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ジョー ンズは『日経サイエンス』(一九九一年一月号)に大発見にいたる思い出話を書いていま すが、自分の狭い専門分野だけに閉じこもっていたら埒が明かなかった。ジョーンズは、 自分とはまったく違う専門分野の人のところにアドバイスをもらいに行ったんです。 自分の守備範囲だけではどうしようもなくなったときに、別の専門分野の人のところへ 勉強するんですね。そうすると別の分野の知見が融合されて、突破日が生ま 9自分の得意分野からでて探検に行くことによって、未知の世界が自分よ 新しいものがでてくるんですよ。
科学もプロとアマとでは大違いであるように、文章もプロとアマの差は大きいのです が、残念ながら、読者に伝わる文章という観点が、日本の科学者には欠けているんです。 科学雑誌が売れない一つの原因になっていると思います。
数学、物理の分野では天才がある発見をしたときには、よくあることなんです。だから 大きな業績を残す人は、実は専門バカではないんです。自分のテリトリーを広げてチャレ ンジを続ける「冒険者」なんです。 期だけに閉じこもっていれば、時間もかけられるし学校の成績もい ませんが、世界は狭いまま。そこに閉じこもっていると、子どものころは神童だったのに 大人になったら普通の人になってしまう。 秀才と天才の差は、ここら辺にあるのかもしれませんね。
科学の二つの敵―-第一が宗教右派で、第二が 環境左派と呼ばれるグループーとです。宗教右派というのは、キリスト教原理主義の人 たちなんです。この人たちは、『聖書』の内容がそのまま現実に起きたと解釈するグルー プで、キリスト教全体から見ると異端で少数派に属しますが、アメリカではそれなりに勢 力が強いんですね。
科学だけが絶対的に正しい価値観だとは言わない。複数の価値観があるけれじ という価値観を守らなければならないという自覚があるんです。 また環境左派と言われる人たちも科学の敵です。この人たちは「自然のままであれ」と 主張して、遺伝子操作などにことごとく反対するんです。