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「お子様大人」が増えている。社会規範や相手の気持ちを無視して、自分の快不快や衝動で行動し、周囲を困らせる人々だ。しかし、振り返ってみれば、あなたも私も「お子様大人」なのでは? 大人として立派な行動をいつもとるのは難しい。誰でも感情的になって、ストレスに満ちた人間関係に巻き込まれ、それをどうしても繰り返してしまう。精神分析は、大人の心に子供や乳児がいることを発見した。それだけに、大人であることの難しさを知っている。なぜ、立派な大人であることは難しいのか。人間社会に密接に関係している「なぜ罪悪感はあるのか」「なぜヒトのセックスは特別なのか」「なぜ人は心の病にかかるのか」という、フロイトを悩ませた3つの問いから大人であることの難しさを考え、精神分析が何を考えているのかを解説する。生理学や生物学、進化論、社会学、文化人類学の知見を取り入れ、進化と歴史の文脈に適応させた、精神分析の入門書。
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①セックスを楽しみましょう。②葛藤に目を向けましょう。③意図してうそをつく必要はありませんが、「うそ」ばかりの世界を容認し、だからこそ誠実さを大切にしましょう。④落ち込む
こともあります。⑤病気は大切な経験です。…大人になるということが、そんなに簡単ではないことを様々な文献を引き合いに出して紹介してくれる良書だと思う。人間関係はもちろん、自分自身の中にある葛藤、不条理、不安…等に対して何らかのアドバイスを得ることができると思う。
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てっきり、精神分析方法のイロハみたいなものかと期待しましたが、どちらかというと心理学を学ぶ学生向けの精神分析とはなんぞや?という感じで、過去の学者の理論などを説いているケースが多いです。
その中でも「セックス」に関するところは妙に頷けることが多く、人類の謎に一歩だけ近づけたような気がします。
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新書ということで軽いタッチで書かれたものなのかと思いきや、全然そんなことはなく、むしろしっかりとした内容のものになっていた。精神分析家と言われる人たちが、分析すべき相手の心を扱う人たちなのかと思っていたが、むしろ自分の心を分析され現状を知った上で客観的な判断をくだせるということは驚きであった。言葉、表情、行動など、どれもこれも単一なようでどこかでしっかりとつながっている。本人が自覚しているものもあれば、そうでないものもあり、それを冷静かつ適切に見抜けるようになるには、本当に骨が折れることのように思えてならない。人は人であるとともに、それと同じくらい動物的でもある。まだまだ自分も相手も未知数なことの方が多いのだが、ふとした時に何か気の利いたことでもぼそっと言えたら、それで円満な環境を作っていけるような気がしている。
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精神分析というのはもちろん一つの学問ではあるのですが、部外者から見るとどこか秘教的なものがあるように感じられます。著者は、フロイトを中心とする精神分析特有の考え方を、生物の進化や人間の行動の社会的意味などの議論へと「開いて」いくことで、精神分析を部外者にも近づきやすいものにしようと努めています。
また、精神分析はトータルな観点から人間の心理をあつかうという理解に基づいて、抗精神病薬や抗鬱剤といったドラッグ・サイエンスにまつわる問題点も指摘しています。
フロイトの入門書などを読んでみても、「どうもしっくりこない」「どこか胡散臭い」と感じてしまい、精神分析の世界に入っていくことができないでいる読者にとっては、少し違った方向から精神分析にアプローチすることを可能にするという意味で、有益なのではないかと思います。
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文字通り、精神分析の入門書。
2010年でDSM-Ⅳの頃なので多少古さを感じる記述があるものの、勉強になった。