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私小説は苦手と思っていたけど、これはそんな感じもなく面白く読めた。
突き放しているというか、客観性のある書き方というか、それが良かったのかもしれない。
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屈折してるなあ。一度陥ってしまった悪循環のループ、抜け出すのは至難の業。人は本来怠け者だから、楽な方へ楽な方へ行きたがる。でも楽な方に行っても決して楽じゃないし、満足できない。現状から抜け出したいのに出来ない悶々とした心情に共感。
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話題の経歴話題の受賞作だったから、とにかく読んでみたかった。
しかしながら、話が推測でき、ワクワク感や
結末の面白さがあまり感じられなかった。
一気に読むことのできる読みやすさはあった。
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一生経験するはずのない物語なのに、極めて普遍性を持つものだった。
読み進めながら感じた苛立ちや惨めさは主人に対するものでありながら自分に対するものでもあった。
嫉妬とか、惰怠とか、弱さと下らないプライドからくる心の一番醜い部分を抉られているような感覚を喚起する小説だったと思う。
ただ、友人の彼女を犯す妄想の下りは少し読むのに耐えられないものだった。
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読み終わったあとの、居心地の悪さこそが小説。文体は洗練されている。
人間の弱さや醜さがヒリヒリする。
芥川賞のあとどんなテーマで書いて、どんなメッセージを込めてくるか、注目したい。
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文芸春秋の芥川賞発表
受賞作二作前文掲載号を購入した
思えば
「限りなく透明に近いブルー」の時に買って以来かな
さて
今回の受賞作の内
どちらから読もうと思って
どっちが好きかっていうと
絶対「きことわ」なんだけど
まるでこの作品の深みに
ずるずると引きずり込まれてしまった
そういう作品なのだ
「これあんまり好きじゃない・・・」
って頭では思っているのに
そこに引きずり込まれる
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読む人によってはイライラの塊。途中で投げ出したくなるような作品。好き嫌いはっきり分かれる作品だと思う。
俺はというと、悲しいくらい共感してしまった・・・。
主人公(作者)と境遇は違うが、性格的にどこか似ている所があるんでしょうね。あまり嬉しくないけど。
共感してしまった身、作品自体は好きな類です。
でも反面教師じゃないけど、これを読んで、共感してしまう自分の性格をちょっとは変えたいと思ったね。
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ほう・・・こういう風に書くのか~表題作:性犯罪者を父に持つ中卒の19歳の男は家賃1万円前後の3畳間に一人住み,金がなくなると港湾荷役に出掛けていくが,多少とも金があるとのんべんだらりとした怠惰な一日を過ごす。同じ年の専門学校生の日下部が話しかけてきて,友達のいない貫多は毎日仕事に出るようになるが,倉でのプラッターの操作を早々に諦めてしまった貫多と日下部の距離があく。「落ちぶれて袖に涙の降りかかる」:四十男の貫多は,あちこちで諍いを起こしながらも売れない小説家をしているが,川端賞の候補になって,ぎっくり腰の痛みが引いてきて,古本屋で川端康成の本を買って拝んでいる~「曩時北町貫多の一日は・・・」「年百年中・・・」聞いたり見たりしたことのない表現を使う。作品よりもキャラクターで売っているが,私小説だから私生活そのものが売り物であるわけで・・・表現は難しい。1967年江戸川区生まれ,野間文芸新人賞を受賞。藤澤清造全集を個人で編輯(集)中。篦棒とか慊いなんて漢字も使っていて,なかなか馴れるのに苦労する
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もっと暗い話なのかと思っていたが、そうでもなかった(笑)
ただ、希望はない。
日雇労働で生計をたてている男の生活がただ書かれているだけ。
主人公は、努力もしなければ才能もなく、親しい友人もいない。
幸いなことに、私たちはこうではない。
しかし、共通点もある。
自分を正当化するために人を見下してしまったり・・・
無駄遣いをやめようと思いながらやめられなかったり・・・
大切な友達のことをちゃんと考えられていなかったり・・・
主人公は私たちにとっていい反面教師なのではないだろうか。笑
そこまで不快にもならないし、ページ数もそれほどないので、読んでみたらいいのではないかと思う。
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日雇いの仕事で暮らす主人公に友人ができて・・・。という話。
暗い、ネガティブ、妬み、思い通りにならないと攻撃的になる、相手を見て行動する、などなど、で脱力。
また、格差問題や社会主義思想とかそういったテーマの小説でもないと思う、たぶん。ところどころに小説家を目指していたりまど、著者の私小説を匂わせてるけど・・・。内容は面白いです。
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古い小説を沢山読んでいることを窺わせる硬質でしっかりとした文体。内容はプロレタリア文学+私小説で、開き直れば笑えるが、僕には無理。悲惨な境遇よりも、それにより形成された性格が仔細に描かれているため、とても痛ましい。新しさはないかもしれないが、こういう作家は時代に1人はいて欲しいし、自分が読むきっかけにもなったし、受賞はめでたいことと思う。
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湿った畳の饐えた匂いに始まって、洗濯していないシャツ、共同便所、倉庫街の縁の海の匂いに至るまで、本を読んでいる間ずっと、頁の中に鼻を突っ込んでいるような気がしていた。臭い匂いの中にはわざわざ嗅ぎたくなる匂いもあるのだ、と思った。その時々の心情を表現する描写も、手垢のついていないものが多く、印象に残った。
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読むに値する本とは、読み進み易い本である。寝ていても、続きが気になり自然と目が覚めた。2月最後の読了本とするために、28日23:55に目が覚め23:59に読了となる。
港湾作業の日雇い人夫として、自由で怠惰な生活者でありながら、プライドだけは人後に落ちない。堕落していく姿を見ていて、思わず「当然!!」と叫びたくなる。さすが芥川賞。2011/02/28
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著者の経歴とか境遇はよく知らないけれど、明らかに実体験を吐露してる感あり。恐い。個人的には「○○は根が××だから~」という表現が多用されるのがどうしても許せなくて、謎の苛立ちを覚えながら読み終えた。ただたまに表現や言い回しがセンスありすぎて、ずっと読んでいたくなるんだなこれが。
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主人公19歳の怠惰な性格それでいて変にねじ曲がって自尊心と虚栄心が強く対人協調も不器用といった人物像、生い立ちにおいて猥褻犯罪者の子息、母の愛情も不十分なのか本人が自覚できないのか、いやはや”惨めスパイラル”から脱することができず小心地獄の様相、どうしようもない自分を一人称で開き直って語られる重さと滑稽さは不思議な切なさと自嘲をもって綴られている。後編の40代の貫多はこうした青春が創り上げた一種の文学苦役労働者なのかもしれません。
前作、”小銭を数える”も凄まじい惨めさでしたが芥川賞受賞作『苦役列車』はもう笑うしかない惨めさでした。
読後感=飾らないありのままは読む側も苦役労働の感ありて・・・