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本書は、反TPP論であるが、 国際関係の観点からの示唆に富む。 外務省が主張する、早期にルールメイキングに参加し、 日本にとってメリットのある環境を整備し、外交力を強めるという説に対し、 明確に反論。
簡潔に述べると、ルールメイキングのための多数派工作は、 他のマイナー国家との経済構造の違いからアメリカとの協力を除き不可能であり、 そのアメリカは金融、農業を梃に経済の回復を図るべく輸出倍増を主張する。TPPは経済回復、米国民雇用促進のための手段で、その対象は日本となり、日本市場の開放を強く要望するというもの。
つまり、鴨ネギが日本だという。
個人的感想としては、アメリカが本当に日本を骨抜きにする事を狙っているか否かは断言出来ないと思う。むしろアメリカにとっての日本とは、アメリカに依存する程度に弱く、アメリカが使える程度に強い国でなくてはいけないからだ(内田樹『街場のアメリカ論』から言い回し借用)。
ただ、現在及び近い将来も外務省が描くシナリオはこうだ。つまり日本が有事の際にアメリカから「捨てられる恐怖」を抱えているとの米国主導の国際関係学及び同盟論の発想に依存し、憲法を盾に軍事力増大を目指さないという前提から、アメリカ主導の経済自由化の網に自ら絡まろうとするだろう。なぜなら、アメリカに近接し、日本が転べばアメリカにも影響が出るような環境を形成しようとすることが日本の安全保障に資すると考えるからだ。
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池田信夫氏が「読んではいけない本」に入れていたので、為しに読んでみた。
しっかりした内容で、私にはどこが理論的にまずいのか良く分からなかった。
100%ではないにしても、ある程度正しいように思えた。
『TPPで輸出が増えようとしても、円高により増えない』と書かれていたが、
為替相場は双方の国力の裁定によって決まるのではないのだろうか?
米国の戦略で操作できるものなのだろうか?
その辺の説明も欲しかった。
今度は池田信夫氏の本も読んでみたい。
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グローバリゼーションによって、企業の幸せと国民の幸せが一致しなくなる。こんな当たり前のことが改めてよく理解できた。じゃあどうすればいいのか。答え探しは自分でやるしかないということ。
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TPPがなぜいけないのかということをわかりやすく説明してくれていて、なるほどと納得できる。
ただ、あまりにも反対に意見が偏り過ぎている気がして賛成派の人の理論も聞いてみたくなった。
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なんとも評価しづらい。TPPに反対する論理は単純で明快。ゆえにこの一連の論争があまりにも馬鹿げている気がしてならない。
ただ著者の明確な立場とその主張は評価したい。
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何冊か読んだTPP本の中で、一番納得出来た一冊。
日本が参加した場合のTPPは実質日米FTAであるということをはじめ、
世界情勢を正しく理解し、グローバルインバランス是正すべしとの提言をしている。
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TPP賛成論者にも反対論者にも是非読んで欲しい一冊。
TPPの基礎から分かりやすく解説されており、世界経済の観点から日本のTPP参加の問題点を挙げているので、大変参考になった。
諸悪の根源であるデフレ脱却のために、公共投資の増加による内需拡大を謳っているが、もう少し具体性があっても良かったかなと。
専門知識も皆無だが、そんなに単純な問題なのだろうか?という印象を受けた。
これだけデメリットがあるにも関わらず、依然としてTPP反対論者が少ない。
私も含め、日本人がマスメディアの情報を愚直に受け入れ、自ら考えない事の表れなのだろう。
TPPに限らず、自ら正しい情報の収集に努め、自ら考えることの大切さを改めて痛感した。
ずっと本棚に入れておきたい一冊。
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TPP参加反対の立場からの著書。
民主党が「開国」とするが、日本が不利になるだけ。韓国や中国は参加しないだろう。TPP参加国は小国ばかりで、実質日米のFTAであり、アメリカからの輸入が拡大化し、国内の農業の衰退、デフレの進行が進むものである。
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突然振ってわいたように結論ありきのTPP導入議論が起こったのには違和感を感じていたけど、TPP批判は農業保護の立場からあまり納得できない内容のものしか聞けていなかったので、本書はかなり参考になった。
ただ、デフレ脱却、内需拡大の必要性の主張までは賛同できるんだけど、その方策については単に公共投資の増加のみと、論が荒すぎて残念。為替相場への対策にいたっては全く書かれていないし。
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tppは加入しちゃダメ。
経済の病気であるデフレ進行しちゃうよ。
ということで
経済の知識ない人にもじっくり説明してくれます。
つまり経済の勉強になります。めっちゃ。
盲信したらいかんけど、すべて覚える勢いで読みつぶすべしと感じました。
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2010年10月1日に行われた菅総理大臣の所信表明から世間に急浮上したTPP。
1ヶ月後のAPECまでに結論を出せと言う唐突なスケジュールが要求されたこのTPP参加問題ですが、本書にはそのTPP参加賛成論に対して、経済産業省から京都大学へ出向して研究生活を送っている著者の反論が書かれています。
本書の大まかな流れを説明すると、
まずTPP参加賛成論に対して、それを一つ一つ論破。
そしてリーマンショック後の世界情勢やTPP参加を求めてくるアメリカの思惑の解説を行うと共に、様々な識者・有力者たちがなぜ(少なくとも本書で論じている限りにおいては)メリットが全くなく、逆にデメリットしかないTPPへの参加を唱えるのかについて考察を行っています。
著者が主張したい事は、本書の後書きにおいて3つに分けてまとめられており、おおざっぱに見れば本書の本文は「なぜこの様に主張出来るのか」についての解説と見る事が出来るでしょう。
後書きにまとめられた3つの主張を以下に紹介します。
1.「TPPは輸出拡大につながり、アジアの成長力を日本経済の成長に取り込める」とのTPP参加論者の主張に対する反論
・TPP交渉参加国のGDP規模を比較すると、アメリカが67.2%、日本が24.1%となり、日米だけで90%を超えている。
また、その他の国は国内市場の規模が小さく、輸出主導の国ばかりで日本の輸出先は実質アメリカとり、中国の韓国も参加していないTPPではアジアの成長力を取り込めない。
・輸出業の日本のGDPに占める割合は2割しかないので、これを偏重するべきではない。
2.「TPPによる自由貿易は日本経済を成長させる」とのTPP参加論者の主張に対する反論1
・日本の平均関税率は2.6%と低く、農産品に限っても平均関税率は12%と決して高くない。
・そもそも、現在、製品・サービスの国際競争力は関税の税率の差ではなく、通貨の価値によって決まっている。
・自由貿易はデフレを加速させる。
・デフレを加速させると、国内の購買力が低下し、最終的に日本経済が窒息死する。
・橋本政権下の1997年に行われた財政構造改革(緊急財政)により日本は、第2次大戦後の世界において他に例を見ないデフレに突入。
・米・レーガン政権、英・サッチャー政権下において行われた構造改革は、加熱するインフレを冷却するために行われた。
・構造改革は、経済停滞期に行うべき物ではない。
・公共投資により、需要と供給のギャップを埋め、デフレを克服する事が最優先。
3.「TPPによる自由貿易は日本経済を成長させる」とのTPP参加論者の主張に対する反論2
・TPP参加論者は、リーマンショック後の世界構造の変化とアメリカの思惑を考慮していない。
・リーマンショック後、世界は国際経済の立て直しのため、アメリカが世界中から物を買って各国経済を牽引すると言うグローバルインバランス問題の克服に取り組んでいる。
・つまり、アメリカは輸入を減少させ、輸出を拡大させようとしている。
・アメリカしか輸出先がないTPPに参加した所で、輸出は拡大しない。
他、本文に��かれていた韓国通貨・ウォンは2010年11月には2006年に比べて46%も円高・ウォン安との指摘や、日本国内において工業よりも遙かに軽視されている風潮がある農業の世界的な重要性と日本農業の問題点の指摘。
そして、元外務次官で現早稲田大学客員教授の谷内正太郎氏のTPP参加論を詳細に分析、反論しています。
#この反論の中で、谷内氏の「TPPは日本が乗るべきバス」との主張に対して、第2次大戦前に日本は、ドイツ・イタリアとの三国同盟に「バスに乗り遅れるな」とのスローガンを唱え加盟した事を指摘し、「歴史から教訓を得よ」と説く谷内氏の主張とも絡めて反論しているのが結構、味のある所です。
本書に載っていた以下の一文、
「日本には戦略が必要」というのを口癖としている人に限って、戦略的に考えようとはしないことが多い
には(私には日本には戦略が必要などという口癖はありませんが、それでも)自分に対する反省も含めて、中々考えさせられました。
どうも、TPP参加問題に限らず日本国内で行われている政治などの議論って、それぞれの人が持っているイメージに基づく議論であって、事実に基づく議論では無いように見えてきました。
だから、いつまでたっても何ら有効的な政策が出てこないのかと。
#「会議は踊る、されど進まず」って所ですかね。。。。
イメージに基づく考えに陥らないようにする為には、ある問題について考える時に、その問題に関して知っている事をリストアップし、自分が抱いている考えがそのリストに書かれている事から導き出される結論かをチェックする事が有効かもしれませんね。
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最近あまりとり上げられませんが、TPPに賛成の方も反対の方も、きっと勉強になると思います。途中、少し感情的な議論が入っている気もしましたが、基本的には非常に論理的です。
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最近TPPについて騒がれているがどういうものかよく分かっていなかったので読んでみた。TPPに参加しても政府のいうようなアジア太平洋の成長を取り込む様な展開は期待できず、アメリカの策略にはまるだけ。国際競争力には関税よりも通貨安の問題が大きい。貿易黒字信仰を捨て去れ。著者はデフレが諸悪の根源だと繰り返し主張しているが、デフレ脱却が最優先であり、財政出動で公共投資を増やし内需を刺激するのが解決策だと。うーん、そんな単純な問題?と疑問には思ったが、勉強にはなりました。
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民主党はTPPを開国のイメージアップにつなげたいのだろう。
TPPではグローバルインバランスを是正することはできない。
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TPPによる関税率の引き下げはデフレを助長し日本経済により打撃を加えることになるという論理を大筋として、TPPに反対している。多様な資料・文献から獲た知見を上手く組み合わせてロジックを上手く組み立てている印象を受ける。ただ、あくまで借り物のものが多く、経済学的な主張と裏づけが弱かったり、法的な面でのFTA、WTO等に対する知見もあまり無いように思える。特に前半で取り上げていた海外直接投資に関する議論では、直接投資と間接投資の違いに対する理解がやや不足しているように受けとめられる内容であった。一方でTPPに対する政府や経済界、マスコミの異常なまでの熱狂ぶりに対する意見は同意できる。