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最近、レシピ本が売れているらしい。
企業の社員食堂や大学の学生食堂などを取り上げたものが多いようだが、おそらく購入者の役に立ってはいないだろう。「食堂」のメニューと「食卓」のメニューは根本的に違う。予測可能な多数に対して限られたメニューを提供する社食や学食なら、低コストで内容の充実した献立も容易だ。しかし、これを家庭で真似すると大赤字である。そのうえ「超面倒くせー!」から一度で懲りる。そのようなメニュー本を毎日実践できるのは、よほど金持ちで料理好きの暇人だろう。
日々の家庭料理で大切なのは、限られた食材で、短時間でできる、シンプルな調理法である。
その点、このメニュー本はタイトルからして合格とわかる。嬉しいのは各地の伝統メニューを中心とした部分。近頃は「美味しいもの=珍奇な料理」的な風潮が横行して嘆かわしいが、この本にそんな心配は無用だ。変化球や実験メニューはない。(ただし、「釜バター」と「釜バジル」は美味しいから許す)
メニューのほとんどは、うどんを茹でている間に下ごしらえが済むため仕上げは一瞬だ。酒飲んで小腹が空いた時などに重宝する。このメニュー本なら毎日でも実践できるだろう。まあ、毎日うどんでも困るけどね・・・。