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書「外国語の壁は理系思考で壊す」の著者は、スーパーコンピューターを20万円で創った人でもある。作ったのは宇宙をシミュレートするため。と聞くと、いかにも外国語なんか大の苦手、それどころか日本語よりもプログラミング言語、プログラミング言語よりも数式の方が得意という、まだ市民権を得る前の「オタク」という言葉が似合いそうな人を思い浮かべる人も少なくないのではないか。
目次
はじめに
I. 現実を見よう
II. 外国語の音
III. 翻訳してはいけない
IV. 内容がある話の方がよくわかる
V. いろいろな外国語から学ぶ
VI. 音よりも重要な語彙
VII. 異なる言語では語彙や概念の体系が違う
VIII. 動作と状態の区別
IX. 語彙を増やそう
X. 知っている言葉はいろいろある
XI. パソコンの言葉
XII. 実用に使えるようになるために
おわりに
ところが著者はさまざまな言葉を自由に行き来する。英語について話していると思ったらドイツ語に、ドイツ語について話していると思いきやロシア語に。
ところが著者は、以前「手作りスーパーコンピュータへの挑戦」で、カナ漢字変換はバッチ処理でやっていると書いていて、それにずいぶんと関心した覚えがある。当然誤変換は残るが、八割はうまくいくのであとはそれを手直しするのだ、と。
著者の外国語学習法がそれに似ているのは、目次からも推察いただけるのではなかろうか。
著者はその趣旨を、以下のとおりまとめている。
言葉は音で伝わるのではなくて、意味と内容で伝わる。
だから大切なのは発音より語彙と論理構成である。
外国語の造語法を知れば、語彙は芋づる式に増える。
それは、努力せずに外国語を実用に使えるようになる近道である。
これ、自然言語というよりコンピューター言語の習得法に近いのではないか?
確かにこの学習法では異性を口説けるようにはならないかも知れない。しかし、論文やblogやwikipediaであれば確実に読めるようになるし、そして読めればある程度は書けるようになる。
そのためには、まず出発点となる言葉の論理構成と語彙が必要になる。それこそが、「日本の語学学習はピンボケ」であるの真意なのである。なぜ外国語が話せないか?それ以前に日本語がきちんと読み書きできないからだ。
同様の主張は、「非論理的な人のための論理的文章の書き方入門」をはじめ、およそ私が「これは使える」と感じた日本語文章指南本には多かれ少なかれ必ず同様の言及があることを考えると、奇異に見える著者の主張は、実は「超まとも」であり、それを奇異に感じる我々の方が偏見に毒されているのかも知れない。
忘れてならないのは、著者は研究者であると同時に指導者でもあり、数多の論文を添削してきた人でもあるという点だ。その著者が、
P. 195
大学の先生仲間で考えると、理科系の先生のほうが文科系の先生と比べて、より自在に外国語を読み・書き・討論に使っている傾向があると私は思う。
というのは、単なる身内びいきを超えた何かがあると、私自身の「身内びいき」を差し引いても思わざるを得ないのだ。
そうそう。理系の理系たるところは、それが理にかなっているかを自ら検分するところにある。ぜひそうして欲しい。それは著者の望むところなのだから。
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英語の話なんて音よりも内容で通じる。
外国語の難しさは語順よりも語彙。
やさしい英語をたくさん読もう。
論理構造のしっかりした英文を書こう。
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目次
I. 現実を見よう
II. 外国語の音
III. 翻訳してはいけない
IV. 内容のある話しの方がよく分かる。
V. いろいろな外国語から学ぶ
VI. 音よりも重要な語彙
VII. 異なる言語では語彙や概念の体系が違う
VIII. 動作と状態の区別
IX. 語彙を増やそう
X. 知っている言葉はいろいろある
XI. パソコンの言葉
XII. 実用に使えるようになるために
著者の多彩な外国語の知識には舌を巻くことが多いが、自分の外国語学習の考え方がほぼ著者と同じでうれしく思った。
が、それでもやはり量をこなす必用がある。日本語で600万字相当(500時間、新書:60冊)の分量の英語を先ずこなそう。
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言語そのものを、科学的に理解し、その論理構成や造語法をしることで語彙を増やし、使おうとの本のカバーにあるように、学ぶことに賛成。日本語の国語教育が物事を表現することや論理の組み立てを軽視していることを危惧している点には同感!
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英語が得意で極めた人が英語について書いた本は多くありますが、英語そのものを飯のタネにしているのではなく、英語を使っている人によって書かれたのがこの本の特徴です。
宇宙物理学者である杉本氏が、科学的アプローチによる外国語修得法を解説しています。同じ理系の人間として、また、仕事のために英語を使う必要がある点が共通であり、興味を持ちました。
また、英語のヒアリングについて、日本語を聞いている例(私たちがしているのは、適当に聞き流して、残りの聞き取れた言葉で辻褄の合うのように話を構成して理解している(p51))は、なるほどと思いました。
発音は気にする必要がない、というのも、私が実際に体験していることでした、ただし、それが通用しないケース(電話会議等)もあることは事実ですが。
以下は気になったポイントです。
・韓国語の10個の母音と、14個の子音を勉強することで、韓国人の英語が聞き取れるようになった(p16)
・英語で議論をするのに、良くない発音を補うのは、論理と話の構成である、語彙も正しい意味で使う必要がある(p21)
・脳の中の音のネットワークは、幼児期までに出来てしまうので、その後に別の音の体系を脳内に作るには、別の場所を使わなければならない(p27)
・日本語を聞いたり話したりする場合、私たちがしているのは、適当に聞き流して、残りの聞き取れた言葉で辻褄の合うのように話を構成して理解している(p51)
・ラテン語の基本文字は23字で、英語の26文字から、J,U,Wを除いたもの(p57)
・Burghは、自治都市という意味で、Edinburgh(エジンバラ)はその例(p66)
・音を正確に聞き取る能力だけではなく、外国語単語の語彙とそれぞれの語に対応する概念を脳の中に納めることがポイント(p71)
・日本語に訳したきときには、外国語の概念空間で理解したうえで、その意味を表現する日本語を自分で考え、日本語の語彙の中から探したほうが楽(p79)
・Believeは証明なしに信ずるもの、Trustは理由や契約があって信じると(自分で)決めた結果として信じるということ(p81)
・実用的なコツは、1)発音は気にしない、2)翻訳しないでそのまま理解する、3)語彙を増やす、である(p180)
・外国語できちんとした文章がかけたり、プレゼンテーションができるようになるには、まずは、論理構造・論理構成・話の展開の階層構造がしっかりした文章が作れるようになることが重要(p199)
・英語と日本語のプレゼンの異なる注意点は、1)結論が先、2)理屈を説明するときは、話の展開について、論理的階層構造をしっかり構成する、3)事実と意見を混ぜない、事実・解釈・意見・感想の区別をつける(p199)
2011/5/6作成
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「外国語の壁は理系思考で壊す」
理系思考で「使える外国語」を身につける!科学的な「理系思考」で言語の構造・体系を理解すればおのずとその造語法がわかり、語彙もいつのまにか増えていく。日本を代表する宇宙物理学者が新しく提唱する画期的な外国語修得法!・・・という触れ込みの本です。
筆者は宇宙物理では名のある人物のようです。個人的に宇宙物理と外国語教育、語学学習がどう繋がるのか興味があり、つい買ってしまったのですが、その興味が満たされることはありませんでした・・・。
この本以外にも理系脳での外国語打破の本はかなり存在しますが、その中でもまあ色んなフィールドで一番手にこれる出来になっています。この「色んな意味で」が知りたいのでしたら、ちょっとちらっとどこかの書店で読んでみてくださいw
まあ色々思う点はありますが、こう表します。「個人的には意気揚々と乗り込んだが、ノックアウトを食らった気分」とw
昔ボクシング世界戦である選手が無敵の世界王者を倒す為にとっておきの必殺技を考え抜きました。挑戦者はその必殺技に大きな手ごたえを感じ、意気揚々とリングに上がる。そしてゴング!
王者のジャブを受け流す挑戦者、そして次第に距離を広げていく。王者は序盤であることもあり、まだ様子見をしているよう。すると挑戦者はいきなり王者に背を向け、走り出した。そして向かった先はリングの角の棒。そして挑戦者は棒に飛び乗り、必殺技を繰り出そうと振り返ると・・・
挑戦者が目を覚ました。その先には群青色の空が広がっていた。セカンドが必死に挑戦者の頬をたたいている、どうやら王者にぶっとばされたようだ。そう、挑戦者はノックアウトKO負けを喫してしまったのだ。遂に挑戦者は必殺技を繰り出すことが出来なかった・・・。
その必殺技とはリングの角の棒によじ登り、そこからジャンプして王者の顔面めがけて渾身のストレートを繰り出すというもの。王者に背を向ける為にリスクはでかいが威力もでかい、これなら必ず王者を倒せると踏んでいた挑戦者はこれにかけていたのだ。
しかし結果は無念・・・。王者は様子見していても凄まじいダッシュで挑戦者の背後にいた。挑戦者はリングに上がる前と序盤までは意気揚々で勝つ気満々。必殺技も持っていた。しかし結果は無念のノックアウト。
私はまさに挑戦者の気分です。意気揚々と本を買い、私の必殺技である一気読みを繰り出そうとしていたところ、序盤25-30page辺りで事態は急変。
必殺技を繰り出そうとする前に、いつの間にやらぶっ飛ばされノックアウト、KO負けでした。ふぅ。
これはやられました・・・。
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理系の方なので、もっと論理的な内容かと思いましたが、ガッカリでした。
言いたいことは180P以降で十分。表題に偽りあり。
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[ 内容 ]
私たち日本人は英語の学習に膨大な時間と労力をかけているのに、さっぱり使えるようにならないのはなぜだろう。
辞書の引き方が足りないのか、発音が悪いのか、記憶力が悪いのか…。
しかし日本語は、辞書を引くこともなくいつのまにか身についている。
ここは発想を変えて言語そのものの性格を科学的に理解することから始めよう。
大きな概念で言語をとらえ、その論理構成や造語法を知ることでいつのまにか語彙は増え、使えるようになる。
日本を代表する宇宙物理学者が新しく提唱する理系のアプローチによる、画期的な外国語の修得法。
[ 目次 ]
現実を見よう
外国語の音
翻訳してはいけない
内容のある話のほうがよく分かる
いろいろな外国語から学ぶ
音よりも重要な語彙
異なる言語では語彙や概念の体系が違う
動作と状態の区別
語彙を増やそう
知っている言葉はいろいろある〔ほか〕
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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なかなか斬新な視点で切り込んではいるかなと思うが・・・
うーん、でもやはり結局は難しい。
簡単に外国語を身につける王道はないということなのだろうな。
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外国語教育に興味があって読了。
「発音は気にしない」「語彙を増やす」「翻訳しない」は自分もそう思うので、納得。
途中の接頭辞、接尾辞紹介よりかはもう少し著者のご意見とか考えを聞きたかったかなという気持ち。