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室町幕府草創期の義詮から、権力を掌握した義満、そして幕府体制が完成した義持の3代にわたる最新の室町幕府論を提起。
実は内容の要約として本書の最後の「おわりに」に数ページ亘って記されているので、お急ぎの方はそちらをどうぞ。著者さん僭越でごめんなさい。(笑)
手っ取り早く言えば、世の中、お金が全てさということである。南北朝の動乱を経て、税の収取体系を再構築した室町幕府。朝廷儀礼との接し方からはじまって、その金の捻出方法から辿る各ネットワーク。極端に上前をはねるやり方がその後の禍根を残したのですね。(笑)
余談だが、メチエ選書では東大系?の日本中世史シリーズが刊行中であるが、京大系?として研究史の総合力を結集して一人挑む気概が感じられとても面白かった。
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室町幕府論今はやりなんですか?将軍の京都行政を中心に幕府の主体性を論じる。しかし、これを見ていると、「如何に地方の富を京都に効率よく分配するか」という問題が時の行政府の課題だったかがわかる。というか、この時代なんてほぼ完全地方分権だから、訴訟整理と都市機能維持くらいしか中央政府のすることはないのかも。そうすると、室町幕府は応仁の乱で機能停止したってのは疑わしいのかもなあ、と思う。では、逆になぜ日本を統一政権にしようとする人たちが出てきたんだろうとも思う。その意味で、この本に書かれていた「主体的な室町幕府」はいつから制度疲労したんだろう。その辺が知りたかったかな・・。
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メモ
2代将軍足利義詮、3代義満、4代義持の時代にかけての室町幕府論。政治・宗教・経済などから分析。室町幕府の体制が確立したのは4代義持の頃。
義満の自由奔放な性格、時間に厳格(当時の人は時間にルーズ)、天皇や日本国王になろうとしたかつての学説の否定を知った。また、相国寺七重塔、大山崎の商人、在京守護大名の菩提寺についての研究をとくに興味を持って拝読した。
中世、とくに室町時代は混沌として解りにくいが、大陸との交易や朝廷・幕府・守護大名・有力寺社・民衆の動きが平和であるとされる江戸時代の体制に比べてダイナミックで(史料的制約で分かりにくいのかもしれないが)面白いです。
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室町幕府を経済の側面から考えたことがなかった
比叡山・・・南都・・・朝廷
さまざまな特権を求めて権力にすり寄る
実態の中から朝廷・幕府の機能具合もわかる
(難しいです)
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130831 中央図書館
室町幕府といっても、義持の時代まで。京都に政権機能をおいて、何とか機能させようとする義満の活動が中心。モチーフになるのは、天竜寺、相国寺であり、とくに相国寺の傍らにあったとされる大塔だ。
公武の関係、明との関係など、大きなテーマを抱えていた義満だが、時間にうるさい、服装にうるさい、などなかなか人間臭い「王」であったのだろう。また、この時代の中国文化が政権中枢の守護たちにかなり浸透してたらしい。守護大名は単なる乱暴者ではなく文化素養もかなりあった、と。
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『麒麟がくる』からの遠い連想で久方ぶりに再読。なかなか面白かった(要するに覚えてなかったということですが)。
延暦寺の立ち位置とか義満の成り上がり振りとか色々ポイントはありますが、やっぱり朝廷(もっと言えば天皇)の存在は、日本土着の信仰に繋がるんですかなぁと改めて思った次第。
義満も信長も誰もが「滅ぼす」ということ自体を考えていないことからも、その存在の異次元さが判ろうというもの。摩訶不思議ではあるけれど、信仰と考えれば腹落ちします。