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数冊置いて、上巻を受けての下巻を読む。
著者に言わせれば、悲観論を唱えていればもてはやされ、楽観論を提唱すると馬鹿だと思われるのだという(いや、そこまで直截な表現は使ってないけれど)。根深い悲観論に真っ向から対峙し、人類の「繁栄」の歴史を楽観的に辿る歴史観の完結編。現代の代表的な悲観論である「温暖化」と「アフリカ」も克服可能と謳う。
前巻同様、曇りなく歯切れのよい明るさである。
気持ちよくさくさく読みながらも、どこか納得いかなかったのは、著者にとってなぜそれほど悲観論者が「敵」なのかが今ひとつ見えなかったためだ。アンチテーゼはテーゼが強大であってこそ意味があるものだろう。著者が長じるまでに悲観論に苛立ちを覚えてきたのはわかったが、だからといってここまで戦うべき相手なのかがよくわからない。
だが最終章で、著者の目指していたものがちょっと見えたような気がした。楽観論の立場を取っているからといって、著者は現代社会に問題が皆無だと言っているのではない。乗り越えなければならない大きな問題ももちろんあるけれど、ノスタルジーに任せて退行するのでもなく、ないものとして無視するのでもなく、「解決できる」と信じて、事に当たろうと主張している。
一番大きな目標は、絶望せず、思考停止に陥らず、合理的に問題を解決しようということなのだ。
最終章でちょっとじぃんとした。私は合理的楽観論者にはなれないかもしれないけれど、根本のところでこの著者の姿勢は信じられる、と思う。
*しかしこの大災害を見てしまうと、楽観的であれ悲観的であれ、未来についてあれこれ考えるより、予測を超えたことが起こっても絶望せずに対処する力をつけるのが先決かもしれないなぁとも思う。予測する努力はし続けるとしても。
*本の内容とはまったく関係ないのだけれど・・・。図書館で借りたこの本、製本の具合が今ひとつで、開いた後、表紙の部分が引っかかってなかなか閉じないことがあり、ちょっと難儀した。本がちゃんと閉じるって、実はきちんと作ってあるってことなんだなと変に感心してしまいました(^^;)。
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日本では1600年代は家畜を有効活用していたのが、水田を中心とした農業生産性の飛躍的な向上により、人口が増え、労働単価の切り下げが行われたために、1800年代までには家畜や水車をなどを利用するよりも、人間を使うほうが安い時代になったというのは、目からウロコ。
下巻だけ買ってもOK。
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3・11後の我々にとって本書のスーパーオプチミズムは、大丈夫だよ、という勇気づけにも、話デカッ、という現状とかけ離れた放談にも聞こえたりします。特に原発に対する楽観には強く違和感を覚えました。ただ、最終章で「それでも、やってみよう。私は二十一世紀にはカタラクシー(交換と専門化によって自発的に起きる秩序を示すハイエクの造語)が拡大し続ける予測する。」とくだりに触れ、この本は合理的楽観主義者、というより意志的楽観主義者の意志表明なのだと思いました。イノベーションと秩序のボトムアップ、前へ、上へ!
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下巻では産業革命以降の歴史と将来予測が語られる。温暖化のような悲観論を語る者はこれまでも絶えずいたが、解決策や代替案は必ず見つかられてきた、という原題の"Rational optimist" の立場が最後まで貫かれている。市場を介することで不合理な個人の行動が集団として合理的な行動になるという考えと、人類がこれまで発揮してきた問題解決能力への信頼のようなものが終始目立つ。・最初はテクノロジーの進歩によって、収入逓増をの時期がある。しばらくして頭打ちになると次のテクノロジーが出てくる、というプロセスが繰り返されてきた。交換、とりわけ知識の交換によってテクノロジーは推進されてきており、現代社会ではネットワークの発達に伴い、加速度的な進歩が続いている。将来的には機械が機械をデザインするようになり、進歩の速度が無限大となる特異点に到達するかもしれない・再生可能エネルギーは化石燃料よりも高くつく。再生可能エネルギーの利用が進んでエネルギー価格が高騰すると、発展途上国はかえって不利益をこうむる。
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上巻は社会のでき方や経済史が中心だっけど、下巻は文化(産業)史に近い印象。
発明と研究の関係や、昨今のインターネットをからめた共有の概念まで言及されている。
個人的にはこの巻の前半部分の人口増加に関する記述が一番おもしろかった。
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上巻に続き、良書。日常がポジティブにとらえられると同時に、現世代の方向性を見てとれる。また、時間のあるときに読み消したい。
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悲観的な主張が、メディア・世論を牛耳っている。「未来は明るい」なんて、声を大にして言えない空気が蔓延している。
この本を突き動かしているのは、「楽観主義」。言い換えれば、酸性雨や食糧難など、実際のデータとはかけ離れた予測で人びとを恐怖に陥れてきた「悲観主義」への筆者の怒りであり、挑戦なのだ。
読後感はとてもよい。「楽観主義」には、人に前を向かせる力がある。「悲観主義」はあきらめしか生まない。あきらめからは何も生まれない。人が前を向き、テクノロジーの発展を止めたら未来はない。
世界の厳しい現状と、未来への絶望しか子供たちに伝えられない世界より、「“地球温暖化”だって“アフリカの現状”だってきっと解決できる。未来は明るいんだよ。君たちがもっとテクノロジーをつないで、すばらしい未来を作っていくんだ。」そう伝えられるほうが、どんなにいい世界だろう。
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著者はあまりに悲観的な現代人達に、様々な実例を引き合いに出して”合理的楽観主義”について言及している。
昔と比べて現代が暮らしにくい?そんな馬鹿な!
世界は日々間違いなく、確実に良くなっていっている。
そして、未来はさらに良くなるだろう!
もともと楽観的な私にとって、とても気持ちの良い本書でした。
世界は良くなっているのだから、どうにかして自分の趣味に使えるお金を増やして、さらに楽しい人生にしたいですね!
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悲観的な主張をすると賢い人に見られる。そんな風潮の中、過去のデータを紐解くと悲観的な予想はことごとく外れ、人類は大きく繁栄してきた。
何故人類がここまで繁栄したのかを解き明かす一冊。
そのキーとなるのが他者との交流により、交換がはじまり、分業体制が築かれ、生産性が大きく向上したことである。
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明日の夜11時からNHK Eテレ「スーパープレゼンテーション」で、著者のマッド・リドレーによる「アイデアがセックスするとき」が放送される。英国のベストセラー作家、マット・リドリーによる人類の歴史から「アイデアの進化」について面白い発表がなされると宣伝している。
確かに、エス・イー・エックスとは、ほかの言葉でもいえるがあえて刺激的な言葉を入れることで、印象に残りやすい。著者は、一般にあふれている悲観論に対して、いろいろなデータを集めていけば、今生きている時代が一番という信念に基づいて書いたのが、今回の本だ。
プロローグが「アイデアが生殖するとき」として、2つのものが写真に載っている。それは、コンピュータのコードマウスと、50万年前のハンドアックス(握斧 あくふ)だ。これらを見たとき「何だ」と思った。著者曰く、手に取りやすい形になっている点では、今も昔もそうなるが、機能に関しては違いがはっきりしている。マウスは、いろいろなものが組み合わさっている。その一方のハンドアックスは、シンプルな素材からできている。著者は、ここから人類は、途切れることなく相当な変化を遂げていることが言いたいために、この2つのものを引き合いに出した。
「合理的な楽観主義者」という著者の本を読むと、人類の現状が必ずしもお先真っ暗闇一色に染まっていないことが分かる。マスコミは、暗いことを顕微鏡で拡大して騒ぐのが大好きなので、悪い方向に社会が進む論調になりがちだ。だからと言って、盲目的な楽観論も良くない。バランスを取るのは難しいなあ。
スーパープレゼンテーションのサイト
http://www.nhk.or.jp/superpresentation/next/
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上巻に引き続き、交換と専門化かわうまれたことで、知性が集団的になり、世界は良くなっていることを伝えてくれる。下巻では、イノベーションの歴史を語る事でその証明をしている。そして、現代の二大悲観主義であるアフリカの人口の増加と、温暖化、この二つを論破する。
アフリカでも、トップダウンで何かを変えようとするよりも、その人に財産権を与え、交換を促進させることで変化が起き始めている。
とても面白い本だった。
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イノベーションが世の中を良くしているし、江戸時代の庶民/農民が今より幸せだったとは思わないが、江戸時代に馬車の導入を幕府が禁じたように、経済的発展を否定する考え方だってやはりありだと思う。
イノベーションで代替エネルギーを見つけ続けて文明を発展させてきた代わりのエネルギーのひとつが原子力発電な訳で。
総論賛成各論反対という社会党みたいな態度ではありますが。
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1.アイデアは分け与えても減らない
2.アイデアは組み合わせで増える
3.未来に起きる問題は未来で生まれたアイデアで解決する
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・良書。
・再生可能エネルギーはちっとも地球に優しくないなど、興味深い主張が多い。
・バイオエタノールはものすごく効率が悪い。その為、作物から取れる燃料の量と、作物を育てる為に必要な燃料の量(トラクターなど)がほぼ同じという、まったく意味のない行為。
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下巻では、それまでの過去に例を見ない繁栄の分析というテーマに対して、その裏面とも言える悲観主義の分析とその対抗がもうひとつのテーマとして語られている。
具体的には、1900年以来繰り返される、貧困、格差、癌、核のアルマゲドン、人口爆発と飢饉、資源枯渇、清浄な空気、遺伝子操作、疫病、といった未来に対する悲観論が挙げられる。特に現代の二大悲観主義として、一章を割いてアフリカの貧困と気候温暖化について詳しく扱っている。本書の中で、それらは過去解決されているか改善されるているし、いずれ解決可能な問題であることを説明している。著者は、遺伝子組み換え技術への盲目的な反対に反対するし、化石燃料の利用を必要以上に抑制することにも反対する。それが根拠も影響も疑わしい地球温暖化防止のためであればなおさらだ。著者は悲観論者の非合理性について、合理性でもって対抗しようとする。それは、届けようと考える相手に果たして届いているのだろうか。
第8章で述べられるようにイノベーションの源泉が科学でもなく、資金でもなく、特許でもなく、政府でもなく、「交換」 - 無尽蔵なアイデアの交換 - であるとすると、現代は歴史上最も期待が持てる状況だろう。そして、人類が「交換」することを始めて以来、「今」が常に最も繁栄した時でありつづけているのではないだろうか。
最後の章では未来を語り、経済学者のハイエクが「交換と専門化によって自発的に起きる秩序」と定義した「カタクラシー」が拡大するとしている。なじみのない「カタクラシー」という言葉を使って表現しようとする未来とはどのような未来なのであろうか。
「イノベーションの火を消すのは難しいだろう。それはイノベーションが、かくもネットワーク化された世界における、かくも進化的なボトムアップの現象だからだ」(P.240)というようにイノベーションは想像の範囲を超えて進むものだ。そのことについては改めて楽観的であるべきだと説く。そのため「未来は、現代のエンジニアにとってほんのひらめき程度のアイデアにあふれているだろう」(P.223)と想像する。
「2100年に驚異的だが当たり前になっているテクノロジーは何かと想像しようとしてもまず無理だろう」(P.223)というのは真実であり、希望であり、寂しさでもある。そして、少なくとも数百年のレベルにおいては、そうだと単純に信じることができているのは、自分も合理的楽観主義者のひとりではあるのだろうなと腹落ちするのである。