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世界的にみて政策決定者の受けてきた教育が彼らの思考に影響を与える1つの要因となることは明白である。21世紀の中国の指導者の間ではかって優勢であった科学技術の能力はより多様な専門知識へと変化しっつある。
過去30年にわたって進んできたメディア革命と過去10年の市民間のインターネットの普及は中国市民と官僚の交流の様式全体を実質的に変化させてきた。
コミュニケーションの活発化と多方向化である。
中国ではインターネットが民族主義者にとって効率のよい不満の捌け口となっている
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対外政策決定権限に多様性が見られるようなったのは朗報だと思う。とにかく独裁でないことが中国の救いだろう。対外政策意思決定が困難なのは中国に限ったことでもない。日本でも、アメリカでも「誰に言ったら通じるんだ」ということはよくあることですから。翻訳者はもう少しわかりやすい翻訳を・・・・。
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本書は中国外交を誰がどの様に決定しているのかを明らかにしようとする意欲作で、コンセンサスで決まる中国独特の意思決定プロセスがどうなっているかという問題に対する解答を、多くのインタビューの中から見出している。合意形成の失敗を恐れて、将来の妥協のために報告物なども曖昧な表現とする。指導者たちへの教育において、イデオロギー教育が優先されている点、表現に多様性が見られるようになったが、環球時報の意見欄以上の内容は許されない点など、実際にはというところもよくみているなと感じた。
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この時期だからこそ再読。外交部の力が弱り、国防、商務、金融が独自の外交権限を持ち始めてるって記述、民主党はちゃんと押さえてるのかな…と不安に。中国外交の仕組みやその仕組みの変化を理解したい方にオススメです。
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2011年刊。
共産党による一党独裁。これが中華人民共和国で措定される政治的意思決定への印象論だ。そして、この印象を助長したのが毛沢東の存在。
しかし、その印象は実態に合わないと本書は解説する。つまり複数のプレイヤーが対外的な意思決定に関与し、時に、速断を要する意思決定に遅れを来していると。
本書の情報源は数多くの中国人高官へのインタビュー、公刊史料の幅広い調査に依り、薄い本だが、かなりの読み応えで、内容も貴重だ。
勿論、それは中国の外交的意思決定に関し、制度面でも実態面でも多くは未だに秘密のベールに隠されているからだろう。現に著者らも、未だ不明な点が多いことは承認しているほど。
そういう意味で中国ウォッチャへの必読文献の一であることは間違いなかろう。
さて、本書の帰結だが、①中国の人民・企業などの海外展開が広がるにつれ、関係各署がそろって重視し強調する中国の国益概念が流動化・拡大傾向にある点。
一方、②海外展開の進展に伴い、国内の外交的意思決定の権限が細分化され、時に機関相互の利害対立・衝突を来す場面が増大してきた点。
逆に、中国と交渉するには、各々の機関の相互関係と影響力の程度、範囲の分析が前提となってきている。パイプは一本で足りないのだ。
ところが③その中核となる党構成員、就中、党学校の卒業生は、未だに毛沢東・中国共産党的イデオロギー色の濃い教育を受けてきたという現実もある。
なお④諜報・スパイ等公安活動への言及は皆無。解放軍の外交への影響力には若干言及があるが、関係各署との利害調整の難しさは他と変わらず。ただ昨今の暴走気味に見える人民解放軍を「"関東軍化"」といった単純な構図では語れはしないとも。
ところで、訳者はネットで本書の原本の情報を得たとある。すなわち、電子媒体というツールのある現代社会。ここでは、情報の窓口は語学力の役割。研究者とか○○ウォッチャーという立場の人は、英語を軸とした語学力醸成の高度化はもはや避けて通れないのだろう。これが痛感させられる。
著者リンダ・ヤーコブンソン、ディーン・ノックスは何れもストックホルム国際平和研究所所属、「中国と世界の安全保障」Pの責任者と研究補佐。