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氏の本を読むのは久しぶりですが、ずいぶんと文体が軽くなった印象を受けました。
元々重い話を書く人ではありませんでしたが、今まで以上に軽い感じ。
短編で求めるのは酷だと理解しつつも、個人的には第六大陸ぐらいのを求めていたのでガッカリというよりは肩透かしをくらった気分。
そういう意味では短編としての奥行きの浅さが(あくまでも私にとっては)悪い意味で出てしまったのかもしれません。
■都市彗星のサエ
巻末の解説でボーイミーツガールと書かれていますが、正しくはガールミーツボーイな話。
小川氏らしい、スケールの大きな話をちまちま進めていって最後のカタルシスにつなげる話。
結末も氏のテイスト満載のオプティミズムな短編。
■グラスハートが割れないように
水からの伝言を彷彿とさせる話。
それ自身は否定しつつも、ある意味で受け入れるというスタンスがとても印象的。
ヒロインが絶望的に苦手なタイプでした。
恋愛SF的な著者の作風が如実に出た作品。
■静寂に満ちていく潮
侵略や征服といった動的な接触ではなく、迎合と理解という静的な交流でファーストコンタクトを描いた作品。
静的であり、性的。
ただ生物の根本的な交流は性行為であるという解釈が根底にあると推測しましたが、折角ならそこの根底すら異なる生物の方がSF的観点では面白かったかもしれません。
人類とはまったく異なる価値観を持っている設定なのに、そこだけなんか人類の価値観を共有している感だったのが違和感。
■占職術師の希望
個人的には一番気に入った作品。
相手の天職が見える主人公と彼のおかげで大成した画家の少女の話。
ちょっと趣向を変えればミステリーにも使えそうな設定。
個人的にはこれ一本で長編化したものを見たかったです。
■守るべき肌
ディアスポラの二次創作。結末で驚きました。
巻末の解説には「すわり」が悪いと書かれていますが、個人的には居心地が悪いの方が感覚として近かったです。
割り切れない最後を前向きに解釈しているという、ある意味で悲哀的な作品。
著者の過去作の中でも異質な存在。
■青い星まで飛んでいけ
表題作。
設定の広大さと、はやぶさたんや2chを彷彿させるゆるさ。
相反する2つの成分によって構成された不可思議な作品。
個人的に気に入ったのは占職術師の希望。
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小川一水のおおよそSF短篇集。
テーマは未知との遭遇とのことで、解説にも、最大の未知とは異性であるという言葉通り、ボーイミーツガール的なお話も多い(あまり真っ当でないことも多いが)。
好きだったのは、「占職術師の希望」と、タイトルの「青い星まで飛んでいけ」か。
占職術師は、星新一の趣味を決めてくれる人工知能の話を思い出した。
まだ知らない楽しいことや、選ばなかった選択肢に気を取られがちな私は、
自分の現在の立ち位置が正しい選択の結果であることに自信が持てず、誰かに肯定してもらって、しかもそれが自分の腑に落ちればどれほど良いかと思える。
そういうあこがれもあるわけだ。
青い星、は、人類滅亡後もオーダーを守り続ける自動機械のお話だが、スケール感がすごい。そして、そのような環境での生殖行動とは何であるかまで書かれていて、
それをもって、このような環境であればそういう生活様式になるであろうというのに納得のいくのが大したものだと思う。
あ、こちらはタチコマだな。そういえば。
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6編のお話
借りて読んだのだけど
1つ目はSFなボーイ・ミーツ・ガールで好感じ
2つ目は綺麗な水とか結晶とかネタの。
牧野修の『バロックあるいはシアワセの国』を思い出したけどそこまでやばくない。
3つ目は異種間の交流もの?
4つ目は天職判定士の話
5つ目は仮想世界と現実世界もの…ゼーガペインみたいな?見たことないけど、バーチャロンOMGとか虚空牙とか優しい煉獄とか色々思い出したけど面白い…
6つ目はAI宇宙船が宇宙人に交流を求めて放浪してる話。AIが非常に人間的
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「青い星まで飛んでいけ」小川一水
SF中編集。漆黒・シルバーホワイト。
この人は本当にストレートなSFの流れを汲んでいる気がして、とにかくすんなり読める。
長編だと若干飽きるというか、ダレてしまう印象があったんですけど、これくらいの中編だといいですね!
ハードSF、美少女、宇宙、メタ世界、ラノベ風味、アドベンチャー、ファーストコンタクト、未来人類、スペースコロニー、などなど
まさにSFオタクの王道的な。
たまにはこういうので息抜きも必要です。(4)
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夢と希望にあふれてる短編集。巨大な工学的建造物とかもでてくるし、ボーイミーツガール的な話もあるし、お腹いっぱいになれます。
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アンソロジー以外では小川一水は初読み。六篇からなるSF短編集。どの話も設定が凝っており、キャラの立った登場人物たちの直球な恋愛の展開が好み。特にお気に入りは二編。「占職術師の希望」、人の天職が分かる能力を持つ主人公の地味だけど誠意のある活躍と、6つの天職を持つヒロインとの掛け合いが楽しいです。既読だった表題作「青い星まで飛んでいけ」、人類のアイデンティティの未知との出会いを求める衝動を与えられた人工知性体エクスの口の悪さ等の人間らしいやりとり、しれっととんでもないスピードで時間が経過していく様子が好き。次は長編小説を読んでみよう。
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はじめて小川一水読みました。ジャンプの読み切り的な話から直球SFまで、思っていたより幅が広い印象。
長編も読んでみよう
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冒頭の「都市彗星のサエ」がかなり好みだった。物語の雰囲気は古き良きSF、良質のジュブナイルSFを思わせるとても懐かしい感じだったが、最初はサエの性格が鼻についてしまってあまり楽しめなかった。しかし、ラストで衝撃を受けた。
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6個の短編集。そのうち「グラスハートが割れないように」と「静寂に満ちていく潮」は理解できなかったので、☆3つ。
都市衛星のサエ
竹宮恵子の「地球へ・・・」を思い出させるような内容。氷塊をカタパルトで打ち出して、それで衛星から逃げるっていうのは面白いな、と思った。
占職術師の希望
SFではないかもしれないけれど、面白い!これドラマとかにしてほしいなあ。SPとにたような感じになっちゃうかもしれないけど。
守るべき肌
仮想世界もの。ラストがよかった。
青い星まで飛んでいけ
表題作、これが一番おもしろかった!ホモサピエンスとは何か。それにしても時間軸が気の遠くなるようなスパンだけど!
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今年はまっている作家。小川一水。SFの人だ。
SFってふと読みたくなることがある。
理科がどうしようもなく苦手だと気付いたのは最近なんだけど、そのお陰でSFもするする読めるのかもしれない。という気がする。
短篇集の本作には「SF?」というものも結構含まれている。
解説によれば、「未知との遭遇への憧れと探究」が全体のテーマだということなんだけど。
それというのは「恋愛」というのも含まれる概念だということで、なんだかしっくりくるような、発見があるような、感じ。
中でも「占職術師の希望」が良かったな。
サスペンスも書けるんだ!と思って。
知らなかった作家に出会って、既刊をひたすら読んでいく間はほんと幸福。ずっと繰り返していたい行為。
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都市と星のような、そしてもっと純粋にかわいい「都市彗星のサエ」、既読で今回もあまり面白くない「グラスハートが割れないように」、この手は苦手だな~と思う「静寂に満ちていく潮」、悪くないけど面白くも無い「占職術師の希望」。
後半は、物理人類と転算(仮想)人類と異星人というすばらしい背景か光り、ドラマチックなエンディングが心に残る「守るべき肌」。最後は表題作。既読だがクラーク的というかまさにクラーク節でとても良い作品の「青い星まで飛んでいけ」。オーバーロードの誕生を描くとはなかなか気に入った!
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細かい書き方とか描写の矛盾が気になってしまって…あまり良くなかったかな。でも唯一「占職術師の希望」は、物語も設定も人物もストーリーも上手くまとまっていて好きでした。他はほとんどサラッと流してしまった。一度ストーリーに疑問が湧くと集中できなくなって、いつのまにか話が終わってる…。
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短編集。とても好きな作家さん。このかたは、SF的世界の中で、人間がどう生きるかということを、常に書いていらっしゃると思う。私のSFへの興味もまさにそこ。だから好きだ。
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6篇を収めた短篇集。
boy meets girl なものとか、異星人とのファーストコンタクトとか。
「グラスハートが割れないように」は「水からの伝言」に影響を受けたと思われる短編。どことなく水色時代っぽい。
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ーーー彗星都市での生活に閉塞感を抱く少女と、緩衝林を守る不思議な少年の交流を描く「都市彗星のサエ」から、
“祈りの力で育つ”という触れ込みで流行した謎の植物をめぐる、彼と彼女のひと冬の物語「グラスハートが割れないように」、
人類から“未知の探求”という使命を与えられたAI宇宙船エクスの遙かな旅路を追う表題作まで、
様々な時代における未知なるものとの出逢いを綴った全6篇を収録
ハマりつつある小川一水の短編集
全部名作!ってわけでもないけど、都市彗星のサエ、守るべき肌、表題作が良かったな。
特に表題作!まさかあそこでオーバーロードが出てくるとは!
アーサー・C・クラーク「幼年期の終わり」に登場したオーバーロード。彼らに隠された深い哀愁を織り込んで読むと、また違う印象になるはず!
それは人間の普遍的な願い。