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インド成長ビジネス地図 みんなのレビュー
- 浦田 秀次郎 (編著), 小島 眞 (編著), 日本経済研究センター (編著)
- 税込価格:3,080円(28pt)
- 出版社:日本経済新聞出版社
- 発行年月:2010.9
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紙の本
発展途上の人口大国インド
2011/01/07 14:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こうじ・1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国と並び人口含め大国であるインド、そのビジネスリポートとして読みました。
一般庶民の感覚で詳細は割愛しますが、同じ人口大国の中国とは違い(日本も同様に)
少子高齢化がほとんど進行していない大人口国家。
まず現状インドは7年連続で日本のODAの最大の供与先である。
(現在の中国がメディアに頻繁に取り上げられるのも過去のODAの
成果の結実とも言えるのではないか)
中国への一極集中投資の分散先として、やはり日本企業の注目を集める
ベトナムなどとは違い、インドを、中国やASEANのビジネスモデルの延長と
考えるとうまくいかない場合が多いらしい。
(日本企業の参入障壁としては 〇インフラの未整備
〇複雑な法規制・関税制度 〇労務管理 ...etc などがある)
また、近代化された農業のがまだ多くの場所ではなされておらず、
それに対する適切な資金供給が行われていないとも。
世界銀行の「ビジネスのしやすさ」に関する調査によると
インドは183ヶ国中133位であり、
最もビジネスのしにくい国にランクされているようだ。
●新中間層の拡大
先進国の感覚からすれば貧困層に近いと思われる所得であっても
そうした世代の拡大は中間層へ昇格する事につながりさらに上層に
移行する人々が増えることが期待される。
これらの人々にFMCG産業が活性化しはじめているようだ
(FMCG---日常生活で頻繁に購入される物品全般)
本書全般通して感じたのは、現在成功をおさめている進出企業は
インドの財閥系等と組み、手間と時間をかけて市場浸透を進めている
対印ビジネスの歴史ある企業が多いと感じた。
日印関係においてもWIN-WINの関係を築きたいものだ。
あと、教科書に過去のものとして出てくるカースト制度。
現在、大学や企業・都市部においてはカーストは殆ど顕在化していない。
唯一結婚・遠祖などに際して保守的な高齢者等がカーストに
こだわるケースがあるが、高学歴な若年層では結婚相手のカーストを
問わないケースも多い。
ただ、カーストはインド社会と一定の折り合いをつけて存在しており、
善悪は別として短期間に差別を完全に解消することは極めて困難なようだ。
7年連続でODAの最大供与先であるインド。
ODAという上からの大きな流れだけではなく
FMCG産業やマイクロファイナンスなど言わば川下のビジネスにより
長い年月をかけて関係を浸化させてゆかねばならないのだろうと感じた。
紙の本
人的交流こそが日印関係の基礎になる
2011/01/08 16:28
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
インド関連の本としては、かなり読者を選ぶ本である。とにかく数字がたくさん出てくる。また、なじみのないアルファベットの略語も多い。そのため、けっこう読みこなすのに時間と労力を費やす。
おそらく本書は、インドという国を理解したい人向けというよりは、具体的にインド進出を迫られているビジネスマンや研究者向けだろう。
一般の人向けには、ここまでの具体的なデータを必要としない。それよりは、そうしたデータの読み解き方を示してほしいはずだ。
ただ、1年以内にでもインドに事務所を開設して、ビジネスを展開したい人には、こうした詳細なデータがあることは相当な助けになることだろう。
大きな視点、小さな視点で、インドの今とこれまでが記述されている。データ至上主義といってもいいくらいの充実ぶりだ。インドと周辺国の関係も地政学的な見方ではなく、具体的に貿易額がいくら、投資額がいくらといった調子で語られていく。
著者には、インドの今を知る実務家ばかりが並んでいる。逆に言えば、本書を読まずして、インドでのビジネス展開もありえないだろう。富裕層がどのくらいいて、中間層がどういう増え方をしているのか、また貧困層はどういう立場に置かれているのか、いろんな事象が網羅的といってもいいくらい取り上げられている。
多量の数字と略語に悩まされながら最終章にたどり着いたが、ここへ来て日本とインドの人的交流の少なさに驚いてしまった。
インドは中国に続く成長国として語られることが多いが、中国からはたくさんの留学生を受け入れ、かつ日本のビジネスマンも中国にたくさん駐在しているのに対して、インドとのそれはあまりにも少ない。ほぼあらゆる要素に関して、人的交流は対中国の数十分の一の規模でしかない。
インドがIT分野で伸びているのは、インドが米国にたくさんの留学生を送り出し、米国でそのまま成功した人が数多くいること。あるいはインドに帰国した人が、IT会社を立派に立ち上げたりしているからだ。
インド人から見れば、日本に留学生しても日本の企業に受け入れられないとなれば魅力がない。だから日本を目指す人は増えない。そもそも日本の大学にも、インド研究をする講座がわずかしかないという。
日本に行って、そのまま日本企業で活躍しているとか、帰国後に日印を結ぶ架け橋になっているとかいうサクセスストーリーがなければ、今後の発展も望み得ない。インドには独特の官僚主義があり、法律面でも州ごとに違いがあるなど、ビジネス上の困難が多い。こうした難点を乗り越えるには、やはりインド出身の親日家が欠かせない。
そういう人的インフラもなきまま、成長国としてのインドに熱い視線を向けていても、ビジネス上の成果は生まれないだろう。グローバル30という海外からの留学生を日本の大学に受け入れる制度が、事業仕訳で逆風を受けた。簡単には成立しない信頼関係を培うためにも、こうしたプログラムはむしろ拡充すべきだ。
思わぬ日印関係の弱点を本書の最終章は明らかにしている。
このところ日本人の内向き志向がよく指摘されるが、日本人が海外に出ていく以上に、海外から優秀な人材を日本社会が受け入れるように変わっていかなくてはならない。
これからの日本にとっては、外国人のスタッフと机を並べて仕事することが普通になる方が、よほど実際的で有益なのではないだろうか。
米国はインドを安価な人材市場としてではなく、「頭脳大国」と見て、関係を深めてきた。こうした発想の転換は大切だ。日本企業はとかく労働コストが安くつくからという理由で海外進出しようとするが、それでは本当の関係は深まらないことを本書は教えている。
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