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この企画、なかなかいいかも。名前だけ知っている作家の作品を読んでみるきっかけになりそうです。西條八十、作詞家としてしか認識していませんでした。ぼつぼつ読んでいこう。
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芝木好子『洲崎パラダイス』、西條八十『黒縮緬の女』、平林たい子『行く雲』の3編収録の短編集。『洲崎パラダイス』は芝木好子の初期の歓楽街3部作の代表作。私が好きなのは後期の美術や仕事に邁進する女性の姿を描いたものだが、やはり女性を描くのがうまい。分かっていても足を洗えない売春婦の哀しみ。混沌とした時代ならではの女性の生きるさまが、今の行き詰まった日本に通じるものがあるような気がする。「堅気」だと嘯きながら男を絡め取る媚態は、私たちが生きる上であきらめを感じたとき、その愚かしさ、そうしか生きられない性に、ふと共感に似た感情を覚えるのだ。(この百年文庫は、正直このたっぷりとった行間、短篇3本でこの値段は高い、と買わずにいた。しかし手にとってみると、今眼精疲労で読むのが辛い身にとっては、本当にありがたい。しかも今まで読んだ百年文庫はどれをとっても外れなしの名作揃い。中古で少しずつ読み進めていこうと思っている)
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「洲崎パラダイス」
なんてダメな女とダメな男なんだろう。。。
人がどんどん通り過ぎてゆくお店。
おかみさんの感じる、わびしさというか、空白というか、悲しさというか。
なんて上手に描くんだろう、この著者は。
それぞれの心の動きが、まるで自分が感じているかのように読み進めることができた。
皆の気持ちが、わかる。
切ないなぁ。
「黒縮緬の女」
粋な女だ。
流石。
男遊びも金の使い方も別れ際も、ためらいがない。
スリの手際もさぞ鮮やかだろう、と想像できる。
彼女にしたら、この若造はおもしろいおもちゃだったのだろう。
早めに手を引いて、正解。
若いわりに、危機管理能力が抜群だ。
「行く雲」
女の嫉妬や憎しみが、徐々に形を変えていく。
最後には悲しみと、諦めに似たような感情に変わっていく。
そして、女礼は逆に、女の複雑な感情に目覚めてゆく。
やはり、浮気だの不倫だのは、後々よい結果を残さない。
自分はいいかもしれない。
しかし、周りを長く傷つける。
最愛の娘すら、傷つけてしまうのだ。
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20201203-05 『須崎パラダイス』『黒縮緬の女』『行く雲』短編だけど、どれもしっとりと読ませる。声に出して読みたい感じ。
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西條八十が小説?という意外さがあったが、なかなかに面白く読めた。女、と一言で言ってもここに出てくる3作とも、主人公や脇役含めて皆それぞれに違う性格を持っている。当たり前の話だけど改めてそう思わせる作品の並びである。45/100