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一連の物語としては、今巻で終わりを迎える。直球ど真ん中の世界観だっただけに、終幕を迎えることはとても残念だ。
世界は辻褄を合わせるように変化に対して自己修復を行っていく。元の世界へと戻ったミムラが目にしたのは、自分が存在しえない世界だった。入れ替わりの相手、三村(元少女)に合わせるように世界の歴史自体が改変されていたのだ。自分の居場所がなくなったミムラは唯一自己の存在を保証する少女、小町梅の存在を守ろうとする。
1巻、2巻で語られてきた様々な伏線が今巻で一応の終着を見る。入れ替わりの当人であるミムラin三村は元の世界で何をしているのか、歴史的時間犯罪者である司書の正体は、事あるごとに話題に上る小町梅との関係は。
ここまで綺麗に語られてきただけにハッピーエンドを期待していたが、読後に感じたのは泥々とした後味の悪い完結であった。全ての伏線がつながり物語としてはこの上ない終幕、だけどファンとしてはこれで終わってほしくないという終わり方。悲しさとやるせなさだけが残っている。
1巻以来の時間魔法が登場する。未来や過去に行けるタイムトラベルや時間を飛び越えるタイムリープ、時間を止めるタイムストップ以外に、時間に関するテーマや作品があることに改めて文学世界の広さを感じた。
二人の自分が同じ時間軸上に存在する。よくタイムパラドックスが起きないなと感心しつつ、うまくつながりを見せているところに感嘆する。9時間後だとか、18時間後だとか読んでいる身としても混乱してきているのに著者は凄いと思う。