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「宗教とは心の拠り所だ。何かを信じることにより、人が幸福を得ることに他人が否を唱えるべきではない。金や物も確かに幸福を与えてくれるが、感情は外部から与えられるものではなく自らの心の内に生じるものだ。幸福を得る為に地位や金、力を求める人間はいるが、それらを得るために幸福を求める人間はいない。即ち、金を求めるのも宗教を信じるのも目的は同じ――幸福を得るためである、と私は思っている」
『蛟堂報復録』シリーズ第六弾。
内容紹介です。
連続する宝石店強盗。その最中、蛟堂に当の強盗団から報復依頼が入った。怪しすぎるその内容は、過去に祖父・尊が受けた案件と奇妙に重なって(『罪人は誰か』)。幼い我が子の死には、なにか裏がある…。疑いを持った両親が真相を知るべく持ち込んだ報復依頼。それが、悲劇のはじまりだった(『安達ヶ原』)。報復にかかわる妖しく哀しい人間模様を描いた怪異物語。
丑雄と辰史の決裂の理由が少しずつ明らかになってます。
少しずつ、ですよね?まさかあれだけが原因で決裂したとか言いませんよね?
「罪人は誰か」
辰史の以来と祖父である尊翁の依頼が交互に(辰史の回想として)書かれているんですが…。
辰史の方は無理やりにでも納得は出来る。
依頼者も被害者(?)も犯罪者ですから。
けど、尊翁の方は被害者ってなんか問題あったっけ…?
「無関心は罪」ってやつかしら?
「安達ヶ原」
太郎ちゃんの成長物語(違う!)
辰史と丑雄の決裂の契機の一つ(だよね?)のお話。
なんつーか救われない。
そしてこんなに若い時から丑雄の身勝手な正義が腹立つ。
元々の「安達ヶ原」の方が数倍報われなくて辛いですけどね。
少しずつ太郎ちゃんも変わって行くんでしょう。
これから先太郎ちゃんが触れた辰史と丑雄の二人によって何を思い、どういった決断をするのか。
少し、楽しみです。
最後に
丑雄の掲げる正義が、時に誰かを傷付ける刃となり得るなどとは考えもしなかった。
とあるんですけど、「考えもしなかった」っておい!
よっぽど人の悪意とかに鈍感に過ごして来たんですかね、この子。
正義はあくまで一方のものでしかない、なんて誰もが子供から大人になるときに知ることじゃないですか。
万人に通用する正義なんてこの世の中にないって。
「正義」を掲げる人間はただの「恥知らず」だと、私なんかは思いますけどね。
(私性格悪い?)