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私の評価基準
☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
☆☆ 普通 時間があれば
☆ つまらない もしくは趣味が合わない
2012.12.8読了
面白いという本ではないですが、こういうの好きです。すごく雰囲気があって、読んでいると、霧の匂いが立ち込めてくるようです。
文章自体は平易で、何だか、ずっと読んでいたくなるようですが、物語は難解で、謎解きが難しいというよりは、謎そのものが難しいのです。しかも、仕掛けが所々にしてあって、それに気付くと、他にもあるのではとか、読み込めていないのではと考えてしまい、余計、読み進め難くなってしまいます。そうして、広がったものも、物語とは直接関係なく、広い空間に置き去りにされた様な気になります。
でも、あとがきを読むと、その状況を愉しむのが良いようです。
その意味では、充分、愉しめました。
小説を読むという、行為そのものを楽しめる本です。
ちなみに、この出版社は、今までハズレがあんまり無いですね。別に関係者じゃないけど。
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とある田舎町で起きた事件。それを巡る物語。オチが意外のように見えて直球だったので、すぐに分かってしまった。
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エリック・マコーマック氏の小説「ミステリウム」を読了。
ミステリーの要素はあるがいくつかの謎は解き明かされたかに見えるが最後にはその解き明かしも真実ではないと暗示される。物語では事件が解決に向かうようでジャーナリストである主人公はその事件に関しての著作を出す事を断念してしまう。なぜなら真実という物が全く見えなくなってしまったからだ。著者はこの著作でこの世の中には実は真実というものはなく確実な意味などない、そこに真実を見いだそうとし意味を与えようとするのは人間の業ではないかとわれわれに語りかけているように読めたがどうだろう。残念なのは翻訳物であるため文章の流れに乗るまでの少し時間がかかり一気にのめり込むのが難しいところだが、それも物語の展開の不思議さ、面白さが救っている。そんなミステリーの形を取りながらもそのうらには冷めた哲学がにじみ出てくる著作を読むBGMに選んだのはJacky Terassonの"Lover Man"
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翻訳にちょっと疑問を感じる箇所がいくつかあったのだが、それを書くのはやめにした。
本当は20数行に渡って、翻訳に悪態をつくような文章を書いたのだけれども、すべて消してしまった。
たまらなく面白い内容だったので、著者(エリック・マコーマック)の責任ではない要素にケチをつけるのが嫌だったからだ。
それに、翻訳に疑問を感じてはいるけれど、この本を翻訳して、紹介してくれたという功績には感謝しているから、なんて上から目線だなぁ(汗)。
マコーマックの作品を読むのはこれが3冊目。
前の2冊「隠し部屋を査察して」と「パラダイス・モーテル」が切っても切れない緊密な関係を保っていたのに対し、この「ミステリウム」は単独の長編となる。
長編、といっても、手記や新聞記事、数人の登場人物に対するインタビューや回顧録といった断片を積み重ねながら作品を構築しているので、やはり短編にその手腕を発揮する作者なのかもしれない。
ミステリー的な要素があるが、すべての謎がスカっと解決されて、それによるカタルシスを味わいたい、といった読者には向かないと思う。
いろんな謎が出てくるが、どれ一つとっても「100%解決」されてはいないからだ。
解決されたように見えて「実はこうだった!」というどんでん返し的な展開もあるにはあるのだが、そのどんでん返された事実にしても、けっして解決されてはいないのだ(すごく回りくどい言い方になってしまった)。
そういう意味では、「どんでん返し」とは言えないのかもしれない。
作品中のセリフを引用すれば「まるで上に書かれているテキストをこすり落とすと、その下からべつのテキストが現れる」といったところだろうか。
僕などは謎が謎のままに残ってしまっても、一向に平気な読者であるから(かえってその謎の余韻に浸れる、なんて思ったりもしている)非常に面白く読み進めることが出来た。
もちろん、謎がきちんと解かれた作品で味わうことが出来る開放感だって好きではあるが。
このどんでん返しされても、なお謎が謎として残ってしまうラストに「ポカン」とする読者もいるかも知れない。
というか、このどんでんの返しかたに、クチをポカンと開けてしまう、といったところかな。
僕自身も一瞬「はぁ?……」と思ってしまった。
そして「ああ、こういうのもありだよな」とニヤっとしてしまった。
柴田元幸氏(彼が翻訳をしているわけではないです)が本のオビで「個人的には、全作品の中で一番好きです」と書いているのも、わかる気がする。
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かつて炭坑町だったキャリックは、戦争中に事故で炭坑が水没した。そこで作業をしていた捕虜は全員坑内で水死した。時がたちそ、その町に水文学者と名乗る男がやって来る。そして次々と事件が起こる。
さらにその後、町に不思議な病気が流行り、町の人々は次々と不思議な死に方をしていく。ジャーナリストのマックスウェルは、行政官から死にゆく町の住人から真実を聞き取りまとめるように言われる。
怪しく残酷な事件、二転三転するストーリー、炭坑町の歴史と登場人物たちの家族の歴史が絡まりあい、真実は何かを考えさせる。
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前に読んだ時も思ったけど、なんでこの人はこんなに南米っぽい雰囲気なんだろー。カサーレスの「モレルの発明」「パウリーナの思い出に」勿論この(本書を含めて)3つのストーリーは違うもんなんだけど、雰囲気がおんなじでさー。クナイプとかお高い入浴剤見つけて、贅沢と解っているから、ちょっとだけ罪悪感ありながら至福のお湯に浸かって頭の中を空にする、そういう読書感。
内容というのは箸みたいなもんでさ、作品が持つパワー、エネルギーっていうのは、料理か味みたいなもんは、いい物は忘れずに何度も思い出すな。何かそういう作品だよ。
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寒々とした雰囲気と閉鎖的な町と謎がぴったりマッチ。
謎はあっと驚く解ではないが、無知であることが賢者云々、言葉をすごく大切にしている作品で独特の世界観が広がっている。
この世界に人間の考えるような真理はなく、言葉によって縫い止めようとする人間の足掻きを感じる。
羨ましいとか妬ましいとか、感情に名前をつけることで、確かにそれを明確に自認するようになり、人は幸せになったり不幸せになったりする。
自分の人生価値あるものにできるのは自分なんだなと改めて別方向から考えさせられた。
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グロテスクな描写が多くやたらと人が死ぬが、話は事件発生→探偵役の見習い記者がキャリックに行き捜査というか死にかけた住民へのインタビュー→犯人が自白→最後にどんでん返しとわかりやすく進んでいく。住民へのインタビューのところは一番の読みどころで作者も楽しんでいるのがわかります、礼儀正しい抑揚で罵倒語を発するランキン医師へのインタビューではやりすぎたと思ったのか『もはや彼のことをほんの少しでもおもしろいやつとは思わなかった』と自分を落ち着かせています。とにかく色々なおもしろエピソードが次から次と出てきて楽しい小説です。
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変な話だという世評で読んでみたんですが、まあ確かに変な話でした。思ったより読みやすいし様々な情報が終盤にかけて結構きっちり収束していく一方で最後「?」というとこで終わった。少し「こんなものか」と思ったため私はもっと放り投げっぱなしの作に接した経験があるのでしょう。