投稿元:
レビューを見る
正直なところ、ちょっと筋がわかりにくいし、フィリップ・マーロウの描き方もあんまりクールじゃない(ハードボイルドじゃない)のでちょっとなぁとは思う。メイヴィス・ウェルドにフィリップ・マーロウが肩入れした理由もよくわからない。
でも、そうは言っても村上さんがあとがきで書いているようにオーファメイ・クエストはユニークで面白いキャラクターだし(日本ではないだろうな)、物語をひっくり返していく感じは読んでいて「お、そうきたか」とぐいぐい引きつけられる魅力がある。
あとがきを読む限りはチャンドラーも自覚しているようだけれども、映画産業に対する批判的な視点は、なかなかに読んでいて興味深い。
投稿元:
レビューを見る
読み終えるのにけっこう時間がかかってしまった。読書するまとまった時間を取れなかったというのもあるかもしれないけど、物語の中だるみ感も否めないと思う。
そんな風に読み終えるのに時間がかかってしまったからかどうか、この小説が2〜3日の間の話だということに驚いた。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹訳は、やはり素晴らしい。
文章が読んでいて無理なく入ってくる。チャンドラーの比喩表現も大好き。他のマーローシリーズも全部訳して欲しいです。
投稿元:
レビューを見る
読了しました。村上春樹氏があとがきでも書いているように、作品としてストーリーに矛盾点や、説明が不足している点が散見され、読み進んでいくうちに???となる点があります。
しかし、チャンドラーがいう枝葉末節は読みごたえがありますし、マーロウものを構成している大切な要素の一つだと思います。
まだ読み終えていない本が片付いたらロング・グッドバイやさよなら、愛しい人、または既訳の旧版も手に取ってみたいと思います。
投稿元:
レビューを見る
愛すべき駄作。訳ではなく原作が。
解説にあるようにプロットはめちゃくちゃ、人物描写も一貫していない。
「リトル・シスター」の人物像は最後の数ページに集約されるように、導入部の「匂い」を回収していて、描写が素晴らしい。
シリーズもののお約束から外れるマーロウ像が、タフではなくかえって面白い。
プロットが弱い分何度か読み直せそう。それでいて余剰な描写が素晴らしく、その点が愛すべき作品
ゆえんなのだと思う。
投稿元:
レビューを見る
行方不明の兄を捜してほしい。
私立探偵フィリップ・マーロウの事務所を訪れた若い娘は20ドルを握りしめてこう云った。
しかし、調査を開始した行く先々で起こる殺人。
謎が謎を呼び、ハリウッドの裏の闇へと誘われる。
投稿元:
レビューを見る
何度も眠くなり、中断しては戻って読み直してを繰り返し、読むのに丸2年も掛かってしまったが、話の筋はやっぱりよくわからなかった。
投稿元:
レビューを見る
好きな作家がいるとして、その人の著書が大好きだとしても、
翻訳した作品が自分にハマるかどうかは別問題であって...
そりゃそうだ、訳であってその人がつくりあげた物語じゃないんだから><
いや、分かってはいるんだけど、どうしても
「好きな人の好きなものなら、私も好きかも(むしろ好きになりたい!)」というような気持ちがあって(笑)
何回かチャレンジしてみるけど、何回も失敗してますね
^^;
そういう理由で、読みかけて最初の方で止まったまま数ヶ月が過ぎました。
投稿元:
レビューを見る
正直な話、何が何だか分からないところもあったのだけれど、フィリップ・マーローがかっこいいから許そう。本当のハードボイルドは権力に屈しないし、たった20ドルで仕事を請けることも厭わないのだ。(いや、そんなことはないけれど)。
チャンドラーは自身でボロクソに行っていたらしいけれど、村上春樹はこの作品を「愛しい作品」と位置づけている。
たしかに推理小説として読んだらとんでも小説だけれど、そういうのもアリなんだなと妙に納得してしまった。
マーローみたいに女性を扱えたらそれはそれでかっこいいんだろうな。嫌われそうだけど。
投稿元:
レビューを見る
読みやすい訳で文章に引き込まれていったこともしばしば。
物語としては解説で村上春樹が言うように
途中途中で「?」になるとこもあり、
いささか腑に落ちない。
複雑にせずもう少しシンプルだとよかったかな。
投稿元:
レビューを見る
翻訳者の村上春樹も「訳者あとがき」で書いているとおり、ストーリーの筋が整っていない印象が強く、物語の世界に強くひきこまれることはない。
それよりも、主人公の私立探偵 フィリップ・マーロウがそこかしこで口にする、ちょっと気の利いた面白いセリフの方に、魅力を感じる。
投稿元:
レビューを見る
会話のテンポや絶妙な比喩、シニカルで皮肉たっぷりなこの物語がチャンドラー本人によるモノなのか、役者である村上のおかげなのかはわからないが、ものすごく楽しんで読めた。確かにストーリーの辻褄が合わない箇所や意味がよくわからないところはあったが、それを補って余りあるくらいの魅力のある作品だ。
投稿元:
レビューを見る
レイモンド・チャンドラーによる私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とするシリーズの一冊。何と言ってもチャンドラーの作品の魅力はこのフィリップ・マーロウという素晴らしく魅力的な人物造形にあるわけで、アイロニカルな笑い、クールな彼が珍しく感情を露わにする場面などを楽しみながら、今作も読むことができた。
プロットに若干の荒さはあり、かなり読み進めるのがしんどい部分もあるのは事実だが、タイトルにある「リトル・シスター」にマーロウが最後に対峙する場面でのやり取りは名シーンだと思う。
投稿元:
レビューを見る
村上訳チャンドラーとしては三作目になる『リトル・シスター』。旧訳では『かわいい女』だった。最近特に奇異とも思わなくなった英語原題片仮名書きタイトルだが、今回は兄弟関係がテーマになっていることからもこれが適当だろう。化粧っ気のない縁なし眼鏡をかけた田舎娘をつかまえて「かわいい女」はない。旧訳タイトルの「女」は誰を指しているのだろう。誰をヒロインにするか、訳者の好みでタイトルが変わることもある見本。七篇あるマーロウものの長篇第五作目。タフが売り物の探偵も三十八歳になり、少しくたびれかけている。
カンザスの田舎から音信不通の兄を探しに妹が出てきた。曰くありげな娘の様子が気になり、相場の半額で仕事を引き受けたマーロウだったが、行く先々で出会うのはアイスピックを頸椎に突き立てた死体。どうやら強請がからんだ事件らしい。現場で見つけた一枚の受領証を手がかりにマーロウは事件の解決をはかる。だが、そこには映画の都ハリウッドならではのスキャンダルが隠されていた。大量の注射針を隠し持つ医者やアル中のマリファナの売人、詐欺師、やくざ上がりのハンサムなレストラン経営者と、虚飾の都の裏通りは背徳と頽廃の棲処だった。推理する暇もあらばこそ、一気に大団円に向かって突き進む展開は息つぐ暇もない。たった二日間の出来事なのだ。その上最後の謎解きがどんでん返しにつぐどんでん返しで真相は藪の中。
正直いって、ミステリとしてあまりよくできた作品とはいえない。プロットが複雑すぎて一度読んだだけではよく分からず、何度も前の頁を繰る羽目になる。前に戻って読んで分かる場合はいいが、どれだけ読んでも分からない部分もある。会話の中で、すでに話されたこととして処理されている内容が、実はどこを探しても書いてなかったりする。
男性に比べると女性の人物造型が難とされるチャンドラーだが、今回も重要な役割をつとめる二人の映画女優の造型はいまひとつ。セクシー・シンボルを地でゆくドロレスはカリカチュアとして楽しむことができるが、マーロウが守ってやりたいと思う売り出し中の女優ミス・ウェルドの方は、映画の台詞をなぞっているようだ、と自分でも口にする。ヒロインが自分で類型化されたキャラクターだと証しているようなものだ。
それでは、面白くないのかと言われるとそれはちがう。さすがにチャンドラー。読者が何を期待して自作を読むのかよく知っている。たとえば、独特のキレがよくってテンポのいい会話はいつにも増して洒落ている。ちょっとメモしておいて使いたくなる決め科白も少なくない。ひねりが効きすぎて時に理解不能になる比喩の濫用。やたらに長い修飾部を持つ饒舌な文体。自己憐憫に陥る一歩手前のルサンチマン溢れる社会批評。タフでハードな探偵稼業をきびきびこなす男の裏側にあるセンチメントをこれでもかというくらい過剰に見せる演出は今回も絶好調である。チャンドラーを嫌う人なら目を背けたくなる。
女を描くときは類型的だが、男の場合は別だ。チャンドラーの筆はエキセントリックなまでに個性的な人物を描き出す。ガラスで囲まれたオフィスのパティオで三匹のボクサー犬に小便をさせる映画会社の社長オッペンハイマーの見せる迫力はどうだ。この手の大人物の前ではマーロウなんぞひよっこの青二才に見えてくる。昼間ピアノ練習をするために深夜の勤務を選んだ物静かな警官もいい。タフを売り物にする男たちには皮肉で相手するマーロウが唯一心を開いてみせる。出番はわずかだが、その存在感は大きい。それとは逆で、一生懸命やっているのに誰からも誉められず、批判され、嫌われるばかりという警官を代表するフレンチ。このロス市警警部補がマーロウに奮う長広舌もいい。凡庸な人物の心の裡に降り積もる日々の鬱屈。このスピーチに共感する読者も多いだろう。チャンドラーは、一作ごとに強烈な印象を残す脇役を創り出す。小説の魅力は人物にある。
最後まで読み終えても、何度でも読み返したくなるというのがチャンドラーの小説である。犯人が分かってしまえばそれで二度と読み返すことのない「ミステリ」の枠におとなしく収まっているような代物ではない。『リトル・シスター』には確かに瑕疵がある。それは作家自身承知していた。が、それを補ってあまりある読む愉しみを味わわせてくれるのも事実。評者は新訳を充分楽しんだ。さて次回は、何を訳してくれるのだろう。『大いなる眠り』あたりではないか、と思うのだが、それではあんまり本命過ぎるか。いずれにせよ、楽しみなことである。
投稿元:
レビューを見る
清水俊二版マーロウに慣れ親しんでいるので村上春樹版マーロウは物言いが少々理屈っぽいような感じ。あくまでも個人的な感覚ですが。