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緩やかに時代の流れに添っていくピエタのエミーリアたちの人生が、ヴェネチアの仮面祭の賑わいと対比しているようだ
読みやすかった
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ひとつの時代が、また終わったのかもしれなかった。 時は流れるのだ。 容赦なく。
聖と俗、生と死、男と女、真実と虚構、絶望と希望、名声と孤独の調和から創られる世界観がたまんない。
ラストで涙が止まらなくなった。
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読んでいてヴェネツィアのまちが浮かんでくるような話だった。後半親友の子の話が全くでて来なかった。結局主人公は、恋愛という部分では、幸せになれなかったんやなぁ。
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18世紀のヴェネツィア。ピエタ慈善院で孤児として育ったエミーリア、その親友でピエタの天才バイオリニストとして活躍したアンナ・マリーア、ピエタで音楽の教育を受けた貴族の令嬢ヴェロニカ、コルティジャータ(ヴェネツィアの高級娼婦)のクラウディアを横糸に、ピエタの音楽教師でもあったヴィヴァルディの音楽と流れゆく時間を縦軸に織り上げられた物語。大島真寿美は、人と生きることで傷ついた人間が、人とかかわることで再生していくのを描くのが上手い。その温かいメッセージは「よりよく生きよ。むすめたち」という言葉で前向きに語られている。
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なんて美しく、透明感のある作品なんだろう。
一曲の音楽が楽章ごとに調和して上質の音色になって奏でられていくような味わいがある。
『ヴァイオリンは楽しいかい?』‥孤児のエミーリアはピエタ慈善院でヴィヴァルディ先生に、そう声を掛けられる。
そのエミーリアを通して、亡き音楽家ヴィヴァルディに関わった様々な人々が、まるで楽譜の音符のように出会い、共鳴し、物語は紡がれていく。
水の都ヴェネッィアの明暗を垣間見せながら
長い間探していた楽譜にたどり着いたとき、その裏に記されていた詩に、涙があふれる。
普段は忘れている「生きていくことの喜び」、この作品はそこに木洩れ日のように繊細な光を当てている。
直木賞候補。本屋さん大賞候補。
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内容(「BOOK」データベースより)
18世紀、爛熟の時を迎えた水の都ヴェネツィア。『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、孤児たちを養育するピエタ慈善院で“合奏・合唱の娘たち”を指導していた。ある日、教え子のエミーリアのもとに、恩師の訃報が届く。一枚の楽譜の謎に導かれ、物語の扉が開かれる―聖と俗、生と死、男と女、真実と虚構、絶望と希望、名声と孤独…あらゆる対比がたくみに溶け合った、“調和の霊感”。今最も注目すべき書き手が、史実を基に豊かに紡ぎだした傑作長編。
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ヴェネツィアが舞台。孤児院ピエタで育った女性とそこに関わる人の話。
美しく静かに流れる話だが、ややパンチに欠ける。
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作曲家ヴィヴァルディが<合奏・合唱の娘たち>を指導していたピエタ慈善院。ヴェネツィアを飛び出し、ウィーンで新しくオペラの世界を切り開こうとした恩師の訃報。一人の男アントニオ・ヴィヴァルディの人生に関わった女性たちにはそれぞれの物語がありました。高級娼婦コルティジャーナのクラウディアにも、ピエタで育った娘たちにも。
優しい言葉と文章で綴られているのに、とても深くじわじわと読み手に伝わってくるものがありました。「仮面」に隠されたあの人をたっぷり想像できる余韻を残しながら、まるで実際にヴェネツィアにいるかのような景色と街をゆっくりと流れる川のごとく読書の時間は過ぎて行きました。
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良かった。久々にどっぷりはまって物語世界を楽しんだ。
17世紀ヴェネツィアのピエタ(捨て子養育院)で育ったエミーリヤ。
そこに恩師である音楽家ヴィヴアルディの訃報が飛び込んで……
いつしかエミーリヤは亡き人の知らざる一面を知り、ゆかりの人と出会うことで、自身の壁を超えることになる。
そして……
ヴィヴァルディの音楽「調和の霊感」をキーの如く、
物語はポリフォニーの形で進む。
ヴィヴァルディという人の人生は一つだけれど、それをさまざまな人がそれぞれの声で語る。
すごいな~
相当、イタリア関連の勉強もなさったはず。
物語そのものに加え、作家さんが全身全霊を込めて書いたことがちゃんとわかる小説を読んだ興奮。
この作家さんが失礼ながら、ここまで力がおありだとは思わず……
またイタリアものなんて書いちゃってと斜に構えて読んだ自分を反省。
日常のささやかな瞬間を切り取る小説も良いけれど、こんな風にもっと広い世界での世界を書いてほしいな~
この作家さんの得意とするふとした瞬間の美しさ、かげかえなさはスケールを大きくしても、ちゃんと心に響く。世界が広くなった分もっと強く感じられる。
あ~、素晴らしき午後哉。素晴らしき小説を読んだ満足感。
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きのう、ヴィヴァルディ先生が亡くなった…ではじまる冒頭。
え、それってあの「四季」のヴィヴァルディ?と思っているうちに物語に引き込まれる。
歴史上の人物の話なのに、不思議と堅苦しくも大仰にもならない。
主人公エミーリアのおっとりとした上品な一人称のおかげなのかな。
ヴィヴァルディをとりまく人たちの思惑や感情や秘められたエピソードが、
不思議な浮遊感のなかで語られていて面白い。
ピエタの人たちに「ヴィヴァルディ先生の音楽はずっと受け継がれていきますよ」と教えてあげたい。
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雰囲気のいい本といいましょうか。行ったこともない国の昔の話ではありますがイメージが湧くし、登場人物たちの顔かたちも読み終わる頃には思い描けるほど(勝手に)。あ、これ映画っぽくないですか。映画化されたら素敵かも。しかしもっと時間のある時にゆっくり読みたかった。なんだかバタバタしてて締め切りを気にしながら読むにはもったいない本でした。
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大人の女性同士の友情を描くことで定評がある大島さんらしい作品。18世紀、絢爛たる文化が花開いた水の都・ヴェネツィアを舞台に、バロック後期の著名な音楽家・ヴィヴァルディの1枚の楽譜の行方を追う物語は、いつしか孤児院育ちの娘たちと貴族の娘、そしてコルティジャーナと呼ばれる高級娼婦との長い年月にわたる心の交流へとつながっていく。 2009年に、アンソロジー『ぼくの歌が君に届きますように』http://peperoni.seesaa.net/article/131020081.html(ポプラ社)の中で発表された短編「ピエタ」は、当時から注目していた作品だった。大島作品ファンの私としては、個人的にその続編を待っていただけに、実に嬉しい完成だ。以前発表されていた短編の「ピエタ」を冒頭のプロローグに据え、全体で21章からなる物語が孤児の主人公・エミーリアのモノローグで語られる。一人の孤児の女性の数奇な生涯を縦糸に、ヴィヴァルディの遺した一枚の楽譜をめぐる静かな物語が展開されていく。読み手の耳の奥に、ヴェネツィアのカーニヴァルの喧騒や、ヴィヴァルディの旋律「L'estro armonico (調和の霊感)」が響いてくるようだ。
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楽譜に書かれた詩を追って物語が展開します。
どの人物もとても魅力的。与えられた運命を、与えられた場所で
よりよく生きよ…。お互いを思う気持ちの優しさに感動しました。
表紙の装丁が岩舘真理子さんかと思った。生真面目な少女の
ひたむきさが感じられます。
そう、この物語はもう40代になった女性たちやその上の年代の
人々が描かれているにもかかわらず、みなとても瑞々しいのです。
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美しく優しい雰囲気の物語。
とても幻想的で、ヴィヴァルディの音楽ととてもお似合いだなと感じます。
バロック時代のヴェネツィアが舞台。語り手となっているのは、ピエタ慈善院で働くエミーリアという女性です。
少女時代にピエタでヴィヴァルディに師事したエミーリアが、それから数十年経ってヴィヴァルディの訃報に接するところから物語は始まります。
彼女は友人に頼まれ、ヴィヴァルディの楽譜を探すことになり、そしてヴィヴァルディという一人の人物を通じて自分自身を見つめ直して、色んな人と出会っていく・・・という話です。
楽譜を探す中で出会った女性たちとエミーリアとの心の交流が静かに、そして美しく描かれているところが素敵です。
孤児としてピエタで育った生真面目なエミーリア。
貴族だが大らかでさばさばした性格のヴェロニカ。
知的なコルティジャーナ(高級娼婦)のクラウディア。
生まれも境遇も違うこの3人の女性が、ヴィヴァルディに導かれるかのように出会い、語り合う姿が特に印象的でした。
それぞれがヴェネツィアの街の衰退を感じ、街や自分の境遇や未来に不安を抱いていますが、それでも彼女たちがその時代をしっかりと生きているという感じが伝わってきて、彼女たちの生き方に凛とした美しさを感じます。
描かれるヴェネツィアの街も魅力に溢れています。
カーニバルの夜に仮面をつけて歩く人々の姿。ゴンドリエーレが朗々と歌いながらゴンドラを漕ぐ様子。そんな街の情景が美しく描かれていて、目に浮かぶようです。
ヴィヴァルディはこの物語に直接は登場せず、エミーリアの回想や、他の登場人物が語る中でしか知ることができないのですが、この物語においてとても大きな存在です。
皆が語り懐かしむヴィヴァルディの姿は、ちょっと変わった人物ですが、音楽やヴェネツィアの街や人を愛していた様子が伝わってきて、とても人間味を感じます。
ラストは、ヴィヴァルディがまるでささやかな奇跡を起こしたようで、その美しい物語の終幕に感動しました。
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表紙の美少女2人のお話、と思えば全然違った、最近出会うことの多い音楽小説(?)。美しい調べと共に秘めた過去の愛と恋、迫る死と喪失、といった盛りだくさんの内容が見事に織りなされている作品。