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ブラッドベリ年代記 みんなのレビュー

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紙の本

わくわくしすぎて、先に進めない…

2011/07/06 16:00

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:うみひこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 これくらい、読者に待たれていた伝記はなかっただろう。
私も嬉しくて、冒頭の写真を見るだけでどきどきして、先に進めなかった。
例えば、祖父母の家の前で無邪気に座っている赤ちゃんブラッドベリの後ろにあるのは…。あのステンドガラス、「二階の下宿人」のステンドガラスじゃないか!もう、そこで心は物語の中に入り込んでしまうのだ。
 そして、作者の序文を読んでいるときにも同じ気分になってしまった。ブラッドベリの熱烈な愛読者である作者が、ブラッドベリに出会い、インタビュウし、伝記を書くまでに至る経緯だけでも一つの冒険談であるし、(だって、同じ愛読者じゃないか)その気持ちが痛いほど分かるところがあって、またまたどきどきして先に進めなかった。
 そして、本文。
いきなり第1章で読者はセーレムの魔女の世界に入り込まされる。ブラッドベリの一族の歴史から始まるページの中に、魔女裁判の文字を見つけたときの驚き。この告発を受けた女性は、運よく処刑は免れたらしいが、この事実だけでも、一族の秘密の物語を受け取った気分になりはしないだろうか?
 次に、ブラッドベリが、長い幼少期を過ごしたことを読むと、ああ、やはりという思いに捉えられる。スペイン風邪で急死した兄の後で生まれた一家の末っ子は、六歳まで哺乳瓶を与えられ、十歳ごろまで、スプーンで食べさせてもらうような過保護な育ち方をした。そして、このことが、母親の不安や心配性が、逆に悪夢と説明できない漆黒の地下世界に惹かれる原因となったと、ブラッドベリは語るのだ。
 生まれた育った緑濃いイリノイ州ウォーキガンに、『たんぽぽのお酒』の舞台を見、祖父や父親が一攫千金の夢を追ってネヴァダの砂漠へ探鉱に行き夢破れて戻る物語に、『火星年代記』の舞台が見ながら読み進んでいくと、不意にカーニヴァルの奇術師との出会いと「永遠に生きよ」の言葉に出くわす。これを元に、ブラッドベリは、毎日の創作を始めたのだと語られる。
 こうやって、始まった長い長い少年期、創作とコレクションの日々。
アメリカ大不況の下でハリウッドへ移住した一家と、ローラースケートをはいてハリウッド中を駆け抜け、サインと写真を取り捲る少年の姿。今で言うおたくの元祖のような少年ブラッドベリを知ることができる。
 やがて青年時代がやってくる。
街角で新聞の売り子をしながら、図書館で独学をし、ひたすら書いていく日々。SF協会で仲間たちと出会い、パルプ雑誌に作品が多数掲載されるようになり「パルプの詩人」と呼ばれるようになる。ニューヨークの一流雑誌に思い切って送った短編が売れ、(そのうちの一つは編集助手だった、トルーマン・カポーティがお蔵入りから救ったのだった)ニューヨークの文壇に受け入れられていく。
 そしてある日、ロサンゼルスの書店で、若い店員とは恋に落ち結婚する。
 ラジオ台本、最初の短編集『闇のカーニヴァル』。『火星年代記』『刺青の男』『華氏451度』。
物語が生まれ、出版され、ブラッドベリの評価が高まっていく過程は、一種のアメリカン・ドリ-ムだ。
 やがて、ジョン・ヒューストン監督とのどうしようもない出会い、『白鯨』の脚本化の物語、『緑の影、白い鯨』で描かれた陰鬱なアイルランド滞在の日々が語られる。
 そして、テレビの時代が来る。
ヒチコックのためのテレビ脚本。そして、「トワイライト・ゾーン」。ブラッドベリのアイディアが山ほど使われていたこの番組は、の作品の権利を買ったりせず、剽窃をしたらしいことがわかってくる。
 ニューヨーク万博、ウォルト・ディズニーとの出会い、そして、ジョンソン宇宙センターでの宇宙飛行士たちとの対話。こうやって読んでいくだけで、SFというものがアメリカの歴史の物語でもある気がしてしょうがない。
 おたく、マニア、カメラ小僧、永遠の少年。
あらゆる意味で否定的に語られるもの全てでありながら、人々の先駈けであったブラッドベリの生涯と創作は、ありがたいことにまだ続いている。
だからだろうか?この伝記は、残念なことにマニアが知りたい全てのことが記載されているにもかかわらず、伝記作品として評価ができないほど、作者の言葉が聞こえてこない。例えば、ブラッドベリの結婚生活の傷、二度にわたる浮気のことについても、書かれてはいるが作者による判断や解釈がないのは不思議だ。妻のマギーとも山ほど話し合っていながら、作者は何をしているのだろう?ここら辺が、本人が生きている間に書かれた伝記の難しいところであり、ブラッドベリの愛読者たる作者が、踏み込めず自分の作品となしきれなかったところでもある。
だから、これは、まだ伝記ではなく年代記。生々しい山ほどのインタビュウの成果が満ちあふれている。そして、この年代記が、愛読者たちの好奇心と夢を満足させる作品であることは、間違いない。


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2011/04/20 21:58

投稿元:ブクログ

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2011/07/26 10:48

投稿元:ブクログ

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2012/10/14 06:06

投稿元:ブクログ

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