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著者の駒沢弘樹氏は、若手の社会起業家でフローレンスという病児保育を行うNPOの代表だ。氏が事業をおこなっていくなかで感じてきた疑問や問題意識が語られる。
そして、この本の中心テーマとなる寄付税制の改正の提言。読んでいると、まさにここが社会を変えるたえめのブレイクスルーポイントになりうると分かる。
公共を支える自治体や国に「税」として治めるか、公共を支える民間主体であるNPOに「寄付」として社会投資できるか市民が主体的に選択できれば市民は納税者(タックスペイヤー)としての意識を強く持ち、寄付がきちんと機能しているのか、と同時に税金がきちんと使われているのか、という感覚を強くもち、ひいてはそれが国家をきちんと監視し、意見を述べていく参加する民主主義への建設へつながっていくのだという主張。
ある問題が起きても、政府はすぐに対処することができない。制度化となれば何年もかかる。そのあいだに誰かがその新しい問題に対処しなくてはいけない。そんなときに欧米のように寄付が集まれば、国民が自律的に、かつ迅速に社会問題に対応できるだろうと・・。
第6章では「もし寄付が当たり前の社会であったなら。」というタイトルで寄付が当たり前となった社会の様子が活き活きとえがかれている。NPOが活発になり公務員や政治家もうかうかしていられない。また世界中の不公平に国民が自ら立ち向かえるようになる。
この本を読んで、NPO、税制、寄付、新しい公共などのキーワードでモヤモヤしていた部分がすっとつながり見渡せたような気がした。
・・・良い本なのだが最期の「寄付先のご紹介」だけは余計だと思う。
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寄付入門といったおもむきの書。多様な情報が盛り込まれていると同時に、筆者の実体験のドキュメントでもある。若い人、学生を読者として意識しているようで、優しく温かい語り口が印象的だった。
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寄付に関する知識を整理するのに非常に役立った。
大まかな内容としては
日本に寄付文化の浸透が必要である。ただ日本に寄付文化がないわけではない。ここで例として勧進、カンパ、さい銭、布施(大体は仏教関係)といった例が挙げられれる。
また、ファンドレイザーのような役割を担ってきた人として
空海、高野聖、二ノ宮尊徳などが挙げられる。
そして、寄付文化を根付かせるための具体的な手段として「NPO税制改革」。この改革により「参加する民主主義の建設」が期待できる。
大きな変化としては
・寄付金による減税措置がとられたということ→控除率が高くなる=税金が低くなる
・認定NPOをとりやすくなることで、NPOが寄付を集めやすくなる
そして、市民一人一人が動き出すためにということで、学生だったら、企業の方だったら、主婦だったらということで、様々な立場で寄付の関わり方について述べられている。
感想
寄付金が集まれば、確かに現場は動きやすくなるのだろうけど、寄付=参加という形式ではないことが大事であると思う。直接現場に出て活動に参加する。その中で人と出会い、自分自身とその人が抱えている問題(問題だけではなく希望も含めて)の関係性を考える。そういった地道な活動への参加が必要不可欠であろう。
個人的には、仏教思想と寄付の関係性が気になるなるので今後調べてみたいと思う。
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書内でのハーバード大学を用いての例示が分かりやすい。
「大学は学生と言う「受益者」から徴収する授業料が、収入の柱。
それに加え、多くの方から寄付を集め、社会に有用な研究を行う。
収益源を多様化することで、財源基盤が強固となり、
さらに大きな社会的成果に繋がる。」
大学名は、最初の寄付者、ジョン・ハーバードに由来するとのこと。
ビジネスの基本は「見返りを求めずに、与えられる」こと。
寄付行為は、自分にポジティヴのラベリングが出来て、
自己肯定感が蓄積でき、それは自分自身に底知れない自信と、
パワーを与えてくれる。
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あえて★★★
超有名な社会起業家の駒崎さんが記した「寄付」の本。
フローレンスでの新プログラムを寄付を中心に成り立たせる話からはじまり、寄付についてそこそこの厚さの本。
年末からお騒がせの伊達直人さんには是非読んでもらいたいですね。
一方でこの分野に明るい人にとっては物足りないかも。
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NPOのフローレンスはBBTのビデオで見たことがあり印象に残っていたが、そうとは知らずに購入。本書で扱われるNPO法人も寄付も、日本ではどこか胡散臭さを感じさせるのも事実であるが、その誤解を解き、寄付とは税金の代わりに自分でお金の使い方を決めることが出来る優れた制度であることを、自らの体験談を元に説明している。
彼が関わっている人たちとそのエピソードがすばらしく、読んでいて感動し、熱い物がこみ上げてくる。
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時間がないという人には時間を作り出せないように、寄付できないと言う人はきっとお金があっても社会的貢献などできないだろう。これからの社会を読み解くためにも、これから社会にでる人に是非読んで欲しい本。
***(2011.1.20)
やっとこの本を読む順番が回ってきた。
パラパラめくっていくと用語集と寄付先のNPOの一覧が巻末に。
用語集を読むだけで面白そう。
待った甲斐あり。
さぁ読むぞ。
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「寄付をする」という行為について
歴史や価値について
非常にわかりやすく述べられています。
駒崎さん自身が
寄付税制改革を進めていかれており
とてもワクワクしながら読むことが出来ました。
「自分には寄付ぐらいしかできないけど。。。」という人が
日本には多い気がしますが、
寄付が世の中を変えていくことを教えてくれる
良書だと思います。
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・ささいなことだが、パーティの写真をみたとき、無性に苛立たしい気持ちになった。ああいう場にだけは行きたくない。
・人のためとか社会のためとか、そういう行動について意義を感じられない自分がいる。人間や社会そのものを嫌っているというのが多分その理由。人間社会は感情によって動かされる部分が多すぎる。それに数十年もすれば、人間や社会なんて総取替えだし。
・シングルマザー問題に関しては、結婚なんかしなけりゃいいのに・・・という思いがあってどーにも。うちもシングルマザーだが、結婚さえしなければ、今よりずっと母は裕福な職業人生だっただろうし、なにより俺も生まれないで済んだ。
・寄付をしようという気にはあまりなれないし、将来的に自分の稼いだカネは自分のものにしたいと思う。税制変わったら、税金納めるよりは…と寄付するかもしれんけど。
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投資、今までの観念で行きますと
株や投資信託、または読書や自分の為の投資などなどでした。
しかし、この本は「寄付」という名の投資を述べています。
今までの生活ではあまり縁のなかった寄付。
寄付をすることによって自分が豊かになる。
新たな自分を発見させてくれる本です。
しかしそれに留まらず、寄付とは一体何なのか。
寄付をすること、そして寄付を募ることのメリットなど、
寄付を利用した人生計略も載っております。
今までにない視点の本でしたので、とても勉強になりました。
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病児医療を扱うNPOフローレンスの代表・駒崎弘樹氏による一冊。
ひとり親サポート隊員の誕生に至るまでから、寄付による選択と選択を実現する投資、という内容をまとめた上で、鳩山内閣時の、新しい公共、日本の寄付税制を所得控除から税額控除(=寄付は損金として算入)し、納税者として社会投資者として公と民との選択を行い、公は注力できる分野(防災、警備、上下水道、)に注力出来るといった内容が展開されている。社会サービスには何らかのコストが発生しており、受益者としての負担意識と利益を出す(=必要とされている、価値があると認識されている)担い手を増やすことは、国富の増大にも繋がる、望むべき社会だと思った。まず、身近な寄付という行為から始めたい。
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サービスの提供価格を抑えつつもビジネスとして事業を継続して提供することを目指し、
共済型・非施設型の病児保育のサービス、また母子家庭等一人親のためのさらに価格を抑えた
病児保育サービスを行う、NPO法人フローレンスの代表である駒崎弘樹さんの本。
31歳の駒崎さん。
ある日ベビーシッターをしていた実家のお母さんから突然の電話。
お気に入りのお客さん(双子のママ)から、
もう今日でシッターを終わりにしたいと突然言われたとか。
驚いたお母さんは「私が何か悪い事をしてしまいましたでしょうか?」と
恐る恐る聞いたところ「いえいえ、駒崎さんには本当に感謝しています。
私が会社をクビになってしまったので、もうシッターをお願いする必要がなくなったんです。」
とお客さんに言われた、と。
お母さんが理由を尋ねると双子のママは
「先日子どもたちが熱を出してしまいまして、
保育園では 37度5分以上出ると預かってくれないので、
会社を休んで看病したのです。
双子だったのでお互い移し合ったりして結果的に長い期間休まざるをえませんでした。
そうしましたら会社が激怒し、解雇ということになったんです。」と。
子どもが熱を出すというのは当たり前。
それを親が看病するのも当たり前。
私たちは当たり前のことをして職を失う社会に住んでいるー。
これが駒崎さんが感じた社会への違和感です。
そして大学卒業後病児保育のビジネスを立ち上げることにしました。
けれども、病児保育の世界は厳しく保育園の数と比べると病児保育施設は2%。
地域的にみると全く使えないところもあります。
なぜそんなに少ないかというと経済的になりたたないからです。
世の中では必要が増えているのに、国の補助金等をもらったとしても
やれば必ず赤字という仕組み。誰も進んで参入しません。
いろいろ考えたあげく、昔近所にいた「松永のおばあちゃん」のことを思い出します。
血のつながりも何もないけれど、近所で子どもを預かってみてくれていたおばあちゃん。
そういう人にお願いすれば施設を構える必要もありません。
あとは松永のおばあちゃんみたいな人が、いざという時は
近所の病院や医師に助けを求められるバックアップ体制をつくり、
サービスの提供料は1ヶ月いくらという定額制の共済型掛け捨てにして、
この定額料金でひと月に1回は無料で利用できるというサービスにしたのです。
子どもが小さい時にこのサービスを利用した人が、
いつか子どもが大きくなれば今度はみてくれる側になるかもしれない。
そんな可能性もあるサイクルです。
サービスをはじめると大手企業が社員のために入会してくれるケースもあり、
やがて評判が広まって厚労省が見学に訪れます。
そして二ヶ月後には「施設を持たない病児保育を国が行います」という新聞記事となり、
つまり駒崎さんのアクションが国をも動かしたのです。
駒崎さんはこの後、病��保育を利用したくてもさらに利用できない一人親が
現在の世の中にどれだけ多くいるのかということに直面することになります。
その多くは非正規労働者でその半数は雇用保険に加入していません。
失業しても半数は失業保険を受けられないのです。
会社を休めば職を失ってしまう、だから子どもに
「熱が出たらお母さん会社にいけなくなっちゃうよ」とどやしつけるところまで
追いつめられてしまう、逆に子どもは自分が熱を出したらお母さんが職を失ってしまうと
子どもながらに罪悪感を精一杯感じて頑張ってしまう。
家の中に緊張感が張りつめている状態ー。
そんな思いがあり新たに始動した「ひとり親パック」。
サービス提供料を抑える分の財源を通常サービスの収益を充当するカタチでなく、
こっちのプログラムは新たに単独で寄付等の財源を獲得することとなり、
まさに現在の日本のファンドレイジング(資金調達)部門の第一線をいく
ファンドレイジング協会の鵜尾さんに、駒崎さんも相談します。
個 人のサポート隊員制度、クリック募金への参加、
やがて企業の寄付を得るまでになり、ひとり親パックも動き始めるのです。
ひとり親パックを利用したあるお母さんから、
サービスを利用し始めるやいなや子どもが高熱を出したんですという手紙が届きます。
「子どもが、疲れた時にやっと熱を出せるようになりまし た。」
そんな駒崎さんのNPO「フローレンス」の経験談を中心にしながら、
日本における寄付文化醸成の必要性、また私たちが個人としてで きること、
行政職員だったらできること、特別の技術や専門知識を持っていたらできること、
教師だったらできること、マスコミの世界にいたらできること、
学生だったらできること、大企業に勤めていたらできること、
議員だったらできること、有名人だったらできること、
子どもを持つ親だったらできること、
これからの社会への関わり方を様々に説いてくれます。
ところどころに挟まれる数々の先人たちのコトバも素晴らしいー。
企業は顧客への販売によって金を手にする。
政府は税金を取る。しかし、非営利組織は、寄附金を募らなければならない。
ー P.F.ドラッカー「非営利組織の経営」
世界のどこかで、だれかが被っている不正を、
心の底から深く悲しむことのできる人間になりなさい。
それこそが革命家としての、いちばん美しい資質なのだから。
ー チェ・ゲバラ「娘への最後の手紙」
国があなたのために何ができるかではなく、あなたが国のために何ができるか、
問いかけてください。
ー J.F.ケネディ
未来なんて、ちょっとしたはずみでどんどん変わるから。
ー 藤子・F・不二雄「ドラえもん」
あなたが見たいと思う変革に、あなた自身がなりなさい。
ー マハトマ・ガンジー
発展した末の多様な社会にあるニーズもまた多様で、
NPOなどはその多様さにピンポイントで応えられる可能性があります。
NPOはボランティア団体でなく、 非営利組織の「非営利」は
収益を株式会社��どのように株主に分配するのでなく、
自らの公益活動の継続に必要なために使います。
だから継続させられるように人件費も当然にいれば、
新たな事業展開への投資も必要です。
「寄付」というと、ひとむかし前はどこかに頼まれて断れずにするような、
強制的でうさんくさいようなイメージもありましたが、
これからの寄付は駒崎さんの言うように、
自分がこういう社会にしたいという社会像への投票や投資として、
私たちの方から積極的に社会を作る参加の方法となると思います。
とはいえ難しく考えなくても、
自分が思っていないところで寄付している可能性もあります。
たとえば年賀状を書くときに絵を考えるのがめんどくさいから
最初から絵入りの「寄附金付年賀状」にするだけで、
50円+アルファの部分は様々な社会貢献事業や福祉事業を行う団体に
助成金としてまわっています。
それを知っていれば、年賀状であえて「寄附金付年賀状」を買うという選択もアリです。
そうそう、宝くじをしても競馬をしても一応遠回しで寄付していることになります(笑)
また最近は企業のあらゆる商品の販促と兼ねて、
買えば どこかに利益の一部が企業から寄付に回される商品というのがたくさんあります。
これをコーズブランドといい、たとえばちょっと前だとアサヒスーパードライを買うと
それぞれの地域の売上げに応じて、売上げのいくらかが
地元の環境問題を解決するNPOに寄付として回っていました。
こういうキャンペーンのときに、どうせ毎日買う日用のものなら、
寄付金がついているものを買う、というのも選択です。
自分たちさえ良ければいいという儲け方の企業や仕組みが、
脆く壊れていくのは既に幾度か目にしたところです。
大きな変化はあの時やあの時に、始まっていたんだなあと思います。
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寄付について書かれている本。結構衝撃的。
日本の寄付体制を変えなくてはいけないことをじみ地味と感じる。そして自分でもできる範囲の寄付をする大切さを実感。
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「寄付」ってすごい!
消費し続ける世界より、与え与えられる世界ってこんなにも豊かで色鮮やかな世界になるのか!
「寄付」のイメージが変わりました。
これから仕事では「寄付」の部分も入ってきます。手元におきたい一冊。
いぶきさん、ご紹介ありがとう。
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寄付という行為は、それを求める側・行う側の双方にこんな利点をもたらすのかと、新しい発見が幾つもあった。日本には古来より豊かな寄付文化があったという指摘にも頷かされた。