紙の本
座右の書としたい堂々たる労作
2016/06/19 03:59
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る
「事由」と「理由」のように、普段は何気なく使い分けている
同義語・類語。果たして正しく使い分けることが出来ているの
だろうか。そんな疑問・不安に答えてくれるのが本書です。
解説を読んでいると、自分の書く文章の癖が見透かされている
様で決まりが悪い。擬古調の格好をつけた格式ばった文章では
なく、分かり易い表現を心がけるために、折に触れて手に取り
たい一冊です。
紙の本
引いてもいいが、読んでもいい
2021/05/06 00:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある言葉の使い方にいまいち
自信が持てない時に、
繙くことにしています。
そこに出ている、意味のひだに
わけいっていくような説明を
一通り読むと、文を書く気持ちが
立ち直るのです。
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辞書、辞典は読むものである。
この秋出版されたばかりの
中村明『日本語 語感の辞典』を読む。
この辞典が生まれるきっかけとなったのは
中村が司会を務めた大岡信、谷川俊太郎、辻邦生の
1980年の座談会であった。
この会で「語感」に着目した中村は以来30年研究を続け
10,000語を収める『語感の辞典』を単著として出版した。
偉業である。
「医者」と「医師」。
「勝手」と「台所」と「キッチン」。
「ごはん」と「めし」と「ライス」。
どの言葉も意味は同じようでいて、語感は違う。
その語感に挑んだ日本初の辞典である。
中村は自著『センスある日本語表現のために
語感とは何か』(1994)
に触れた文章に続けて、こう書いている。
その数百語の言及を足がかりとし、
年古りていささか感度の鈍ったアンテナに
それ以後ひっかかった約一万語を対象として
本邦初の『語感の辞典』を編むこのたびの企画は、
まさにドン・キホーテの第二弾というべきだろう。
が、国語辞典が慎重である限り、
こういう大胆で子供じみた叩き台でも誰かが示さなければ、
<語感>の研究は一向に進展しない。
(「あとがき」p.1179 より引用)
中村による語感の解説に加えて、
夏目漱石、森鴎外から、村上春樹、川上弘美、小川洋子まで
近現代の日本文学作品の用例を多数引用。
小津の言葉に関する著作を持つ中村が
小津安二郎、野田高悟のシナリオから
実例を引用しているのも嬉しい。
さらに、中村がこれまで直接取材してきた
井伏鱒二、吉行淳之介ら作家の
言語意識、表現感覚に関する生の声を
それぞれ該当する言葉の欄に収録している。
まさに至れり尽くせりのサービス精神であり、
この辞典が中村の集大成の仕事であることが分かるのだ。
パラパラ気ままに頁を繰っているうちに
原典の小説やシナリオの語感を味わいたくなってくる。
こうした企画を実現できたのは日本の出版文化の底力である。
中村とともにチームを組んだ
岩波書店・田中正明、加瀬ゆかり、鈴木康之らの
チームとしての達成に拍手を贈りたい。
素晴らしい仕事である。
文章を書くことを仕事にしている人、
日本語を学ぶ学生や社会人のみなさんにお薦めできる一冊。
著者の中村明は国立国語研究所室長などを歴任し、
現在早稲田大学名誉教授、山梨英和大学教授。
(文中敬称略)
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明解さんとはまた違った、おもしろさを感じます。いつも手元に置いて、読み物にしたいけれど、サイズが・・・。就寝前の睡眠導入本になっています。
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「昼ご飯を食べに行きましょう」と言われたらどんな店に行ってもいいけど,「ランチに行きましょう」と言われたら洋食へ.
そんなちょっとした言葉の語感が解説されています.
私は気になる語句が多いのでちょくちょくこの辞書をひきます.
1冊あれば便利だと思いますよ.
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字幕翻訳で役にたちそうかなと思って購入しました。使用感は徐々に実際の翻訳作業の中で検証したいと思います。
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仕事で書面を作成するときの参考にしようと思って購入する。
いまだ仕事で使ったことはないが、気が向いたときに適当に開いて読んでも十分に楽しめる。
比較的新しい言葉も収録されており、広辞苑のように版を重ねてもらえるとおもしろいかもしれない
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言葉は伝えようとする意味に加え、独特の雰囲気をもっている。
本書では、その雰囲気=ニュアンスをわかりやすく解説。
「喜び」は「わく」のか、「こみあげる」のか。
そういう思考を助ける手引きとして大いに使える。
まとめると『意味語感 最適見つける 道しるべ』といったところでしょうか?
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パッと開いたページをちょっと読むだけでも面白い。
「やばい」などの言葉も載っていてごく真面目に説明がなされている。
外国語を勉強する時に、辞書は不可欠だけど、実はなかなか例文を読んでもニュアンスまではつかめない。
では日本語のニュアンスは正確に理解しているかというと、それもそうでもない。だから新しい発見があって面白い。
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なるほど新しい辞書ですね。類語辞典とも確かに違う。ぱっと開いたページ、「ごはん」は「どんぶりに入っていると“飯”というイメージになり、この語は“茶碗”によそった姿がぴったりと合う」。あはは、そうですねえ。
わりとどれも「それはそうでしょ」と思うので、語感の再確認…といった方がよいか。つい面白いから読んじゃいますけど、しょっちゅう使うかなあ。日本語上級者の外国人が使うとよいかもしれません。こういう辞書、英語やポルトガル語でほしい。
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仕事のために買ってみました。
ちょっと思っていたモノ(帯に書いてあるモノ)と違いますね。
普通の辞書です。
白川静の本(なんでも)を買った方が
役に立つのかもしれません。
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帯文:"日本語の、新しい辞典です。" "ことばの感触、意味・用法の微妙な違いを分かりやすく解説。学識・蘊蓄・雑学の宝庫!" "楽しく読んで、日本語力UP" "「国語辞典」では分からないニュアンスを知るための辞典"
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同じ意味の言葉でも、与えるニュアンスや使われ方はそれぞれ微妙にちがう。
その「語感=語のもつ感じ」を解説した辞典で、読んでおもしろい一冊。
使用例として、夏目漱石、森鴎外から村上春樹や川上弘美までの作家の文章から多く引用されているほか、雑誌のインタビューで著者が武者小路実篤、小沼丹、庄野潤三など多数の作家から直接聞いた、言葉についての発言も紹介されている。
また、映画監督・小津安二郎についての本を書いた経験により小津映画のシナリオからの引用も数多く、ファンは一層たのしめるのではないだろうか。
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似たような意味の言葉でも堅かったりラフだったり、範囲が広かったり狭かったりと、微妙に使用局面が違う。
そういった語が持つイメージやニュアンス、つまり語感を丁寧に解説。
ただ、語感と言っても人によって幅はあるので、疑問に思う解説もある。
例えば「カフェ」は「斬新な感じの」「日常会話で使うとまだ少し気取った感じになる」と書いてある。
スタバやタリーズが普及したのは2000年前後まで遡るので、さすがに本書が出た2010年時点ではすでに「斬新な感じ」は通り過ぎているようにも思う。