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故伊藤計劃の原稿集第二版。
虐殺器官、ハーモニーが連続で文庫化され、本屋で絶賛平積みになる伊藤計劃ブームの流れもこれで打ち止めだろう。どうしようもなく、もはや新しい原稿は書かれないのだから。
自分にとっては殆ど全て読んだことのある原稿ばかり。
(何せ、彼のblogはまだ生きているのだからhttp://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/)
本書冒頭に収録されている短編2本は初見だったけども、正直に言って「虐殺器官」又は「From nothing with love」のキレと比較すれば一段落ちる。
氏が遺したWeb上の文章を集成するというこの企画の第一弾「伊藤計劃記録」は、「屍者の帝国」という飛び道具を収録していただけに、かつ豊富な映画評によって読み物としても高いレベルにあったと思うけども、
第2弾たる本書は正直、読書の対象としての読み応えには若干欠ける。
しかしそれを補って有り余るのが氏の闘病記録。
blogに綴られる彼の不自由な日常と、その中でも必死に映画と物語に生きる糧を求める様は、直視に努力を要する程に生々しい。
去年発売のSFアンソロ「ぼくの、マシン」の中で、氏の遺言は「僕のことをいつまでも覚えていてほしい」だったと氏の母上が書いていた。
僕は、そして伊藤ファンの多くは、今後誰のSFを読んでも伊藤氏のことを思い出し、生起しなかったテクストを惜しむんだろう。
改めて、氏の魂の平安を。
癌ではないにせよ肉体的崩壊に大変自覚的な昨今の僕には、少し強烈すぎたような気がする。でもアレだな、これまで興味がなかったけど、死んでも何かしら残るものがあるってのは羨ましいことだな。
健康になった日に、もう一度読もうと思う。
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大半が著者の病生活と作品レビュー。計劃が好きなひとが読めばいいと思う。
進化心理学の話が面白かった。この考え方が虐殺器官に繋がってくる
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伊藤計劃は死の描写がうまい。とても美しく人が死んでいる様子を描く。あらためてそれをこの本で思った。後頭部からラフレシアが咲く、これで人の死を表せるとは。
ただこの本の魅力はそんなところにはなくて、伊藤計劃のブログから垣間みる映画の知識の豊富さ、読み取り方にある。とにかくたくさんの映画を観ていて、本当に映画が好きなんだなと、だから感想に妥協はしない。安易に批判もしない。しっかりと映画の良い所を見出そうとしている。そして時にあまりの知識の豊富さに何を言っているのかわからない。それが伊藤のブログなのだ。
あれだけ映画を観て、軍事オタクで、SF好きならそりゃあ「虐殺器官」も書けるだろう。そう思ってしまった。
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最初に収録された短編2本に星4つ。文章のキレがめちゃくちゃかっこいい。この人が描く世界を体験する側でなく「物語」として文字で読める側であることを喜びたい。
あとのブログ収録分はむやみに映画観たくなったり読みたい本が増えたりして危ない。途中、闘病生活の様子を読むことから逃避したくなるくらいにはお腹一杯になった。Webで読めるものを紙媒体で読むことにも何らかの意味はある。タイマンで「入り込む」やり方こそが本として読むことの面白さだと思う。ネットという海の一隅じゃなくてその水を詰めた容器と向き合うのとは違う。その閉じられた空間で筆者と過ごす、贅沢な時間だ。
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伊藤さんが宇宙戦争を褒めてることに喜びを感じる。そして映画から引き出す情報量の多さに絶望する。
伊藤計劃さんの文章補完本。
MGSのビッグボス話
虐殺器官 初期稿
自作漫画
はてブの文章
が掲載。今回は映画話多め。
見る映画のチョイスと映画の良し悪しの直感的な感性は自分に似ていると思う(不敬罪)。ただ伊藤さんは直感的な好き嫌いを文章には乗せない。 映画から引き出した情報と映画の外から引っ張って来た知識をリンクさせてどこまでも書いてしまう。映画と適度に距離を置ける、というか映画の「凄さ」や漂うボンクラ臭に騙されない。伊藤さんの眼で映画を見たらもっと楽しいだろうなと思う一報で、俺もいつかはこんな風に、好悪だけでは済ませられなくなるんじゃないかと焦せりを感じる。
ブログ文で非モテネタや篠房六郎との絡みがちょいちょい出て来て面白い。篠房が母校のアニ研に顔出して今風のオタに馴染めずマジ凹みする例のアレが伊藤さん視点で見れますw
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あー頁がもう終わっちゃうよ…と思いながら読みました。
なんで伊藤さんの書く文章はかっこいいのでしょうか。まさしくすげぇ!!ですね。文章読んでかっこいいなんて感じるのは。
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2011 4/27読了。有隣堂で購入。
無印の『伊藤計劃記録』に続いて、短編小説2本、エッセイ2本、原作漫画2本に、ページ数の大半を占めるブログ『第弐位相』由来の文章を纏めた本。
『伊藤計劃記録』を読んだときは未完の長編がめちゃめちゃ面白そうで、「この人の書く小説がもっと読みたかった」と思った。
『~第弐位相』を読んだ今は、「この人の書く文章をもっと読みたかった」と思っている。
伊藤計劃のブログは存在は知ってても全然読んでなかったのだけれど、なんて惜しいことをしてたんだ。やたら面白い。「俺はこれが好きなんだ」「こういうのが見たいんだ」っていうのがガシガシ書かれている。
自分は映画はあまり観ない人間なのだけど『第弐位相』読んでいると観にいきたくなる。そのコンテンツに触れたことで他のコンテンツに対する欲求が生じるものはなべて素晴らしいものだと考えているのだけれど、それでいくと『第弐位相』は凄い。
映画だけでなくクリスマスのちょっとした非モテエントリとかも面白くて、本当、もう新たに読めないことが残念だ。
*以下、自分用に紹介されていた本でチェックするものメモ。映画は多すぎるので書かないし、観たい=観るとは限らない出不精。
・『戦争請負会社』
・『戦争広告代理店』
・『標的は11人』
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まだ第壱を読んでいないのに、勢い余って購入してしまった…
全然良いんですけどね(笑)。
hayakawa online 紹介文より。
『虐殺器官』が書かれたのは、必然だった。 伊藤さんにとっても、世界にとっても―― オリジナル長篇二作の文庫版が大好評を博す伊藤計劃。二年にも満たない短い執筆期間のなかで、フィクションの枠組みそのものを変えた稀有な作家の生の声を精選した作品集成第二弾、待望の刊行!
オリジナル長篇『虐殺器官』『ハーモニー』の文庫版がベストセラーとなっている伊藤計劃。2004年4月から死の直前まで綴っていた個人ブログ「伊藤計劃:第弐位相」の原稿抜粋を中心に、影響を受けた小島秀夫監督作品にオマージュを捧げた短篇「Heavenscape」「フォックスの葬送」、原作を担当した幻の商業誌デビューコミックや単行本未収録エッセイまでを集成。2年にも満たない短い執筆期間のなかでフィクションの枠組みそのものを変えた、稀有な作家の生の声を精選する。
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/111253.html
購入済・未読
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後半のブログは、当然だけど「俺はこう思うんだ!」って言うものの羅列だと思う。ブログだからこそ、所々に伊藤計劃の本音というか底にあたる部分が見える。
こういう主張をする人とかが大好き。お店とかでもたまに見るとすごく楽しい。「俺はこういうのが好きなんだ!お前はどうだ!?」って全身で語ってる。その人の思想の断片をつかむことが出来る。
もっとこの人の本を読みたかった。
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そもそもSFは十数年読んでいない。シンプルな装丁に惹かれて、図書館で借りて読んでみた。前半は短編小説とコミックが2つずつ。後半はブログの総集編。壮絶な闘病生活の中で、著者が見た映画がたくさん紹介されている。
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楽しみにしていた初体験の日本SF作家。しかし、ファースト・コンタクトは失敗した。
短編「フォックスの葬送」「Heavenscape」、マンガの「つぎはぎの王国から」「制御された現実とは何か」「A・T・D:Automatic Death・EPISODE:0・NO・DISTANCE,BUT・INTERFACE」「女王陛下の所有物」、大部分を占めるエッセイ集の「伊藤計劃:第弐位相・2004年~2009年」
見るべきは短編二つなんだが、最初はイマイチ、二つ目は尻切れトンボ。う~ん、ちょっと失敗。
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風邪で半分ボーとしながら読んだけど、文章の斬れ味いいです。
本当に映画好きなんだなとわかるし、レビューもうまい。同じ映画をみても、言語化できるのがイイなぁ。
最初の短編は、大きな物語の一部分を読まされた気がして、ちょっと物足りない。続きを読みたくても読めないのがとても残念。
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おもしろいが、つらい。つらいが、おもしろい。
帯に書かれているし、誰かがこの本を読もうと決めた時点でネタバレもクソも無いが、この作者は既に鬼籍に入っている。
入院でやることが無いということだけではなく、この人はかなりの映画通であり、この本の半分以上を占めるはてなダイアリーの日記はほとんど全てが小説か映画のレビューなので、映画に興味が無い自分にはほとんどが理解不能であり、そこは勿体ないと思う。
そんな自分でも見ているリベリオンだとかバットマンダークナイトだとかそれらも網羅しているので、そこはよりおもしろく読めた、気がする。
それでも、文体やこの人の考察などで面白く読まされ、映画も見てみたい、小説も読みたいと思ってしまう。特に何度も出てくるブレードランナーや、ディファレンス・エンジンなど。
日記のエントリーが終わりに近づくにつれ、どんどんつらくなっていくけど、そこは我慢するしか無いので読む人はがんばってくださいとしか言えない。
最初に載っている短編は、MGS3の後日談なのだが、最初に読んだ時にはまだMGS3をプレイしていなかったので、もう一度読みなおそうと思う。
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2015.10再読。
ブログが好きだったのでそれ目当てで買ったんだが、明らかにだいぶ削られている。しかも取捨選択の基準が不明。まあ、ウェブ上にまだ残っているからいいか。
マンガはプロレベルではないと思われるが(絵柄は端正ですが)載せられてしまっていて、作者本人的にはどうなのだろうか。
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短い人生で、本当によく本を読み、映画を見た人だと思う。これだけのしっかりしたレビューを数多く残したのだから、映画評論家としても、さぞ活躍しだだろう。