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【読者】 調整ごとをまとめる人(特に情報システム部の担当者、ベンダーのプロジェクトマネージャー)
【目的】 プロマネにおける人間的な側面に着目し、人と人の間で起こる1つ1つの調整を成功させることで、情報システム構築プロジェクトの成功確率を上げるためのスキルとして「調整力」を紹介する
【一押】 漠然と行っていた調整ごとを、実行に必要な各ステップに当てはめて考えられるようになった
【概要】 本書では、調整力を「整理」と「共有」という2つの要素に分け、それぞれのポイントについて説明している。また調整ごとで登場する10の難題について個別に解説を加えている。
■整理のポイント
①ステークホルダーを漏れなく把握する……調整ごとに関係する全てのステークホルダーを把握する
②中立な立場に立つ……調整者は各ステークホルダー間で中立な立場を確立する
③各者の意見の相違を明確にする……各ステークホルダーの意見を集め、それぞれの意見の相違を明確にする
④目的・目標を明確にする……調整ごとの目的・目標を明確にする
⑤前提条件を明確にする……調整ごとの前提条件(調整するにあたって変えてはいけないこと)を明確にする
⑥調整パラメータを明確にする……調整ごとの調整パラメータ(調整するにあたって変えてもよいこと、太政してもよいこと)を明確にする
⑦調整案を考える……これまでの調査・分析結果をもとに、前提条件は崩さないように調整パラメータを調整して、目的・目標を実現するための調整案を作成する
■共有のポイント
①サプライズを避ける……根回しを行って、共有会議で各ステークホルダーを驚かせないようにする
②念入りに準備をする……会議資料の作成・事前配布から会議場のセッティングまでを行う
③相手の理解を確認しながら説明する……ステークホルダー各者に調整案をきちんと理解してもらえるように説明する
④主張しない・否定しない……調整者は自分の主張を控える。否定語をなるべく使わない
⑤迷走した話を元に戻す……横道にそれた議論をメモや資料を使って元に戻す
⑥気を抜かず会議をクローズ……次のアクションへつながる形で議論や会議を終える
【感想】 本書はシステムの要件定義を題材として解説しているが、それに限らず「落とし所」を見つけるうえで汎用的なスキルとして参考にできる。付録のような形でもよいので、これらのポイントに沿ったチェックリストのようなものがあればよりわかりやすいと思った。「共有」の技術はファシリテーションに近いものがあるため、それ関連の書籍も参考になりそう。