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儚い灯を思わせる内容の作品集。書名と著者のラインナップに惹かれ購入。
文学の読書量が少ない渡しにはどれも初めて読みました。
『きみ子』が好きでした。
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夏目漱石の「琴のそら音」
ラフカディオ・ハーンの「きみ子」
正岡子規の「熊手と提灯」など
正岡子規は、ものをみるすごい眼を持っているのにどこか死の影がちらついていて、話はうっすら物悲しい。
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う~んまたもやはずれなし。灯篭の灯、ろうそくの灯、炎ではなく、火でもなく、灯。このテーマの選び方もぜつみょうー。夏目漱石はちょっと怪しげな、怪談話の灯を思い起こさせるような、ラフカディオハーンはぽっと灯の明かりがともるような、正岡子規は生命のともし火という、三者三様ではあるけれども灯。そもそもこういう「何か」と説明がつかないものはそれぞれのこころや想いを宿しやすいものなんでしょうねとおもったりもした。言葉のもっている意味以上のさらなる深みをみたというか。
この本ですごく印象に残ったのは三者の文章っていうかリズムっていうか。特に大大大巨匠夏目漱石のあとに、母国語ではない言葉でつづられたラフカディオハーン。両者ともほんとに文章が丁寧。その後にもう体から出てきたとしかいいようのない正岡子規っていう力強さっていうだけでもまあ読んでみて面白くないことはないって言うか、違いがすごく出てて1冊で別々な感じもまたよし。ラフカディオハーンは、独特でこれが間に入っているせいかなっておもうし読み始めたらあんまり気にはならないですけどリズムが全然違うよね。自分がいかに日本語としてある程度四角にはいったものをよんでいるのかっていうの、思い出してそれもまた面白いよ。
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夏目漱石の作品は正直いって鼻につき、好きではないが、ここに収録されている「琴のそら音」は膨れ上がる妄想の妙を描いて秀逸。ハーンの作品は味わいがある。子規の作品はさすがだ。
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「余」って殿様が使う言葉って思っていたけど、案外そうじゃないんやなぁって知りました。文豪作品は、心の描写を上手く文字で表現していて読み応えがあります。
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有名な作家の今まで知らなかった短編が、印象的なテーマでまとめられているシリーズ。「灯」は、その名の通り心に明かりを灯すような温かいお話が素敵だった。
特に説話的な印象のハーン「きみ子」。漱石「琴のそら音」も、素直さ純粋さが漱石の今までの個人的イメージからすると意外だった。
子規は追憶の灯、薄暗くも心引かれる灯。
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ラフカディオ・ハーンの「きみ子」、けっして豊かではない当時の日本の芸者の生き様から、気高いものを感じる。
夏目漱石「琴のそら音」、主人公の心の機微が克明に描かれていて、身の心配をされた婚約者はきっと嬉しかろう。正岡子規「飯待つ間」「病」「熊手と提灯」「ラムプと影」こんなに頭に描かれたことを文字に投影でき、それに読者が付いたならそれは楽しいことだろう。
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夏目漱石、ラフカディオ・ハーン、正岡子規。
同時代の超有名人3人という、百年文庫の中でも贅沢な1冊。短編と随筆を収録。漱石も読みやすく、ハーンの日本を世界に紹介する文章が興味を引く。また子規は、新聞記者や肺結核など彼の生涯の背景を知っているとなお深く読めます。写実的な子規の作品群ですが、「ラムプの影」は幻想的。
漱石と子規が親しくなったきっかけの寄席は、今の落語ではないらしいですけど、訂正はないのか気になる。
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夏目漱石に出てくる主人公男性は、いつも一人でぐるぐる考えてる印象。
外に出さずに、じーっと深く、思いつめてる。
一方で女性側の心象描写はほとんどない。
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「琴のそら音」読んでいるこちらまで息苦しくなるような、不安にさせられるこの文章はさすが夏目先生です。
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「琴のそら音」
この会話の感じが、実に漱石らしい。
文中に琴はでてこないけれど、きっと心の琴線のことなんだろう。
心が勝手に揺れ動いて、音が聞こえたかのように勘違いする。
そんなお話だった。
最後の明るい笑い声を、門の外から聞いているかのような気持ちになった。
「きみ子」
なんと凛とした生き方なんだろう。
書き出しの提灯の並ぶ通りの風情と、きみ子の生き方と、それらは非常に似ている。
こざっぱりとして静かで、芯の強い深みをたたえて夜に守られている。
強く賢く潔く、実に素晴らしい女性だと感じた。
「飯待つ間」「病」「熊手と提灯」「ラムプの影」
病気の中、聞こえてくるもの見えるもの、感じること。
あるいは、体が弱いからこそ研ぎ澄まされる感性。
特に、「熊手と提灯」の妄想は楽しい。
熊手を持った人たちと通り過ぎているだけなのに、人物を観察して豊かに楽しんでいる。
そして、提灯の明かりの美しさに、自分も子供に戻って手を引かれて歩きたい、と感じる、その心のやわらかさ。
「ラムプの影」の、明かりの中に様々な顔を見るのも、まるで子供のような、熱でぼんやりしているような、そんな純粋さと不安定さとを感じた。
正岡子規は、多分今回が初めてだと思うけれど、とても読みやすく、繊細だと感じた。
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国内外の名作を漢字1字のイメージに合わせ纏められた短編集。作中に登場する「灯」達は、「命」や「人生」の象徴なんだと感じた。揺らぎ、燃え、くすみ、輝く命。味わい深い読書の時間をありがとうございました!
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この時代の言葉難しいけど、短編集だからさっくり読めた!
スピリチュアルなことを信じないけど、奥さんのことになると心配する男の人の話。
カリスマ芸者のきみ子の話。
病弱で寝たきりの子規の話。
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「灯」をキーワードに、漱石とラフカディオ・ハーンの小説、正岡子規の随筆が収められた短編集。少し怪談めいた提灯の灯、病床で見つめる幻想的なランプの灯など、三者三様の「灯」の味わいが楽しめます。漢字一文字が各巻タイトルのこのシリーズは全百巻。その時の気分に合わせて選んだ漢字から、次々と思いがけない作品と出会えるのが魅力です。
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この百年文庫は作品のテーマに沿って編集されるものもあるが本書などは明らかに3人の作家の繋がりで並べているのがわかる。漱石の『琴のそら音』は岩波文庫だと『倫敦塔・幻影の盾』に収録、ということはすでに読んでたのだなぁ。78/100