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電子書籍の日本における普及を、若干懐疑的に描いた一冊。そういった意味で、先日読んだ「ルポ・電子書籍大国アメリカ」とは、描き方とアプローチが対照的。ただし、著者も決して電子書籍そのものを否定しているわけではなく、日本の活字文化に対する深い愛情が全編を通して伝わってくる。
本書を読んで、電子書籍に関する、Amazon、Google、Apple、三社の立ち位置の違いというのが、自分の中ですごく整理された。この三社は、時間軸が決定的に違うのだ。
Amazon :今の書籍の延長線上にあるものとして、今、本屋で売られているものの電子版を、Kindleで売っていく。
Google :書籍を”知を次世代に受け渡していくもの”ととらえ、過去の書籍を体系化して閲覧できるようにしていく。
Apple :文字という形態にとらわれず、書籍の未来のあり方を、ipadという新しいデバイスで模索していく。
そして著者が、その三社に一章づつを割り当てながら説明しているような意図を感じた。
◆第一章 電子書籍の問題はどこにあるのか?
日本のハードメーカーの失敗とkindleの成功を通して、成功の鍵を「本をたくさん読む人向けの電子書籍」と位置付けること主張している。これは、非常に重要な視点であろう。過去の日本メーカーは、優秀なハードを作っていたかもしれないが、導入戦略、普及戦略が決定的に間違えていたのかもしれない。SONYのリブリエのような”二ヶ月のレンタル方式”などは、本好きの人の「積ん読」修正や、保存欲というのを根本的に分かっていないようにも思える。
また私見だが、今後さまざまなガジェットが発売される際に、家電量販店やPCショップ以外の販売チャネルをハードメーカーが開発できるかにも、注目していきたい。
◆第二章 グーグルは電子書籍を変えるか?
グーグルのみ章のタイトルとしてあげているのは、グーグルの動きに一番”黒船”感を感じたからなのだろう。ブック検索における裁判で若干印象を悪くした感はあるが、書籍に対する取り組み方は一番アカデミックでもあり、世の中に対するインパクトは一番大きいのかもしれない。
◆第三章 「ネットは無料」の潮目が変わろうとしている?
著者は明言していないが、明らかにipadというデバイスが登場したことを前提に、その上のレイヤーの話を書いていると思う。また、電子書籍が映像を含め新しい形態になれば、WEBコンテンツとしての境界線というのが非常にあいまいになってくる。そういった意味でのWebコンテンツそのものを課金という観点から着目しているのは非常に面白い。
いずれにしても、新しいものを取り入れて変化していかないと、古いものを守ることすらできない。電子書籍元年と言われた2010年も、残すところあと三カ月を切った。出版業界に坂本龍馬はあらわれるのか?
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テレビやら雑誌で電子書籍について見かけるので、一度関連書籍を読んでみようかなと思い購入。
電子書籍が抱える現状と問題点について書かれてる本。未来の展望も描いているようだが、妥当性はよくわかんない。詳しくないし。
著者のせいではないと思うけど、消費者である自分がどう向き合っていけば良いのか、いまいち展望が浮かばなかった。大人しく待ってた方が良いのかな・・・
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近年の電子書籍関連の背景を知るのに役立った。概ねわかりやすかったと思う。コンテンツの課金に関する話題は興味深かった。ネット上の情報は無料が当然という感覚は抜け切れないが、情報の供給側、享受側、共栄のためには避け得ない流れかと納得。あとがきも著者の考えがよくまとめられていて、わかりやすい。後で読み直すにもよさそう。
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現時点での電子書籍を巡る状況に対する冷静な分析。おもに出版の側面に関してのもの。グーグルの例の件に代表される電子書籍化と著作権の問題はよく語られているが、将来の図書館像や再販制との絡み、ニュースの有料化傾向などについては改めて詳しく知ることができた。技術だけじゃないんだよね、この手の問題は。
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電子書籍元年と言われた2010年。AmazonのKindleやiPad、Google Booksなど様々なサービス・商品が登場し、出版業界はもとより電子書籍に参入しようとする各社が浮足立った。
とかく電子書籍の未来を明るくうたいあげ、騒ぎ立てる書籍やニュースが多い中で、本書は一歩引いた視点から電子書籍の過去を振り返り、現在に至るまでの過程や今後の予測をまとめている。
『電子書籍の時代は本当に来るのか』というタイトルからは、懐疑的なイメージが漂うが、決して否定的な立場から電子書籍を語った本ではない。
電子書籍には多くのメリットがあるが、普及させるために避けては通れない課題や問題点があり、それらに対応する各社の取り組みについて、具体的な実例を上げながら解説している。
Kindleの売り上げに大成功しているように見えるAmazonや、著作権切れの書籍アーカイブでは他社の追随を許さないGoogleも、その陰には計り知れない努力と苦労があるのだなあと思った。
最終章では日本の新聞社が始めた課金プラットフォームの可能性について触れているけれど、新聞に限らず、電子書籍にかかわる他社の取り組みについても触れてほしかった。中盤までの内容が濃かっただけに、終わり方が寂しいのがちょっと残念。
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残念ながら @paperboy @booklogjp の #puboo は登場しませんが、必読マストです。 @asahi 新聞ウェブ新書の今後は本当に面白そう。
朝日ウェブ新書の事例等から、「 #puboo って、電子書籍って、結局ブログとどう違うの?」という曖昧模糊に、一筋の光を差し込んでくれる名著です。
フリーミアムか?有料課金か?に悩む、あらゆるWebサービスへのヒントも。
朝日 @asahi 新聞社Astandのウェブ新書。
“記事は、有料コンテンツに利用者を呼びこむためのプロモーション・ツールという逆転の 発想” “「新聞や雑誌の記事が105円」と聞くと高いなと思う。しかし「新書」だと言われれば高い感じはしなくなる。” “「記事」ではなくて「本」であれば、それ相応の価格帯でも納得するという感覚”“お金を払ってもらえるコンテンツづくりの工夫”
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過去何度も訪れた電子書籍の時代。
過去の課題がきちんと分析、説明され、如何に難しいかがよくわかった。
特に、米国と日本の書籍取次ぎの仕組みの違い、
課金制度の課題から、日本の時代の幕開けは世界に遅れること、
まだもうちょっと先なのかなと危惧してしまいました。
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記事売りの可能性の部分は非常に参考になる。
ユーザーメリットで考えれば、記事売りは今後も増えていくと思われるが、
書店側、プラットフォーム側からするとカード決済手数料の
パーセンテージが高くつくので割りにあわない。
ロングテールとして成功するかどうか、気になる部分。
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電子書籍の沿革から現状までコンパクトによくまとめられている。読むなら早いうち。第2章のグーグル問題は、ややこしい著作権問題をわかりやすく解説している。あとがきにある再販制度と電子書籍の関係は示唆に富む。
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この著者の電子出版とそれにかかわる(電子ペーパーの話など)著作はこれまでも読んできた。今回は、実際に「ブーム」となっている現状をどう理解するか、そしてこれからどういった展開をするか、ということについて、著者の予測が書かれている。
これから先どうなるかという答えを持っている人はまだいないと思う。その意味で、この世界をよく知る人の解説という意味で一読の価値はあると思う。
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図書館でパラ読みした。
問題点は明確であり、ビデオが開発された時とよく似た話である。
一見困難との結論と見受けられるが、中期課題として整理してながら読めば、わかりやすい。
幻冬舎は東南アジアに進出して、株価が2倍以上に跳ね上がった。
短期課題との兼ね合いが重要であるとの認識をもった。
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アマゾンやグーグルは、出版会社や図書館と連携してこれまでの本の電子データ化を進めており、検索により内容を利用できるサービスを開発中である。日本ではこのサービスは実施されていない。
こうした取り組みに対しては、著作権協会は反対しているが、出版社等は嫌々ながらも協力的になりつつある。グーグルが示しているデータによると、こうした電子化により、紙本の売り上げも増えているのだという。
フェアユースとはアメリカで通用している概念で、著作物等について、権利者に重大な不利益を及ぼさず、公共利益に視するものについては、著作物の利用を認めるというもの。
グーグルが行おうとしている、著作権の切れた著作物の電子化及び公開、流通している著作物でも、公開を拒否している著作物以外の著作物の公開によるビジネスについて、米国や海外において、著作権者及び出版社の利益を侵害するものだとして反発の声が上がる一方、大学等は古い著作物の電子化により学生等が容易に閲覧できることをメリットして、電子化を決断しているところもある。基本的にグール具が行おうとしていることは、世界中の人がいろいろな著作物を容易に多少のお金を払うことにより閲覧できるということであり、非常に有益だと思われるが、グーグルが独占的であること、また、著作権者の利益保護が充分でないという批判がある。
ウェブ時代の新聞社はニュースをネット配信しているが課金制とするかどうか、いろいろ検討されている。
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Googleの戦略は、確かに黒船ともみえる。
書籍の値段の付け方もネット販売を介して大いに変わる。
どこまで電子書籍が普及するのか、様々な要素が入り混じっている。
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情報がまず発信されるというのは従来のプロセスではありえなかった。頭の中にいくらあってもアウトプットされなければ、それはこの世に存在しなかったことと同じことだ。書きとめられて読まれることで可能性が生まれる。
アメリカではアマゾンやソニーが出した読書端末が成功をおさめ始めている。
言論の自由にかかわる電子書籍の流通に国が関わっていいのかというのはたしかに大きな問題だ。
新聞の携帯端末配信がWebを変える。新聞社のビジネスモデルが変わってきている。
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電子書籍の歴史というかこれまでの経緯について、海外の流れ、日本の流れがコンパクトにまとめられていると思う。日本において電子書籍が海外(アメリカ?)ほどブームにならないのは、コンテンツがコミックが主で、それをわざわざ高い端末を購入して読むことはないという点は納得。
と考えるとやはり、学術書はかなり電子書籍化のメリットがあるように思う。小部数しか売れないものであれば、無理に紙に印刷して高く売ることも、絶版で入手したいのにできないという危機を招くこともないし。
朝日新聞のWeb新書というのも、興味深い商品だと思う。
紙の本のありように引きずられて電子書籍を論じているという指摘があったが、なるほどそのとおりで、電子ならば何ができるのかのアプローチから考えていくと新しいビジネスモデルを考えつけるかもしれない。
Google Book問題や長尾構想についても触れられている。Googleは黒船だったのか…。撃退してよかったのかどうなのか、10年後くらいにどうなっているのか、観察が必要だろう。