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市川図書館
2011年6月4日読了
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出久根達郎の書くものはハードボイルドだ、と、たしか『無明の蝶』の文庫本の解説で喝破したのは逢坂剛でしたが、それは一冊の古書に隠された秘密を解き明かす鮮やかな手口がミステリ作家の方法に酷似しているとかなんとかということだったはずですが、それを読んだときの私の喜びようといったらありませんでした。
なぜなら、私もそんなふうに感じて、この古風な下町風情や人情の描写とか古本屋の周辺雑記などを書く一見地味な物書きを、注目して喝采して読んでいたからです。
茨城から上京し月島の古本屋さんの丁稚から始めて、やがて古書店・芳雅堂の店主となり、古本に関するエッセイで賞を得て、そして小説『佃島ふたり書房』で直木三十五賞を受賞するまでに到る前半生はつとに知られていることですが、もうとっくに古本屋を廃業したはずなのに古本に関する話題に事欠かないのは、未練というより、いわゆるネタとして私たちが想像もつかない埋蔵量を持っているということなのでしょう。
古書店主はごまんと存在するけれど、おそらく彼ほど心底、本そのものに対する愛に貫かれた人は、他にいないんじゃないかと思われます。
彼にいわせれば、本はただ本じゃなくて、いってみれば人そのものであり、人格ならぬ本格というものも確かに認められ、一冊の本は人が生きているように、あいたいする人によって、あいたいする仕方によって反応も何もかも違ってくるというのです。
これは、彼が断言しているとかそういうことではなく、彼のさまざまなものを読んで来て私がそう意識させられるというだけですが、当たらずとも遠からずだと思います。
この本は、夏目漱石の初板本がいくらするとかいう功利的な傾向の本ではなく、あるいは、ともすればブックオフ的な、最近のきれいな新刊本が高値で、古い絶版初板本は汚れてきたないから百円だという、従来の古本の定石外の基準に慣らされてきた私たちに、改めて古本の何たるかの真髄を教えてくれる本です。
しかも、ただの古本屋の目だけではなく、作家としての眼力で池波正太郎から手塚治虫まで、愛に満ちた眼差しで一大パノラマを開陳してくれる出久根達郎劇場、息をもつかせぬ362頁です。
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作者の、それぞれの作家と作品への思いが綴られていて面白かった。井伏鱒二の項は顔を綻ばせながら読みました。
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通勤の行き帰りに少しずつ読んだ一冊。24人の作家のエピソードと古書の価格について書かれている。特に井伏鱒二宅を訪問した著者の若き日の姿は印象に残った。
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古書店を営む著者が今までに出会った珍本・貴重本を作家のエピソードをまじえて面白おかしく紹介している。有名な小説家の珍しい本が、古書業界においてそれぞれいくらぐらいの価格になるかということを題材にしたエッセイです。古書といっても紹介されているのは現代の身近な作家がほとんどなので、抵抗なく読めると思います。“もしかしたら家の本棚にひそかに価値のある本が眠っているかも!”と宝さがしをしてみたくなるそんな一冊です。
小説『ビブリア古書堂の事件手帖1~3巻』(三上延/著)のネタ本にもなっているので、ぜひこのシリーズも読まれてみては♪
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24人の作家たちに魅せられていく。出久根マジック。もちろん高額な古書を求める気もなけりゃカネもない。それでも、ここに挙げられている作家たちはぼちぼち読んで、自分なりの値段をつけてみたい。