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こんな分厚い本読めるか!と思ったのだが、読み始めたらおもしろくて、イッキに読んだ。
この人は、連邦準備制度のエコノミストを経験してる。
マクロ経済学の、金融面を重視した研究業績で知られ、若き日には、当時盛んだったマネタリストと論争した、というところが良い。オレはマネタリストなんか大嫌いだから。
マネーサプライとGDPとの間だけでなく、非金融部門の負債総額とGDPとの間にも安定的な関係があることを示し、金融政策に活かすべきだと提唱した、とのこと。p364
まず、目をひいたのが各国の、所得と豊かさの関係。
自分の豊かさを感じる基準として、他人との比較がある。
アダム・スミスもヴェブレンも、人々に勤労を促す動機は、単なるお金よりも、「コミュニティの中で高く評価されたい」という思い、だという。
・・・・ようするに、この話は、単なるGDPだけでは説明できない部分の「豊かさ」の基準についての話でもある。
サルコジが立ち上げた、豊かさの基準を測る新しい指標作りを進めたスティグリッツ委員会とも共通してる。
それから、アメリカ経済史や、不況のときにKKKのような差別的な勢力が出てくる現象についても詳しく述べてる。
経済だけじゃなくて、幅広い視点から分析しているのが、おもしろかった。