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どんなに信頼し合い、愛し合っていると思っていても、どんなに長く続いた関係だったとしても、ふとしたささいな出来事で揺らいだり、壊れてしまったりする、そんな、残酷とも言えそうな瞬間を静謐な記述で切り取っている。といっても、しみじみとした読後感。考えてみれば、カップルっていろいろあるよねえ..
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いつものようにタイトルで手に取る。ラーヴなお話かと思えば、愛が壊れていく短編集。実生活の中でたぶん起こっているような、さりげなくやるせないお話たち。
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カップルでも夫婦でも二人である以上、必ず「空間」はあってひとつにはなれない。その空気がひんやりと漂っていることを感じられる12編、12ヵ月分の小説達。
つめたいからこそ清涼にすら感じ、居心地が悪いばかりでもない。ヴァレンタインズ=恋人たち、という情熱すら感じる題名とは裏腹。難解な文章でもなく、不条理なことも起こらない。ただそこに二人がいて、空気が冷えていく様をみつめるだけ。秋口に読んで良かった。
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久しぶりにしっかりした本を読んだという感覚からか,★半分プラス。人と人との関係って,いろんなことがある。もちろん私もだ。
120ユーロで買う彼女の話(9月)がなぜかいちばんシンクロした。
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翻訳ものにありがちな比喩を多用した情景描写などが極端に少ないため、直接的で簡潔で読みやすい。
たぶん不自由なく使えるのだろうが、厳密には著者にとっては外国語である英語で書いた作品だから、というのもあるのだろうか??
男女の愛が崩れ去ろうとしている12の物語。
愚かというか、やりきれないというか、どれも読んでいて「あ~あ」と思わず声が漏れてしまう。
読後感の良さは無論ないが、第一印象ではあまり好きになれなかったものの、読み進むにつれ、独特な雰囲気やストーリーの切り込み方にちょっと惹かれたかも。
他の作品も読んでみたくなる。
蛇足。
アイスランドの名前の付け方が変わっていて驚いた。苗字は自分の親の名前に、男女ごとの接尾語をつけて苗字にするのが基本だそう。だから親子では苗字が違う。兄弟では、性が同じなら苗字が同じってことか。
話の途中「?」と思うくだりがあったが、訳者あとがきを読んで納得。
そして、何やらアイスランド人って日本人に似てない?と思ったのは私だけじゃないはず。
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おもしろいですね~。こういう短編小説集って読むの初めてかも。昔、TBS系のドラマで「泣きたい夜もある」という恋愛オムニバスドラマがあったのを思い出した。けど、この小説は、もっとひんやりとして、深刻で、固まる感じです。オススメしたいような、やめておいた方がいいような。残念なのは、前半の話の方がおもしろかったこと。並び順が違っていれば、もっと良かったかも。
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アイスランドというと、ビョークしか思い浮かばない…という、体たらく。
アイスランドの作家さんを読むのは、もしかして初めてかもしれないなあ。
家族内であっても感情をあまり表に出さず、小さな出来事や違和も淡々とやリ過ごしていこうとする感じが(欧米やほかのアジアの国より)、日本人に近いような気がする。
それがアイスランド人の気質というものなのか、この人の描く人物たちの特性なのかはわからないけれど。
夫婦や恋人たちの12ヶ月に起こる、いろんなこと。
ささいなものから決定的なものまで、大小はあっても、亀裂には違いない。
亀裂だから、その隙間から見えるものが時々こわい。「四月」と「十二月」が、私はこわかった。
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短編集。非常に頭のいい人だと思う。それぞれの夫婦、恋人の何かが壊れる瞬間を、鮮やかに切り取って、目の前に置いてくれる。その簡潔さ、的確さに驚く。2月、4月、11月が良かった。
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アイスランド出身の米国人作家が描く、1月から12月まで、それぞれ1組の恋人たちの12の物語。端正で透明感のある短編集である。
どの話でも、登場する恋人たちの間に、何か決定的な齟齬が生じる。訳者によるあとがきでは「氷に亀裂が走るような鮮烈な瞬間」と称している。
それはガラスに入った小さな傷のようなものだ。自然に直ることはない。いずれ古い傷が何かのきっかけで一気に広がり、粉々になってしまうこともある危険を孕んでいる。
崖の上で人がバランスを崩し、落ちていくまでの瞬間。角度にすれば、10°くらいのまだ落ちるまでに間があるものから、重心が崖の向こう側に寄り、もう到底助からないと一瞬でわかるものまで。
どの話のラストも、程度こそ違え、止められない終焉を予感させる。
独特の空気感が忘れがたい味わいを残す。
「五月」はストーリーとして少々無理に作った感じがする。
「十月」の終幕はやや陳腐な感じがした。
「六月」が個人的には一番好きだったかもしれない。
*個人的なことを言えば、「アイスランド」にはあまり接点がない。印象に残っていることといえば、歌手のビョークが主演した映画がやたら悲惨だったのと、学生時代に会ったアイスランド人の女の子に「アイスランドって何語をしゃべるの?」と聞いたら「Icelandic!(アイスランド語)」と教えてもらったことくらいか。そうか、アイスランド語というのがあるんだな、と妙に感心した覚えがある。
火山の噴火で欧州の空の便が乱れたのも記憶に新しい。氷と火の国、なのだろう。
*あとがき中に詳しい、アイスランドの命名の風習がおもしろい。男の子なら「父の名+ソン」、女の子なら「父の名+ドッティル」。「オラフソン」は「オラファーの息子」という意味なのだそうだ。
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「1月」から「12月」までの12の短編集。男女のちょっと不幸な話が次から次へと展開されます。義理の両親との確執っていうのは、万国共通なんでしょうかねぇ。「O・ヘンリー賞」受賞だそうですが、最後にちょっと幸せな気分になる……というタイプではありません。
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大人の男女の亀裂を、簡潔な文章でありながら鋭く切り込んだ短篇集。
1月から12月まで、季節感をまとった物語が紡がれる。
残念ながら自分は単純な人間なので、この手の小説は苦手なのでした。
書評を見て読んでみたけど、悪くはないけど…なんだよなあ。
おとなしく翻訳ミステリ読んでます。はい。
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ほろ苦い、男女の物語。まわりの情景、漂う光や空気が肌で感じられるような描写。甘さに慣れた私には、苦さが少々強く感じられてしまった。
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12のカップルたちの静かなストーリー。
若くはない彼らが重ねてきた日々のひずみ、すれ違う気持ち、ためらい、チクリと感じる悔い。
1月の再会のストーリーが、なんとも切なく、1番好き。
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アイスランド人の作家&エリートビジネスマン。透明感は確かに感じるけど、奥歯に物がはさまったような、ちょっとつらい短編集。アイスランドにはお節介という言葉はないのかな?
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おもしろかった。恋愛の、それもあまり幸福ではない恋愛の話が多いのだけれど、しつこくないので読みやすい。
特に「三月」と「九月」の話が好きだ。
作者がアイスランドの人だから、耳なじみのないアイスランドの名前などが出てくるのもおもしろかった。