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紙の本
「勝って兜の緒を締めよ」の日本海海戦。
2011/01/17 19:08
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
横須賀にある「三笠記念館」を訪ねたことがある。巨大なタンカーや商船を見慣れた現代からすれば、極めて小さな船体に驚く。これが本当にかつての日本海軍の軍艦だったのかと疑念を抱かざるを得ない。さらには、司令長官室、会議室等、クラシカルなホテルを彷彿させる装飾品に明治を感じさせるが、この戦艦が日本海海戦の旗艦だったとは俄かに信じがたい。
その「三笠」を目にすると、広い洋上での戦いがどのようなものであったか容易には想像できない。距離1万メートル、8千メートルからの射撃と言われても、実感が湧かない。敵艦隊も豆粒ほどにしか見えなかったのではないだろうか。実戦に参加した将兵も極度の疲労と興奮状態のなかで、記憶も曖昧模糊としていたのでは。ビデオ、偵察衛星、インターネットも無い中、伝聞だけが独り歩きした日本海海戦だったのではないだろうか。
本書は、その伝聞といっても良い海戦史を再確認した形になっている。多くの人は小説の世界での丁字戦法に酔いしれるが、実態はどうだったのか。英雄東郷平八郎が寡黙になった理由とは、作戦参謀である秋山真之が後に神がかり的な思想にのめり込んだ理由とは。それを本書が解説していく。
日本海海戦が決してスマートな戦いでは無かったことが分かるが、半世紀以上も前の戦争も、過剰な国民の期待にこたえる報道だった。同じく、日本海海戦も国民が望む報道がなされなければ納得できなかったのだろう。そのために、日本海海戦は作られた海戦史だったのではないだろうか。
冒頭の「三笠」だが、日本海海戦後に佐世保軍港で事故爆沈した事はあまり知られていない。意図的に爆沈事故を国民に知らせまいとしたのだが、この隠ぺい体質が後の大戦での大敗に結びついたのではと思うと、日本海海戦は「勝って兜の緒を締め」なければならない戦いであったことがわかる。
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