投稿元:
レビューを見る
小さい頃に、小人の国に漂着した件の童話版は読んだことがありましたが、小説としては初めて全部読みました。
巨人の国、天空の国、研究の国、魔術師の国、馬の国、等、筆者の奇想天外の冒険談には、様々な風刺が利いています。
後年に精神障害を患い、77歳で逝去した筆者が、59歳の時で発表した作品。
投稿元:
レビューを見る
面白い本でした。先日のビブリオバトルでご紹介頂いた本。紹介されなかったら読まなかったと思います。ありがとうございました。
ガリバー旅行記は「小人の国」を描いた童話として知られていますが、実際は大人向けの4編からなる連作小説です。
小人の国のリリパット渡航記、巨人の国のブロブディンナグ渡航記、空中に浮かぶ島を持つラピュタ等の渡航記、馬が人間を支配するフウイヌム渡航記の4本。どれも「おとぎの国」とは程遠い国であり、それぞれの国でガリバーはひどい目に遭います。
作家のスウィフトが生きたイギリスは名誉革命(1688年)の直後。国王の権限が制限されて、新たな勢力争いと権謀術数が渦巻く時代です。スウィフトが書きたかったのは、そんなイギリスと空想の中で生まれた不思議な国々の比較であり、比較の中で浮かび上がったイギリスの矛盾点をガリバーを通して論じています。
例えば、
ーリリパットの政治では信賞必罰が徹底している。法律を遵守すれば褒美が貰える。一方、イギリスでは法律の違反者には刑罰が待っているのに、遵守しても褒美はない。
ーイギリスの政治制度を聞いたブロブディンナグの国王が理解したのは「ときとして無知、怠情、悪徳のみが立法府の議員たる資格」となること
18世紀初頭政治への批判者が何を考えていたのかは、もちろん興味あることですが、やはり本書は純粋に冒険譚として楽しむべき本と思います。
ーリリパットの王宮が火事になったとき巨人であるガリバーはどういう消化活動を行ったのか?
ー巨人のガリバーは何を食べたのか?
ーブロブディンナグでガリバーは授乳をどう見たのか?
小人や巨人の国での冒険譚はある程度は子ども向けに翻案できるし、実際、絵本にもあります。強い印象を受けたのは「フウイヌム渡航記」。これを視覚化するのは、かなり難しく、人間の醜さが強調される一編です。この国に滞在することにより、ガリバーは大きく変化します。
正直、ビブリオバトルの前は「ガリバー旅行記」を甘く見てました。カバー裏にある「読むたびに発見を新たにする、冒険小説の歴史的名著」は大袈裟でないと思います。
投稿元:
レビューを見る
これは面白かった。
有名な、小人の島への旅行記から、いろいろな島へ辿り着き、そこで暮らすという話で、旅行記の体をとっているため、まるで本当にそんな国がどこかにあるような気がしてくる。
そして、それらの国での生活や文化を通して、人間社会の矛盾や問題が痛烈に批判されている。
最後に出てくるヤフーへの嫌悪感がそのまま自分に返ってくるところなど、とてもよく出来ている。
投稿元:
レビューを見る
恥ずかしながらタイトルしか知らず、読み始めて痛烈な社会風刺小説だと知りました。
現実社会の嫌な部分や醜い部分をより際立たせるため現実離れした設定なんだろうな。
小人の国、巨人の国、空中の国、馬の国それぞれの滞在記は衝撃的でどれも風刺に富んでいるけれど、空中の国と馬の国が特に印象に残ってます。
常に思索に夢中で、机上の空論ばかり重んじた結果、現実世界が少しずつ壊れていく様。ラピュタはジブリ作品にも出てくる身近に感じていた分この設定は虚しく悲しかったです。
馬の国のヤフーたちの描写も辛辣で、人間の卑しい特性がまざまざと描かれていて、衝撃でした。
とても面白かったので、時間を置いてまた読みたいです。
投稿元:
レビューを見る
主人公が訪れるそれぞれの国で失敗と教訓を学んでいるような気がしました。
それはもちろん主人公側でも訪問国側としても。
読む前までは色んな土地、場所に行ってたくさん冒険して様々な見聞が…みたいな物語を想像していましたが、読み手次第ではかなり多くのものを得られるのではないかと。
投稿元:
レビューを見る
知っているようで知らなかった原作。目次に「ラピュタ」や「日本」が出てきていて俄然興味が沸きつつ、文章量に圧倒されつつ、読みました!小人と巨人の国の話しか知りませんでしたが、こんなにも風刺が効いている作品だったとは・・・・・・!!面白かったです!
投稿元:
レビューを見る
初めて原書の翻訳を読んだ。
巨人と小人の国、ラピュタしか知らなかったが、最終章が本書を名著たらしめていると感じた。