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この本で紹介されている中国の状況は、筆者のブログなどでほとんど現地にいる間に知っていた内容であり、報道とは関係ないがSARSやネット規制・政府機関との駆け引きは自分でも経験してきた。特にローカルテレビの報道と、GFWを越えたネット上で知ることのできる情報のギャップは非常に大きい。しかし、この2,3年で海外メディアの報道を直接知ることのない庶民にもそういう情報が漏れ伝わる割合が高くなっているような気がする。また、8年ぶりに日本に戻り見聞きする日本国内での中国報道・中国理解と、実際に体験した中国の現実のギャップも非常に大きいと感じる。中国を知らずに中国を語っている人にはとりあえず読んでもらいたい本だと思う。
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★情報統制下における記者たちの姿。
ネットという武器を手にした中国にジャーナリズムの萌芽はあるか?
新聞、テレビが党の宣伝機関と位置づけられる中国のマスコミは、
いわゆるジャーナリズムとはほど遠い体質だ。
取材対象へのたかり、ゆすり、記事のねつ造も日常茶飯事。
その背景には厳しい報道統制があり、特ダネが許されないなど、
優秀な記者がスポイルされてしまう構造がある。
その一方で、インターネットの発達にともない、
情報統制やマスコミ腐敗になんとか抵抗しようと、
記者魂をみせる一握りの記者たちも生まれつつある。
新聞社の元北京特派員であった著者が、
中国のマスコミがらみのトンデモ事件の内幕を紹介しつつ、
報道の自由を模索する記者たちの光と影を描く。
(目次より抜粋)
●第一章 中国のマスゴミ
2010年十大ニセニュース/いたずらか当局の世論工作か、幻の「angel girl」/
華南トラ事件とフェイク写真/捏造記事で実刑も!「段ボール肉まん」報道/
記者のたかり体質 炭鉱事故封口費事件/たかりすぎて“口封じ“に殺される記者も
●第二章 マスコミ腐敗・記者モラル崩壊の背景
報道機関とは「党の喉舌」と「金をつかむ手」/党中央宣伝部を頂点とする報道統制/
記者はつらいよ その実態/書くなと言われるエリート記者・嘘でも書けといわれる新聞民工
●第三章 中国ジャーナリズムと外国人記者
外国メディアが暴いた「SARS隠ぺい」/「売血エイズ」報道の苦い記憶/
チベット騒乱報道から見えてきた可能性
●第四章 巧みにしなやかに抵抗せよ
鶴と空椅子の一面写真「南方都市報」/南方週末の“天窓”事件/
温家「室」誤植事件は、故意か不注意か?/天安門事件広告と天安門事件写真/
●第五章 インターネットでジャーナリズムの夜明けは来るか
「微博」記者・飛のインパクト/「氷点」事件を振り返る/地方紙、体制外メディアの台頭
福島香織(ふくしまかおり)
1991年、産経新聞社に入社。上海・復旦大学に語学留学し、
2002年から2008年まで中国総局記者として北京に駐在。
2009年、同社を退社し、現在はフリージャーナリストとして活動中。
著書に記者時代のブログをまとめた『危ない中国 点撃!』(産経新聞出版)、
『潜入ルポ 中国の女』(文芸春秋)。twitterアカウントは @kaokaokaokao
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・虚偽ニュースって、裏取りもせずに記事を出しちゃうんだろうか
・インサイダー取引推奨とか凄い国だ
・検察への通報者が報復に遭うのは200件/年以下って、200件でも十分すぎるほど多いわ
・報道の目的のためには写真の捏造も辞さず…そもそもそれ以前に事実そのものを伝えるのが報道なんじゃないか
・ダンボール肉まんがやらせ云々で騒がれていたのは知らなかった。まぁでもかの国なら実際にあったと考えてもいいような気がする。
・記者会見で金を配るってのには呆れたけど、日本の記者も政治家や企業からもらってそー
・twitterの強力さを認識。最速の情報伝達メディア。
結局のところ、一党独裁が諸悪の根源なんだな。やっぱ異常だわ。批判を受け付けない権力はどこまでも腐敗するのだなと思った。
ただ、もしかすると、おおっぴらに権力を批判できる国というのが、今はまだ少数派なのかも。その点では日本はやはり先進国だと言える。少なくとも記者が命の危険を感じずに済むというのは大きな違い。
ただ、結局はあとがきに全てが集約されているよね。日本にだってジャーナリズムはない。政府の御用聞きになりさがったメディアばかり。中国とどこに違いがあろうか?
結局のところ、現世はどこもかしこも汚れているのだ。清濁併せ呑むなんて表現もあるけど、その濁り具合が濃いか薄いかの違いだけ。生まれ落ちてしまった以上、その汚れと共存していくしかないのだ。
つくづく生きるのが嫌になった。俺を産んだ父母はいくら恨んでも恨み足らぬ。
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中国の「マスゴミ」なんていうタイトルがついていますが、副題である「ジャーナリズムの挫折と目覚め」のほうこそ内容を指しているように思いました。背景には、中国関係の書物は売れない、という出版事情があったようですが、できればこの副題に注目してもらったほうが良いのではないかと思います。
本書の中で展開される、SARS発生時の報道をめぐるエピソード。国内で問題が発生した段階で当局が報道規制を敷き、外国メディアが気づいて騒ぎ始めた頃にはすっかり感染が広がっていたという話です。
もちろんこれは中国の報道規制問題を示す事例として紹介されているのですが、これを隣国の未熟な報道環境として笑えるのでしょうか。
折から、日本では原発事故に関連して、情報開示とマスコミの対応についての問題が顕になったばかりです。電力会社の記者会見の様子を、私もネット中継で視聴していたのですが、あれを見た後では本書のエピソードはまったく笑えないし呆れることもできない。まるで一緒。
もちろん、かたや一私企業の、いわば「個人的」ともいえる自己保身、かたや国家崩壊に怯える政府による暴力的な抑えつけがその背景であって、問題の構造は異なるのだけど、結果として伝えるべき情報が伝えられないという点には違いがない。
当時の中国では、不十分な情報を受けた国民の間に奇妙なデマが流れ、SARSに効くとしてヤクルトやキムチがばか売れしたという…
諸々の壁に阻まれて必要な情報にアクセスできないとしたら、果たして記者はどうするべきなのか。
厳しい報道規制と労働条件の下、腐敗していく中国人ジャーナリストたちがいる一方で、なんとかして伝えるべき情報を伝えようと文字通り命がけで取材し、記事を流すべく戦う記者もいるということ。
インターネットの登場によって、少しずつではあるが、報道が規制に打ち勝つチャンスができつつあること。
まっとうなプロ意識を持つ中国の記者から見れば、日本の報道環境はうらやましい限りでしょう。けれど、恵まれた環境(もちろんこれが当然の環境であるべきなのだけど)にいる日本人ジャーナリストはその魂を全うしているといえるのか。
著者は問う…
著者の記者としての誇り、ジャーナリズムへの愛情が感じられる本です。
マスゴミと言われるのは中国に限った話ではない。日本こそ、新聞、テレビは死んだ、スポンサーや社内圧力に迎合するばかり、ろくなニュースはないと見切る動きがあります。ある部分はそうかもしれません。でも、それでも報道の仕事に命をかけて、戦い続けている記者がいるし、自らもそうありたいという思いが溢れていると感じました。
前回読んだ同じ著者による「中国の女」もそうなのですが、具体的な個別の事例を通して、普遍的全体的な問題へと視点を誘ってくれる、血の通った文章。(もっともご本人は、情景描写から入るような文章、マクラとオチがあるような文章が得意で、所謂記事としてのフォーマットにのっかった文章が苦手、と告白しているのですが)
中国に関心のある人にはもちろんですが、今の日本で今のタイミングで読むと、また大変におもしろいのではないかと思います。
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挑発的なタイトルではあるが、その内容は中国の記者と中国ジャーナリズムの現状を訴えたルポタージュ。最初の企画案では「中国の記者」だったのが「今、中国ものは売れないから」という理由で没になり、同じ内容でタイトルを変えて提案したら通ったとか。この本を読みながら中国という国の難しさを感じると同時に、震災や原発報道での日本のマスコミの対応がダブって見えてしまった。あとがきを読むと、それも本書の狙いの一つだったことが判明。メディア情報に対する意識を変える必要があるかも。
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中国の、と銘打っておきながら、日本におけるマスコミのあり方に再考を促す内容だなと思いながら読んでいたら、あとがきにそのようなことが書いてあった。
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中国のマスメディアの環境は劣悪であるが、マスコミ靈は日本のマスコミとは相当ちがう彼らはsnsを利用してこれから改革を進めていけるだろう。。
果たして日本の大手マスコミは今やゴミとなりつつ有る。
中国の変化に期待して、わたしたちも、マスコミの選別を進める必要を感じた。
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タイトルにひかれて読んでみた。
日本のマスコミも「ゴミ」だと思うが、中国と比べられない。
何と言っても中国は社会主義国家なのだから。
しかし予想以上にひどい。
国民は何が真実かも判断できないだろう。
しかし。
インターネットが普及してからは、ちょっとは風向きが変わりつつあるようだ。
この先、中国のマスコミはどこに向かっていくのだろう。
注目だ。
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気合の入った一冊。
なぜ中国が好きなのかと問われると、面白いから、ネタの宝庫だからと即答するという著者により書かれたモノ。
ジャーナリスト内でささやかれる戯れ歌:”一流記者は株で儲け、二流記者は広告で儲け、三流記者は賄賂で儲け、四流記者はアルバイト原稿で儲け、原稿だけ書く記者は五流”という社会の中で、葛藤・奮闘するジャーナリストや事件について明記されている。
面白かった。
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中国の報道統制の厳しさ、国としての制御の腐心がわかる。
中国をみて、我が日本もマスコミを戒めてみることが必要に思えた一冊