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TPPに参加することがなぜよくないことなのかを論理的に整理してくれている本。私自身、感情的、印象的にはTPP参加などというものはそれこそ「亡国」のための政策と思って来ていたが、そうであることの理由を説得的に展開してくれている。米国は実は農業国であり、農産物を戦略的物資として、外交戦略を展開してきている、またこれから一層仕掛けをしようとしている。それがTPPである。日本は、戦後の高度経済成長の中で農業をほとんど顧みることなく政策展開をし、現在に至ってしまった。ただでさえそのツケを払わなくてはならないのに、TPPに参加をしたら、償還不能なほどのダメージを受けることは間違いないだろう。この国の政治家、経済人、マスコミ人は売国奴なのか?
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TPP参加の何が問題か分かりやすく議論されていた。
アメリカが自国の雇用回復に輸出拡大を目標としていてTPP は対日本への輸出増加の手段であるというのが筆者の主張。
確かに日本政府がTPP に参加するどの根拠よりも説得力があると感じた。
さらにTPP 参加が日本のデフレを助長し、経済悪化を招くという事実は知っておかなくてはいけないことだと感じた。
日本の国債は日本人が持っているから大丈夫という話だったが、本当に大丈夫なのかという疑問を持った。
ちゃんと調べてみたい。
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この本は日本人必読書だと感じた。
私たちの思考停止状況に国の存亡の警告をならしている。
2010年10月に突如ふってわいたTPP参加論。
政府はアジアの成長を取り込み、輸出増によって経済成長を達成できるとうたうが、実際はアメリカが日本の市場を食い荒らすための罠だった!
アメリカは2008年のリーマンショック以降、グローバルインバランスの是正と、輸出倍増による経済の回復をもくろんでいる。
TPP交渉に参加するアジアの国はすべて小国であり、韓国や中国は入っていない。そのうえ、日本を加えた交渉参加国のGDP比をみるとアメリカと日本が8割以上を占める。世界的な大不況と、超円高が続くなかでは、日本は安いアジアやアメリカの製品を輸入する一方で、高価な贅沢品を輸出する事はできない。
実はTPPはアジアの小国とアメリカが日本の市場を奪い取るための自由貿易協定なのだ。
しかし日本の政府も経済人も、この思惑に気づかず、TPP参加の結論ありきでつき進んでいる。そこには日本人の戦略能力のなさと、思考停止という病が横たわっている。
ある学生曰く「中野先生はすごい、はじめの3頁で言いたい事が全部わかる!」
まさにその通り。
辛らつな言葉が軽快で読みやすく、説明がわかりやすくて深く理解できる。経済だけでなく歴史に対する見知も深く、本当の知識人ってこういう人のことなのだろうな、と思った。
日本の根本的問題をあぶり出し、これから向かってゆくべき方向性が明確に示されている名著である。
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表面だけで判断することの愚かさを教えてくれる本。国民はどれほど考えてtppを進めるべきだと考えているのか。大学教育のあり方も考えねば。遊んでいる場合ではない。本当に亡国しないように。馬鹿の一つおぼえのような議論か抜け出さねばならない。
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前半部分でほとんどやられました。
後半はなんかそうでもないけど、この本は読む必要ありますね。
いかに新聞が論理性を欠いているかがわかる。
一気にTPPへの僕の意見は変わってしまい、今までの愚かさに気付かされた。
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タイトル通りの一方的で過激な内容。
主張の要旨は、
・TPPによって日本がアジア太平洋の成長を取り込むというが、中韓が不参加なのにできるわけない
・為替操作する中国が自由貿易ルールであるTPPに参加するわけない
・二国間交渉のFTAが有利とする韓国も同じ
・GDPにして日米が9割を占めるTPPは、実質的に日米FTAだ
・TPPは米国中心の多数派工作による日本包囲網
・利害対立の大きい米国を相手に弱腰外交の日本は有利なルールを作れない
・日本の輸出はドル安で潰れる
・関税撤廃による実質GDPの増加という内閣府の試算は通貨安競争を考慮していない
・経産省の関心は欧米中の市場で韓国との競争に勝つことだが、グローバル化した世界では国際競争力には関税より通貨の影響が大きく、韓国のそれはウォン安によるもの
・GDP全体の2割しかない輸出をいくら伸ばしても日本経済は引っ張れない
・高品質な農産物の輸出といっても世界同時不況なので期待できない
・TPPよりデフレ脱却が優先事項
・TPPで安価な製品が輸入されてデフレが促進し、雇用が喪失する
TPPの最大の意義である経済効果に対する反論が10頁と物足りず、完璧に反証できているとはいえない印象。
TPP不参加の場合の将来の展望が欠けており、じゃあどうしたらよいのかがわからない。
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日本の関税率は諸外国にくらべて高くない
トロイが木馬を受け取って以来、外国からの贈り物には気をつけたほうがよい 使用の警句
韓国の国際競争力が高いのは、単に通貨が安いから
日本は内需が大きい 輸出依存は小さい
デフレ脱却が最優先
日本はアメリカに車を輸出し、穀物を輸入
アメリカは他から車を手に入れることができるが、日本は穀物をほかから手に入れられない
種の支配者 F1品種 品種の優秀性が一代限り
アメリカのモンサント社
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この本の要旨は一言
「今のままで何とかなるからTPPはやめとけ」
はあ。そうでしたか。ありがとうございます。
という冗談はさておき、政府の未熟でアジテーティブな発表を論いつつ、持論は「公共投資を続ければデフレはなんとかなる。日米安全保障もたぶん関係無いからなんとかなる。ダメなら自己武装。」という安直な物のようにしか映らなかった。
それで良いなら誰も苦労しないのでは?
読んだ印象としては、もしかすると優秀な人なのかもしれないが、レベルの低い議論に身を落として子供のケンカを始めちゃったのね、という感じ。
こういう主観的な議論はほんと経済学者にありがち。みんな前提もプロセスも目的も曖昧なまま、結論ありきの持論ばかり説明しようとする。
何でなんだろう?
もっと科学的にモデルを立てて、自分の理論を後日検証可能なようにしてから、話をして、そしてその結果に責任を持って欲しい。その仕組みを前提に立ててから話を始めて欲しい。
ただの「真実の知ったかぶり」をするだけよりよっぽど生産的だろうに。
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最近再びメディアで取り上げられるようになってきたので、購入したものの読んでいなかったのでこれを機会に読んだ。
TPPとは、環太平洋連携協定のことであり、シンガポール・ブルネイ・チリ・ニュージーランド・アメリカ・オーストラリア・ペルー・ベトナム等の交渉参加国によって形成され、関税の即時撤廃・関税撤廃の例外を認めない点で、究極の自由貿易を目指すFTAとされている。
筆者である中野剛志氏(経産省官僚、京都大学出向中)は、TPP参加に反対の立場をとっており、以下彼の主張になる。
そもそも日本は、全品目の平均関税率を見るとすでに世界的に相当低いレベルにあり、これ以上低くする必要があるのかと疑問を呈している。
またTPPに参加する理由として、「アジアの成長を取り込む」との意見が上げられているが、これに対してもTPPに中国・インド・韓国の主要国が参加しておらず、他の参加国の市場は微々たるものかつ輸出依存国であり成長を取り込むことは困難としてしている。実際TPP交渉参加国のGDP規模を見ればアメリカ67.2%、日本24.1%であり、TPPは実質的に日米FTAであると指摘している。このようにTPPは農産物を輸出したいアメリカや輸出依存度が高いアジア諸国が日本市場をターゲットとした枠組みであることが理解できる。
アメリカは輸出倍増戦略をリーマンショックを引き起こしたグローバル・インバランスの是正という互恵的目的、輸出の拡大による国内の雇用の確保という利己的な目的で進めており、その一環としてTPPを位置づけている。
アメリカはTPPの枠組みを利用して、日本への輸出を増加させる一方で、ドル安を誘導することで日本からの輸入を阻止しようとしている。
この結果、アメリカは国内雇用を増加させる一方で、日本では安価な農作物が流入することによる農業への打撃・農作物という必需品をアメリカに依存するによる日本の交渉力の低下、一層の貿易の自由化によるデフレ進行を懸念している。
ただし筆者は上記で挙げたグローバル・インバランスの是正に関しては、賛成の立場をとっており、日本が輸入を増加させる必要性を理解している。しかしそのためにはまず公共投資(民家セクターはデフレ化では投資を抑制することが合理的行動であるため)を増加させることで需要不足を解消し国内のデフレを脱却し景気を回復させ、その結果輸入が増えグローバル・インバランスが解消されることが望ましいとしている。
このように、デフレ不況や食料の海外依存という「内の情実」・グローバル化・グローバルインバランス、アメリカの輸出倍増戦略、気候変動といった「外の大勢」についても、何一つ議論が尽くされていないことに筆者は危機感を覚えており、その理由として強力な対米依存願望があるとしており、
それを一刻も脱して戦略的に考えることが重要としている。
*グローバル・インバランス=アメリカだけが輸入し、一方的に経常収支赤字を計上する一方で、東アジア諸国は輸出一本やりで、経常収支黒字を溜め込むという、世界的な貿易不均衡のこと。
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TPPへの参加など、論外です。
まずは長年続くデフレの対策を。
という主張。
無知な私だけど、とーってもわかりやすかった。彼の主張は「おわりに」に要約されてます。国際情勢や経済の仕組み等も丁寧に説明されていて、すらすら読める!おもしろい!おすすめです!うーん、大学の専攻やり直したい(笑)
「横浜が開港したのは、1858年の日米修好通商条約によってです。この条約は、日本が治外法権を認め、日本に関税自主権がないという不平等な条約でした。菅首相が、横浜で開国を宣言したのは、尖閣沖の領海を侵犯した中国漁船船長の釈放という『治外法権』や、TPPへの参加という『関税自主権の放棄』を、各国首脳や国民に連想してもらいたかったからだというのは、さすがに悪い冗談でしょう。」
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TPP=日米FTA。米韓FTAの惨状を見よ!という最近クローズアップされる論調以外にもぐっと来る視点が多かった。
特に、①米国に安全保障を依存する冷戦構造のままの思考回路から抜け出せず、また、自主防衛に関する議論を避けたいがために結論ありきでTPPに賛成していると言う見方(圧力なんて受けてないのに自分で勝手に解釈して自縄自縛的になっている) ②日本には政策議論を行う際に善悪・優劣をストーリーとして受け入れさせることで、知識人やメディア・大衆を思考停止に誘導するさまざまな「魔法の言葉/サーキットブレーカー」があることと、それがわが国の国益にとってきわめて危険であること(かつTPPにはそういった類の言葉が多い)
という2つの視点はきわめて重要ではなかろうか。
もともと自分がTPPは慎重(むしろ反対)なのと、前提とする日本経済への認識に対する納得感があったので入ってきやすい内容だった。口語体だし。あまり自分と同じ意見ばっかり読むのも危険な気がするので、新聞やメディアなんかのスポンサーの都合で参加を煽らなきゃいけない人たち以外のまともな賛成論も読んでみたいな、と思っています。あるかはわかんないけど。
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日本人が戦略的に思考出来ないというのは、今に始まったことではない。統帥権の名の下に先の大戦に向かった大日本帝国の意思決定と今回のTPPの進め方には大した違いがない。TPPを農業問題に矮小化し全体論に進ませない様にするマスメディアには何かしらの大いなる意思を感じざるをえない。政財官そしてマスコミは分かって進めているのかそれとも本当に理解していないのか。どちらにせよ憂慮すべき事態であることに間違いはない。ここでやらなければ本当に日本は滅びてしまう。
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TPP参加は論外、を、大きく3つの理由で説明している本。
ザックリと言うと、
1.日本の関税は高くないよ
2.内需主導の成長でデフレ脱却するほうが、結果的には輸入も増えるから、TPP加盟の国々も、そのほうがいいでしょう
3.外国の日本に対する戦略をナメるな、もっと深く考えよう
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著者の言葉をそのまま引用すれば「TPPは論外」とのこと。
TPPはアメリカが日本に農産物を輸出したいために仕組んだもので、それに参加するのはカモネギが鍋に飛び込むようなものとか。
TPPよりデフレをなんとかするべきとのこと。
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あまりにも拙劣な政策決定プロセス。郷原信郎氏が言う「思考停止社会・日本国」の政治経済版だ。
政府の役人は、自らの失敗を認めず、誤りを隠すため誤りの上塗りを継続してしまう。
所謂、民主主義的プロセスである選挙で選ばれてしまった無能な政治家などを懐柔するのはヘノカッパなのだ。
アメリカの農産物輸出拡大戦略を知って知らずか、第三の開国論なるわけの分からない理屈で、全世界の笑いものになろうとするTPPへの無謀な参加。
中野剛志氏は、本籍、経済産業省の役人であるにもかかわらず、信念に基づいたTPP亡国論を理路整然と展開された。
目から鱗とはこのような著作のことをいうのであろう。