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経済学をいろんな観点から、現在の経済を分析、今後の未来の課題を明らかにしている。もう一度読んでみる価値あり。
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市場は国家の存在なくしてはその枠組みを持ちえないという前提のもと、経済覇権国の利子率の推移を下に現在は歴史的な大転換の位置にあるという議論。
これまでの歴史的な流れにおいては、実体経済で隆盛を極めたのち経済体系が金融化する、ことを指摘しリーマンショックはその終わりを意味するものとしている。
しかしいぜんであれば、陸から海、海から空へと領域を拡げていくことで成長してきたが、今回は違うかもしれない。これが意味することは、歴史上はじめて生産国と資本蓄積の場の分離が起こっていることであり、国家と資本の分離である。つまり、今後は中国が以前のアメリカのようになるのではなく、相変わらずアメリカが資本をマネジメントの場であるかも。
また資源の高騰により先進国の交易条件が悪化してきていることを指摘しつつ、今後、中国やインドが現在の先進国並みに成長するとどうなるかという話など。
他にも資本主義社会の定員、アメリカのドル、日本のバブルなどについて述べ、今後は規制というものを付加価値に変換できるようなルール作りをしていくべきで、インフレで景気が回復するとは思わないほうがよいとしている。
この点、注目。
それにしてもイタリアのジェノヴァの利子率とかほんまかいなとw
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約1ヶ月前に読んだばかりですが再読しました。
資本主義の歴史を、軍事力や空間革命に裏打ちされたヘゲモニー(覇権)の推移を交えて解説されていて、読み応え有り。その中でも交易条件の悪化等が実物経済の利潤率低下を招き、そして金融経済化するといった流れはとてもわかりやすい。
また、個人的に日本について今後はそんなに大きく経済成長できなくてもよいのではと感じていたが、低成長を前提として政策を立案すべきとあり同感。”これからは低成長です。だから社会保障を大幅に見直します。”と宣言してくれる議員さんはいませんか?
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超マクロ展望と自負している通り、ジェノヴァからリーマン・ショックまで語りつくす姿勢はさすが。水野と萱野のコンビで市場対国家や金融資本主義のあり方を解き明かすのもよい。かなりお買い得です。
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資源価格の高騰で、エネルギーをタダ同然で仕入れていた経済のモデルが破綻した。
1974年に、交易条件の悪化で、実物経済で稼げなくなった先進国が、金融経済にシフトしたのだ。金融は、国に縛られない国際資本を形成し、95年以降、アメリカは新興国やアジアのマネーを自由に使えるようになった。
石油すらも金融商品化され、イラクの石油をユーロ決済にすると宣言したフセインは、米国に潰された。金本位制が崩れた以上、ドル基軸通貨を裏付けるのは石油しかなく、米国はフセインの発言を容認するわけにはいかなかった。イラク戦争は、石油そのものでなく、経済のルールに関する戦争だった。
空間の話がある。
「条理空間」。区画され、領土があり、法が整備されている。これを無化する、「平滑空間」。国家は非常時において、個人の所有権を無視して人権を無視して徴収・徴兵したりする。
世界のかたちは今後、国民国家を単位にした国際秩序でなくなる可能性がある。
と、2章くらいまで要約して飽きる。
要約だったらノートに書き残しておけば良いし、わざわざブログにする必要はない。
とゆう訳で感想にシフトしよう。
今後、世界経済は、どこが覇権をってのが一つのポイントだと思うのだけど、それはアメリカでも中国でもEUでもなく、資本それ自体(多国籍企業)なのかもしれないなーと。村上龍の『愛と幻想のファシズム』では、エネルギーから製造業から情報からすべてを握った企業連合(ザ・セブン)が、世界制覇を成し遂げようとしていた。日本は狩猟社党首・鈴原冬二を首班とする独裁政権でこれに対抗しようとする。もうすでに、それに近いことは起こってるのかも。
まだまだ、国の影響力はとても強い。日本のバブルなんかは、アメリカが実物経済の不足を補うためにバブルを必要としていたのだけども、できる状況になかったから、日本が代替物として利用されたって認識の仕方もある。まーそれも、どこまで国の意思かって怪しい面がある。米国の歴代の財務長官はゴールドマン・サックスをはじめウォール街出身ばかりだ。
こーゆう広い視野は、持っときたいもんだなぁ。
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世界経済の現在の流れについて、政治・経済を含めた世界の大きなパラダイムの流れから考察をし、論じた本。
非常に枠組みが大きく、おもしろい。考えさせられます。
景気はただ循環しているだけではなく、これからは低成長時代に入るという話。今後のことについて、考えていかなければならない。
・景気がよくなっても所得が増えないのは、売上高の中身の変動費も増えてしまっているため。
・先進国は交易条件が悪化したことで、実物経済で稼げなくなってしまった。そこで金融に儲け口を見出すようになった。アメリカの労働人口の5.3%が国の利益の半分を稼いでいる。
・1995年に国際資本が国境を自由に超えるようになった。日本やアジアで余っているかねを自由に使えるようになり、すべてのマネーがウオール街のに通ずるようになった。
・石油について。OPECのもとに政治的に価格決定権が一時的に写ったが、金融商品化することで、取り返した。枠組みを乗っ取り、アメリカやロンドンの先物市場で価格が決定され、国際石油市場で自由に売買されるようになった。領土にひもづかなくなっていった。フセインの決定について、ユーロで石油を取引できるようになりかけたときに、アメリカはイラクをテロ支援国家と位置付けて、攻撃を開始した。石油利権を囲い込むのではなく、ドル基軸のルールを守るための戦争だった。
・先進国にとっての戦争が領土の支配権を獲得するためのものではなく、脱領土的なシステムを防衛するためのものとなった。
・陸の支配にこだわった他のヨーロッパ諸国を凌駕していったイギリスは海を支配し、海に新しい自由貿易の法をうちたて、陸の法に縛られていた国々に対するヘゲモニー(覇権)を確立していった。
現代にあてはめると、EU,ロシア、中国は陸の国。アメリカ、イギリスは海の国。金融帝国は陸に依存しない。
アメリカは植民地支配をせずに経済的なヘゲモニーを確立してきた。ルールを作成することは、自分たちに有利なルールを策定すること。それがEUになるのか、中国になるのか。金融経済が限界にきている。実物経済への揺り戻しがくるかもしれない。実物経済でいかに利益を生み出すかを考えると、ユーラシアに可能性があるかもしれない。
・空間革命の本質は空間概念の常識を無化するような新しいルールをどのように設定するか。新しい空間における新たな秩序の確立をめぐる戦いをみる。
・イギリスの発展について。産業革命は技術の革新なので、それだけでは資本蓄積にはならない。空間革命があって初めて蓄積が始まる。
・アメリカが金融帝国になった背景には、宇宙開発がある。今後は宇宙では、陸や海のような経済的なヘゲモニーには結びつかないので、技術が応用されただけ。今後は軍事的ヘゲモニーと経済的ヘゲモニーは分離する。これまで世界的ヘゲモニーが移動するときは、より大きな軍事的支配をもつ国家に移動してきた。海洋技術で先んじたオランダから、世界の海を支配したイギリス、世界の空を支配したアメリカ。これは交易条件と連動していた。今後はヘゲモニーと工場が分離しうる。中国やインドが生産拠点となるが、資本コントロールや余剰を吸い上げるのは別の地域になる可能性がある。
・預金は負債であるというルールが作りだされ、日本の銀行は貸付を減らさざるを得なくなり、国際競争力を一気に失ってしまった。ヘゲモニーを獲得するには、情報戦を制して、世界のお金やモノの動きに関する様々なルールを策定する力が必要。
・新興国の中産階級が増えると必然的に先進国の資本は先進国の国民を見捨てることになってしまう。資本主義のルール策定や運営に携われる人々がよりグローバルな世界で大きな利益を得るようになる。
・この130年は先進国の15%が残り85%から利益を吸い上げている。新興国が豊かになると、既に豊かな人の一部がはじき出される。
・
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今後の世界経済の展望についての経済評論家と政治哲学者の対談をまとめた本。
歴史的な背景や変化を踏まえた大きな視点で、現在の世界経済危機を捉えて論じている。
現在の世界経済状況は、単なる景気循環の一時的な停滞ではなく、資本主義そのものの大転換によるものだと言う。
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【第1章】 先進国の越えられない壁
■市場経済だけでは資本主義を語れない
○昨今の経済問題をめぐる議論には、「国家」というファクターが非常に希薄。今回の金融危機でも、アメリカの多くの金融機関に公的資金が注入された。いざというときには国家に頼らざるを得ない。
■資源価格の高騰による先進国の交易条件の悪化
○オイルショックを契機として、新興国・資源国の交易条件が改善した一方、先進国の交易条件は悪化し、先進国の企業が儲からなくなった。
○日本では、02年~07年に長期の景気拡大が実現したが、国民の所得は増えるどころか下落した。それは、交易条件が悪化したことで原材料が高くなり、売り上げが伸びても人件費にまわせなくなったため。
→景気回復と所得回復が切り離されてしまった。
■実物経済から金融経済への方向転換
○先進国は交易条件の悪化で実物経済では稼げなくなったため、金融に儲け口を見い出していくようになった。
○アメリカは、オイルショック以降、OPECに渡った石油の価格決定権を取り戻すために、石油の金融商品化を行った。
○ニューヨークやロンドンの先物市場で取引される石油生産量は、世界全体の生産量の1.5%程度。ところが先物取引は相対取引で何度もやりとりするため、取引量でみると世界全体の生産量を超えている。つまり、価格の決定という点からみると、石油は完全に領地主権のもとから離れ、市場メカニズムのもとに置かれるようになった。
○軍事力行使の目的が、陸地の獲得やコントロールから、経済システムの管理へと変わってきた。
【第2章】 資本主義の歴史とヘゲモニーのゆくえ
■ヘゲモニー移転としての資本主義の歴史
○過去の歴史のヘゲモニー(覇権・主導権)のサイクル
-実物経済での利潤率の上昇⇒利潤率の低下⇒金融化⇒バブル⇒経済主導権の移動
○つまり、金融化に向かうということは、その時点でその国のヘゲモニーのもとで生産の拡大ができなくなってしまったということ。
■ヘゲモニーと空間革命との結びつき
○かつてイギリスは海という新しい空間に新しいルールを設定することでヘゲモニーを確立した。
○アメリカのヘゲモニーは、空の支配とドル基軸通貨体制が結びつくことで成り立っている。
○空間支配が陸から海、そして空へと移ってきたように、今後もし空から宇宙へと移ったとしても、これまでとは違って有利な交易条件をもたらしてはくれないかもしれない。
■今後のヘゲモニー移転
○これまでは国家単位でヘゲモニーが移動してきたが、生産による資本蓄積の場所と、軍事的・金融的に世界経済がコントロールされる場所が分裂するかもしれない��
○資本主義は基本的に安く仕入れて高く売ることで利潤率を高めていくものだが、全員がグローバル化すると安く仕入れる先がなくなり、資本主義の競争はプラスサムからゼロサムゲームになっていくのではないか。
【第3章】 資本主義の根源へ
■資本主義は市場経済とイコールではない
○国民国家を単位にした国際秩序ではなくなる流れは、決して国家そのものがなくなるということではない。
○現在のグローバル化においては、EUのように国民国家もより大きな政治単位にまとまっていくのではないか。
○国民国家の枠組みでは、もはや世界資本主義を担うような主体にはなれなくなった。
【第4章】 バブルのしくみと日本の先行性
■日本の先行性
○G7の国々は73年~75年に、人口維持に欠かせない出生率2.1を一斉に下回った。その時点で先進国全体では市場が拡大する前提が崩れた。
○日本は短期間で高い資本蓄積を成し遂げたがゆえに、利回りが下がるのも早かった。利回りが下がれば、金融経済化が始まり、資産バブルが起こる。日本は世界に先駆けて低成長社会の課題に直面した。
【第5章】 日本はいかに生き抜くべきか
■経済成長モデルの限界
○低成長時代に入ったにもかかわらず経済成長を前提とした税収・歳出構造のままであることが大きな問題。
○ギリシャ財政危機は、無限の経済成長を前提としてきたことの必然的な帰結。
○交易条件が変わり、市場が飽和化し、市場経済があらゆる領域へと拡大し、もはや市場が新しい需要を喚起できなくなったため、経済成長の前提が崩れた。
○「国家なんて必要ない」と思われてきた金融資本主義が、国家なしでは成立しえないということが浮き彫りになった。
○社会の中で国家だけが税金という形で、所有権のもとで成り立っている市場の論理を超えてお金を調達することができる。そのため、市場の矛盾は国家によって肩代わりされることができた。
■インフレ時代の終焉
○グローバル化により国際資本が自由化し、金融経済が全面化すると、量的緩和をしたところで円は国内にとどまらないため、国内の物価上昇にはつながらなくなってしまった。
○新興国の台頭は先進国の労働市場をグローバル化するため、先進国と新興国の間の賃金レベルは平準化していく。つまり日本国内の賃金水準は下がっていかざるを得ない。
■円高にメリット
○人民元が自由化されると、円預金が金利の高い中国へと流れて行ってしまうので、銀行は国債を消化するための預金を持てなくなってしまう。
○円高になれば、資源が高騰しても相殺できる。円高は交易条件を改善させる。
○輸出のメリットを受ける産業の経済規模と、資源を輸入する素材産業の経済規模を比較すると、後者の方が大きいため。
○円安だと、人民元が自由化されたときに円資産の流出を止められなくなってしまう。
■規制により新しいマーケットを創出する
○環境規制によって技術の市場価値を高め、脱化石燃料の市場分野を作り出すことは必須の課題。
○これまで公共投資によ���て需要を喚起することが資本主義における国家の役割だったが、これからは規制によって市場を新たに創出するという役割が求められていく。
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専門家でないが内容に納得。有限の地球で成長し続けることには無理がある。エンデの遺言にも通じるものがある。環境規制を力としての成長要素に位置づけていくべき提言にも賛成できる。
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以前何かの本で読んだのですが、最初に共産主義が上手くいかなくなるが、その数十年後には資本主義も立ち行かなくなるというものでした。
この本では先進国が全てデフレ化に向かうことを予言した水野氏と、政治学者である萱野氏によって書かれた本です。資本主義が発生した14世紀ころまで遡って、議論をしている点が私にとっては特徴的でした。
また、日本経済について、企業の過剰借り入れが解消されつつあり、国債が消化できない可能性がある(p202)という指摘は注目すべきものでした。
以下は気になったポイントです。
・資源価格の上昇を製品価格に反映できなくなったのは、グローバル以前は先進国は先進国に対して主として輸出していたから(p18)
・95年度から08年度まで大企業の売上高は43兆円増加したが、変動費は50兆円増加した、95年以降に起きた資源高はオイルショック後の売上高変動費率の努力を吹き飛ばした(p23)
・16世紀から1973年のオイルショック前後までは、できるだけ交易条件を有利にした市場を拡大していけば、名目GDPを増加できる資本主義経済の構造になっていた(p30)
・日本は戦後60年間がんばって1500兆円の金融資産をつくりだした、欧米主導の金融空間では、たったの13年間で100兆ドルがつくられた(p36)
・OPECが価格決定力を持ってしまったのに対して先進国側が反撃したのは、石油を金融商品化して、国際石油市場を整備して、石油を戦略物質から市況商品に変えたこと(p41)
・ニューヨークやロンドンの先物市場で取引される1日当たりの生産量は、100万バレルで全体の1.5%程度であるが、何度も相対取引されるので、取引量では1億バレル以上になり価格決定力を持つ(p42)
・イラク戦争とは、イラクにある石油利権を囲い込むための戦争だったのではなく、ドルを基軸としてまわっている国際石油市場のルールを守るためのものであった(p47)
・アメリカの脱領土化の代表例が、価格決定がアメリカ先物市場にゆだねられていること、石油をドルでしか売買できないという経済システムにある、アメリカは中東石油を必要としていない(p50)
・イタリア(ジェノバ)、オランダ、イギリスの順に、利潤率(国債の利子率)の低下をうけて、次の国(今はアメリカ)への覇権交代が起きている(p67、図6)
・どの覇権交代の場合も、実物経済がうまくいかなくなって、利潤率が低下することで金融化が起きて、ある種のバブル経済が起きる、そしてその国のヘゲモニー(覇権)が終わりになる(p69)
・リーマンショックに象徴される金融危機はこれで最後ではなく、今後新興国で起きるであろうバブルのほうが大規模である可能性が高い、これは中世から近代へとシステムが変わった時に匹敵するような大きな構造変換である(p76)
・歴史の断絶点は、産業革命の18世紀よりも空間革命の16世紀である、産業革命に必要なクジラの油は、この時代の最大の捕鯨国であった(p85)
・グローバル化が進展した1870年から2001年まで着目すると、地球の人口の15%だけが豊かな生活を歩むことができた、15%(最大で10億人程度)が資本主義のメリットを受ける人々の定員である可能性が高い(p105)
・1600年当時のイギリスの軍司令官は、王室から略奪の許可証をもらった海賊であり、イギリスの海賊はたんなる強盗とは異なり、カトリックの船しか襲わないという規律があった(p123)
・イタリアのジェノバで金利が1619年に1.125%になったということは労働分配率が上がりすぎて領主が利潤を得ることができなくなったことを意味している(p133)
・アメリカが上手くいっていたのは、年間8000億ドル経常赤字であっても、1兆2000億ドルの資本注入があって、残りの4000億を海外投資してリターンを出していたから(p137)
・日本のバブルは、アメリカがソ連と軍拡競争をやっていた背景がある、16世紀にはスペインはオランダを戦争をしていて、それをイタリアの銀行家が支えていた、日本とイタリアに類似性あり(p168)
・バブルが崩壊した時に日本は米ドル債を売って資本回収をした、ドイツも同様に売ったので、アメリカはS&L危機が起きてしまった(p173)
・新興国の一人当たりGDPが2万ドル(日本やアメリカは4万ドル)になると、新たな国際的協調体制が生まれる、イギリスとスペインが100であったとき、イギリスやオランダが50になってきたときにウェストファリア条約(1648)が締結された(p225)
2011/7/2作成
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先の、「この経済政策が日本を殺す」と並行して読みました。所謂リフレ反対論者(何論というのだろうか?)の作品です。現代日本経済を理解うするうえで、ことなる2つの視点で見るバランスが必要と思ったから。バブル経済発生のくだりは面白かった。日本のデフレ擁護論と増税容認論は理解できるが、財政赤字解消のための制度と新しい規制による価値の創造について、具体的な記述がないのがイマイチか。
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(2011/8/15読了)まさに書名の通りの超マクロ視点で俯瞰する書。利子率のグラフが14世紀から書いてあって、資本主義500年の歴史を俯瞰してるスゴイ対談。久々にシビレたね。私はこーゆー大きな歴史の流れの中に個々の出来事を位置づけて意味を解説されると弱いんだお(笑)
いわく、『低成長を前提とした脱近代的な社会システムをつくらないかぎり、財政赤字などの問題はおそらく根本的には解決されえないのではないでしょうか』(P189)ということで、今は「資本主義+国民国家」システムから次の新しいシステムへの転換期であろう、というのが本書の主張。しかし、その新しいシステムってのは誰も知らない未知のものなわけで・・・。やっぱ、日本は、『中世社会に固執して財政破綻した16世紀のスペイン帝国』の道を歩むんじゃないかと、悲観的な私じゃった。うんまあ、栄枯盛衰やね。
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僕は、この本のような、マクロ的な話が好きみたいだ。
先進国は、途上国から資源を安く買い叩いて、加工した製品を高く売れる地域に売る。そしてそれは、外へ外へと拡大する。
しかし、ベトナム戦争の敗戦や、オイルショックで、交易条件が悪化した。さらに、先進国の出生率が2.1を下回り、国内も国外ともに市場拡大が頭うちになった。
国家による税の徴収と、資本による利潤の追求が合わさって、資本主義における蓄積というものがなりたっている。
環境に対する、規制が新たな市場を作り出す。
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タイトルのまま、超マクロ的視点から現在世界で起こっている物事を展望した本。
政治哲学者である萱野氏とエコノミスト水野氏のかけあいは面白い。
国家というものが経済にいかに関わるか、そして現在の状況はどういうことなのか、これは正しいなぁと思わされる説得力。
日本はあらゆる国よりも先に危機を迎えている。ここを乗り越えることができれば、先進国の中でもかなりのプレゼンスを発揮することができるだろう。さあ、ここを乗り切れるのか。
赤字は1,000兆円。道は、平坦ではない。
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タイトル通り、マクロ視点での現世界経済の現状を歴史を踏まえて説得力を持って論じている。もはや各国単位やミクロな視点からでは、語れない時代に突入していることを教えてくれる。
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自分自身、特に経済論に詳しくないんだけど
いまの多くの経済評論家の議論は、
金利引き下げがどうのとか、量的緩和がどうのとかの金融施策や
果てには「もっと、モノを買いましょう」といった
欲しくもないのに、無理矢理お金を使わせることを是とする
ような議論ばかりで、
「そんなことではいまの経済は変わらないんじゃない?」
といった漠然とした疑問がずっともやもやしていた。
例えば、野球の人気衰退についての議論に例えると
社会のなかの野球の立ち位置や環境が変化しているのに
スタジアムで起こることだけに目を凝らし、
「ネームバリューのある助っ人外人を連れてこなければならない」
「先発4本柱を育てなきゃチームは強くならず、ファンも喜ばない」
と、近視眼で延々と議論しているのが
いまの多くの経済論争のように思える。
だから、この本の冒頭で
「市場経済だけで資本主義を語るエコノミストたちへ」
と題して書かれた「はじめに」を読んで
これは、自分のもやもやを解消してくれる
本なのではないかと期待をもった。
結果はその通りであり、
多くの面で期待以上であった。
この本は資本主義のなりたちから、
現代に至るまでの歴史的変遷を俯瞰的な視点で
わかりやすく話を進めてくれ
資本主義の根本をなす「安く仕入れて高く売り、高い利潤を生み出す」
構造は、先進国においては限界にきていることを教えてくれる。
だから、いまメディアを賑わすデフレも
一過性の事象では決してない。
日本は世界の先進国のなかでも
先頭をきって「低成長社会」に突入したのだ。
社会の15%程度の人に富が集約するのが
資本主義の構造であり、
これまでの日本の中産階級もそこに含まれていた。
だから、それなりに余裕のある生活をみんなが送ってきた。
現在はグローバル化が進み、
規制緩和が促進され、自由貿易が加速すると、
その15%に世界中の人々が進出しはじめ、
日本の多くの中産階級の人々は、
残り85%(安い仕入れを提供する搾取される側)に
なってしまうという恐れも十分にあるのだろう。
いや、その可能性はかなり高いのでは?
2人がいうように、税や規制問題など
「低成長社会」であることをちゃんと認識したうえで
次の手を繰り出していかなければ、
一握りのお金持ちと貧困者というシナリオは目前に迫っている。
対談に出てくる2人のことはあまり知らなかったが
これからは、この2人の発言には
注目していかなければ....