杉栄」に関する著者の知識のべらぼうなことだ。著者はもちろんのことだけれど、担当編集者も膨大な作業をさせられたに違いない。巻末の参考文献の細かいポイント文字を見るだけで気が遠くなりそう。 著者のアイドル評論家としての知識も存分に生かされて、TVに登場する有名人たちもメッタ斬り。実名で登場させられる評論家の皆さんや文化人の方々はお気の毒さまだ。100年近く前に死んだはずの大杉栄の人間的魅力(女にもてることも含めて)と博識ぶりがたっぷりと披露され、その非業の死ゆえに「真のアナーキスト」として持ち上げられることへの苛立ちも語られる。過去何度かあった大杉ブームについて、彼がもてはやされる時代は夢が閉ざされた閉塞した時代だと看破するところには共感を覚える。 今しか通用しないポリティカルな話題や芸能人ネタもたくさん盛り込まれており、それがこの小説の賞味期限を短かくしてしまっていることが残念。最後が尻つぼみになりかけているけれど、この本のアナーキーな面白さに変わりはない。
投稿元:
レビューを見る
中森明菜の本?と間違えて手に取ったのが始まりでした。現代のパンクと100年前の大杉栄(伝説的な無政府主義者ということ、そのヒストリーを本書で知りました)の思想とをリンクする形で、我々が如何に諦めの境地に立たされているかを教えてくれる本です。軽い感じの書き出しで始まりので、ある意味新手の思想書で学生やフリーターを活動家へ引きずり込むために書かれた本だったりして。往年の中森明菜の「目」はアナーキーの目でしたよね。
投稿元:
レビューを見る
へっぽこパンクロッカーに乗移ったアナーキスト大杉栄、現代日本を斬る!ともに蘇った野枝は不思議アイドルりんこりんへ。彼らのアジは平和ボケ日本人に渇を入れてくれるか!なんだかよくわかんないけどすっごく血と知が騒ぐぜ!
投稿元:
レビューを見る
作者の中森明夫氏といえば
「おたく」という言葉の生みの親だとか
一時期、サブカルチャーのコラムニストとして
彼の名前は様々な雑誌などで目にした事がありました。
そんな氏の初純文学作品が
この「アナーキー・イン・ザ・JP」なワケですが。
はてさて、どう感想を述べたものか……
大まかなあらすじは(出版元の新潮社から抜粋)
伝説的無政府主義者・大杉栄。
その精神が、17歳パンク少年に憑依して復活した!
混沌の21世紀と、激動の明治・大正。
100年の時を超えて、
パンク少年の心とアナーキストの魂が交信する。
そして少年は動き出す。閉塞の時代を打ち破れ。
“恋”と“革命”のドラマ
だそうです。
えっと違うと思います。勘違いしちゃいます。
多少なりとも少年は動きますが、ほんの僅かです。
小指の先程も無いぐらいの少年の自我の覚醒です。
私は書評&あらすじを読んで、かなりの期待をしたのですが…
まあ、例えばベタな話しになると思われますが
小説中盤あたりから少年が目覚め、
この腐った日本で革命を起こすとか。
パンクロッカーとして覚醒のための伝道師になるとか。
まあ、そういった事を期待しつつ読みました。
しかし、この本は日本唯一のアナーキストと言われた
大杉栄の単なる解説本に過ぎません。
と、私は思う。
読んで、そうとしか感じなかったワケです。
主人公のバカでお茶目な少年や
少年を取り巻く人物達に何の意味もありません。
ただ少年がイタコ(霊媒師)的な役割で
大杉栄なる人物を描いていくのみの物語ですね。
サブカルのコラムニストが
簡単に明瞭に何も知らない人達に
アナーキーとは大杉栄とは。を
教えてくれるだけの本です。
でも、やはり、明治・大正時代の
社会主義紛争に関わった人間ドラマを
ある程度、理解していないと
分かりづらいところがあるかもしれません。
私は以前、友人から借りた谷口ジロー作
坊ちゃんの時代5部作を読んでいたので
それなりに楽しめました。
が、あの時代、大杉栄に興味のある人だけに
おすすめするだけの本であります。
だから、「小説としてどうなのよ!?」 という事です。
投稿元:
レビューを見る
まず、アナーキーありき。
世界はアナーキーより出でし。
大杉栄ばぁーんざぁーい。
そのシュプレヒコールが聞こえるか!
政府なんて壊れてしまえ。
国家なんて潰れてしまえ。
あるのはただの無政府。
アナーキーだけ。
そこにあったのは溶けた氷だけ。
投稿元:
レビューを見る
セックス・ピストルズに魅力された17才の高校生シンジがなんとかシド・ウ゛ィシャスと対面しようと、霊媒師を訪れる。しかし、何かの手違いで、シド・ウ゛ィシャスではなく、大正時代のアナーキスト大杉栄が百年の時を越え、少年の脳内に取り憑いてしまう。大杉栄が見た百年後の日本は・・・。
という荒唐無稽な小説である。話の運び方も荒っぽい。ツッコミどころが満載だ。
例えば、主人公シンジの好きなアイドルの通称が、りんこりん、モデルは言わずと知れたあの人だ。モデルではなく、実名で、小泉純一郎、石原慎太郎、宮崎哲弥も登場する。フリーターやニート、ワーキングプアのデモ(雨宮処凛がよくやってるロスト・ジェネレーションを主体とした運動)の光景や、新宿のライブハウスの光景など、大杉栄が見た今の日本を描く為に登場するが、なんか、それらが上手くこの小説の盛り上がりになっていない。消化不良な感じである。現代を描く為にあれやこれやと詰め込みすぎ、メインのおかずはどれなんだ、という幕の内弁当状態である。
しかし、俺のような、別冊宝島を読むような、なんちゃって共産趣味者(共産主義者ではないので、くれぐれも誤解なきようお願いします。「共産趣味者」という言葉は、ウィキペディアに項目があるので、興味がある方は、そちらへ) には、この小説内で語られる、実際の大杉栄のエピソードは、わかりやすかった。以前に竹中労の著作「断栄大杉栄」を読んだが、あまりにもきつかった。これに限らず、左翼系の本は、結構読みづらい印象がある(まあ、俺の国語力が低いのかもしれないが)。で、別冊宝島では、淡々と書かれているエピソードが、この小説では立体的に入ってくる。
それと、大杉栄と交流があった、幸徳秋水、荒畑寒村、吉田大次郎などのエピソードや、大杉のそれらの人物へのメッセージや人物評は、楽しく読めた。
大杉栄が見た現代より、大杉栄の回想がこの小説の一番の見所と思う。
あまり出来がいいとは思わないが、なんか引っ掛かる小説であった。
大杉栄は、関東大震災後の混迷の中、憲兵に捕まり、リンチされ殺害される。
この小説を読む前から、俺はその事は、知っていた。しかし、この小説の結末が近づくにつれ、「殺さんでくれ」と悲しい気持ちになった。出来があんまりだ、といいつつも、俺は、この小説の中での大杉栄を好きになっていたのだった。
投稿元:
レビューを見る
読み始めて、アチャーッ、これは失敗と思っていると、
ありゃ案外イイかもと思い始め、
またやっぱり失敗かもと思い直すと、
またまたいやイイなこれとの思い。
その間ベースラインは徐々に上昇し、
最後はハチャメチャに突き抜けていった。
途中、町田町蔵の名前も登場し、
町田康を少し意識したかのような物語に魅せられた。