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「これからの正義~」の解説的な内容。
「これからの正義~」以外のサンデル氏の著書にも触れていて、氏の思想にせまることができた。
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サンデルの本の訳者でもある著者が、いくつかの著作を解説していく構成。哲学書は全く読まないけれど新鮮な感覚でおもしろく読めた。サンデルの考え方も魅力的だが、サンデルが批判するロールズの考え方も学ぶところが多い。日本やアメリカの政治、生命倫理について自分の考えを作っていくためのヒントが書いてあったと思う。自分が仕事で何を目指したら良いかについても考えるいい時間になった。
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「ハーバード白熱教室」や「これからの正義の話をしよう」で有名な、マイケル・サンデル教授の著書を紹介しながら彼の思想を解説しています。氏の考えを知る切っ掛けになると思います。
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政治哲学の本。サンデル氏の展開する政治哲学を解説している。自分の考え方を整理するために、基礎的な知識が学べる。一昔前前の本であるが、ソフィーの世界と並んで、哲学について、学ぶには、入りやすい本である。この本も読んで、justiceを読むと丁度良いのではないか。
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サンデル教授の「白熱教室」で展開された哲学を彼が最も信頼を寄せるといわれている筆者に解説してもらったのがこの本らしいのですが。こっちのほうがむしろ僕には難しかったです。
この本は『白熱教室』のサンデル教授の『白熱教室』の授業のあとに、解説をされていらした千葉大学教授の小林正弥先生によるサンデル教授の説く政治哲学を解説したものなんですけれど、解説というよりもむしろこっちのほうがかなり難しいです。そして新書とはとても思えないほどの膨大な情報量で読んでいて結構骨が折れました。
『正義とは何か?』この単純にして、最も奥深い命題を筆者はサンデル教授が説いた命題に重ねて投げかけては来ているんですけれど、それを受け止める僕のほうにその器がないことが明確に浮き彫りになりました。もともと自分のかつて所属していたところが日本文化が専門だったもので、海外の名著古典にあまり触れたことがないというのが理解できて、少し自己嫌悪にすらなりました。
それでも唯一理解できたの『胚の論理』に関する箇所で、胚の状態の細胞に人格はあるのか否か?それに関しては楽しく読めました。これからこの人の事はもっと勉強しなくてはなりませんね。じゃないといい記事がかけない―。
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去年流行った「白熱教室」では,サンデル自身の思想的立場が開陳されることはなかった。この本は,サンデルの過去の著作の解説という感じで,それを通じてサンデルの思想を紹介している。
アメリカの政治哲学には疎いので,いろいろ勉強になった。サンデルは,政治哲学を復興したというロールズの『正義論』を批判する『リベラリズムと正義の限界』で鮮烈にデビュー(82年)。
ロールズはリベラルの立場から,福祉を擁護するために「無知のベール」を導入したが,サンデルはこれを批判した。家族や組織,国籍といった自分の属性を捨象した「負荷なき自己」を想定したロールズの議論は,重要なものを見落としている,という。現実の人間は,バラバラに原子化された「個人」などではなく,様々な属性をもち,共同体や社会に埋め込まれている。人間をそのような「負荷ある自己」として捉えて,議論の出発点にしていくべし。サンデルがコミュニタリアンに分類される所以である。
ただ,サンデルはコミュニタリアンと呼ばれることには抵抗があるらしい。コミュニティを重視する,というと,多数派の意見に従うというようなニュアンスが出るためで,彼はそのような「多数派主義的コミュニタリアニズム」とは立場を異にしている。多様な社会の考え方を尊重して,そこから学んでゆくという意味において,コミュニティに重きをおくというスタンス。組織に特有の単一の原理を信奉するとか,そういったものではない。
以前読んだ,サンデル『完全な人間を目指さなくてもよい理由』についても一章が割かれていて,この解説が分かりやすくよかった。邦訳のタイトルは誤解を招くので良くないそうだ。サンデルは遺伝子操作によるエンハンスメントに明確に反対しており,「(人工的人間)完成に反対する理由」等とすべきで,「目指す」という努力のニュアンスを含む語は不適切だし,「目指さなくてもよい」等と反対の立場を曖昧にするような訳は問題だとする。確かに,そうかも。
『サンデルの政治哲学』については,ブログ「おおやにき」で,「負荷ありし自己」とか「善ありし正義」とか訳が変であると指摘されている。これについては同じような違和感をもったが,些細なものだと思う。ついでに言うと,「正義」に対して「法義」という語を提案しているのがなんだか妙な用語だな,と感じた。法的なニュアンスの強い正義の概念を「法義」と呼んでいるのだが…(354ページ)。「正義」も「法義」も「justice」で,訳し分けの問題のよう。著者は「gifted」も,神を示唆する文脈では「天賦の」,そうでない場合は「与えられた」「贈られた」としてるらしい。
二箇所誤植を発見。238頁6行「そうべきではない」,335頁4行「道徳的・精神的議の面」。
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この本はよく売れているらしい。しかし、この本を買ったほとんどの人は、全部読み切っていないだろうと推察する。かく言う私もそのなかの一人なのだ。なぜなら、内容が非常にむずかしい。時間をかけて全て通して読むに値する本ではあるのだが、よっぽど時間のある哲学を趣味にしているような人にしか、通しで読むことは不可能だと思う。しかし、それだけ情報量の豊富な本なので、たびたび手に取って読み返したくなる。OCR加工して手元においておきたい一冊。これからの正義について受動的に学ぶのではなく、この本を道具として能動的にこれからを考えるよう仕向けられるような一冊。
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サンデル教授の著書を通して、哲学、思想の流れを解説。なるほどと腑に落ちる点と、難解で少し時間をおいて読み返す必要がある点があったが、近現代の哲学史を解説してくれ、「これからの正義の話をしよう」の理解が深まった気がした。
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善・正・義・公・共……
ある場面において旧来の論理が通用しなくなると新しい概念を構築する必要に迫られる。
理論とはそういうものであり、また社会の指標たる理論はその正しさにおいて充分に説得的でなければならず、こうしたブラッシュアップは不可欠ではあるが、正義は善を含有したものでなくてはならないという主張は、批判においては具体性に富み説得力があるが、論理構築においてはいかにも頼りない。
普遍的であることを目指していないとこのことだけれど、どこかに一貫したものがなければ論理は完成しないのではないだろうか?
哲学だからそれでよいのもしれないけれど、どうにも消化不良感が残る読後となった。
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サンデルの主著である『リベラリズムと正義の限界』『民主政の不満』『公共哲学』『完全な人間を目指さなくてもよい理由』『これからの〜』について解説する。
注意しなければならないのは、本書の中に現れる「負荷ありし自己」という用語は明らかに誤訳であるということ。過去形ではなく「負荷のある自己」と読み替えれば問題はないのだが、サンデルの思想の重要概念なので、そこはきちんと正しておきたい。「負荷ありし」と過去形にすると「今はない」というニュアンスが出てきて、本来意図された意味とは真逆に解釈されうるので。
さて、コミュニタリアニズム(共同体主義)というと、「共通善という概念をもち出して公の正義を振りかざし、個人の権利を侵害するようなイデオロギーではないのか」という批判にさらされる。私も実際そのような疑念をもっていた。「共通善とは何か」を共同体の伝統が決定するのであれば、結局のところただの相対主義じゃないか。と、思っていた。
でも違った。サンデルが目指しているのは、あくまで普遍的な善であり、正義の正当性はその目的の道徳的価値に基づくのだという(著者は、この意味ではサンデルの思想は“コミュニタリアニズム的”ではないという)。
……ちょっと待てよ、では“コミュニティー”の概念はどこで登場するのか?
「自己をコミュニティーに埋め込まれた存在」「社会に対して責任を負う存在」として理解し、「社会から切り離された、ばらばらの個人」という人間観に反対する意味において、というのが先の問いに対する答えになる。
もう一つ重要だと感じたのは、「リベラル-コミュニタリアン論争」という言葉がミスリードするけど、サンデルはロールズらのリベラリズムの“思考過程”に異を唱えたのであり、リベラリズムが是とする福祉政策自体に反対を唱えるものではないということ。関数は異なるが解は同じ、といった感じかな。
コミュニタリアンの中にもウォルツァーのように「善は共同体の多数派が決定する」という相対主義者もいるらしい。このような思想に対しては明確に反対するという意味で、サンデルの思想はもはやコミュニタリアニズムというより、“サンデリアニズム”と言ってしまった方がいいような気がする。 というか、リベラリズムに接近している??
サンデルの議論は目的論的である。たとえばある制度の是非について議論するとき、まずその制度の目的が何であるかを明らかにし、その目的にその制度が合致しているかを論じるという手法。サンデルのこの論法は鮮やかで説得力があるのでお手本としたい。
『これからの正義の話をしよう』は大ブームとなったけど、それだけではコミュニタリアンの思想を理解するには明らかに不十分だ。『これからの~』だけ読んで済ませるのはもったいない!
多くの人が本書を読んでコミュニタリアニズムという思想に興味をもってほしいと思う。
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前半部分難解です。何とか線を引き引き読み上げています。
でもわかってくるところは氷が解けるように分かるのが楽しいです。
いいほんです。小林さんは丁寧に解説されていると感じます。
がんばってよんでください。
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ご存知サンデルの思想解説書。
勉強不足でサンデルはちゃんと読んだ事がないのですが、ポストモダンで育った世代としては、世の中との折り合いをつけるのに有効な思考が見つかるかも。
真理は過去にありというもの入ってきやすい。
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小林正弥『サンデルの政治哲学』平凡社、読了。「ハーバード白熱教室」解説者によるサンデル・正義論の解説。リベラリズム(ロールズ)とコミュニタリアニズム(サンデル)の展開と特徴を平易にまとめた公共哲学の入門書。サンデルの原著に挫折した人や正義論をとりあえず知りたい方には便利な一冊か。
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噛み砕いて書いてあるんだろうけど、難しい。 ooのxx理論とか@@派とかすぐこんがらがってしまう!またいつかよむべし!
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NHKの白熱講義が流行った際、『これからの「正義」の話をしよう 』を読んだ直後に買って積読状態になってた本。サンデルとも交流があり白熱講義で解説をしていた著者が、サンデルの著書について、番組や『正義』で端折った部分も含めて、考え方のエッセンスと変遷を分かり易く解説しています。ロールズ批判は非常に説得力がありますし、英米法をかじった人間としてアメリカ建国史の部分は懐かしく読みましたが、なんといってもヘーゲル、カント、アリストテレスの問題意識は現代でも通じる所があるなと考えさせられました。立場や意見を支持するか別としても、ネットで蔓延する軽薄な床屋政談に惑わされないよう、これまで先人による問題意識の変遷を再確認するのに読んでおいて損のない一冊です。