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古代オリエントの第一人者の小川英雄先生による、古代オリエントの概説書。全23章で、1章3~5ページほどで、図などはあまり入れずに、150ページ近くでまとめている。
オリエントの概説書としては非常によくまとまっているが、逆にいえば内容を詰め込んでいるので、オリエントの基本的な流れがわかった上で読んだ本がよいかもしれない。
目次を以下に記す。
1 古代オリエント史の基本的性格
2 農耕と牧畜の発生
3 メソポタミアにおける都市国家の形成
4 メソポタミアの統一
5 初期メソポタミア文化
6 古代エジプト史の起源
7 古王国と中王国
8 印欧語族の到来とフリ人
9 エジプト新帝国とヒッタイト帝国
10 「海の民」
11 アラム人とヘブライ人
12 鉄器時代のシリア・パレスティナ
13 アッシリア帝国とネオ・バビロニア帝国
14 サイス朝とメルムナス朝
15 イラン高原の先史時代
16 ペルシャ帝国
17 アレクサンダー大王――その歴史的意義
18 アレクサンダー帝国
19 セレウコス朝史
20 ペルガモン王国史
21 プトレマイオス朝史
22 ヘレニズム時代の経済生活
23 ヘレニズム時代の王権
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先史時代からローマ時代の開始までの古代オリエント史を辿る一冊。約8000年の期間がバランス良く記述されていて分かりやすい。この分野への導入として優れた内容だと思う。
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新石器時代からキリスト教の成立直前まで、およそ8000年の中近東史(=本書のオリエント史)を概観。索引だけで16頁におよぶくらい多くの事項がわずか150頁ほどの本文に詰め込まれている。そのため個々の記述はあっさりめ。メソポタミアの歴史はとにかくたくさんの王朝が入り乱れ、異民族の侵入とそれへの抵抗/屈服がめまぐるしいのが特徴だが、そもそもなぜこうした軍事的な侵攻が繰り返される必要があったのかについて、総括的な解説がなかったのが残念。とはいえコンパクトにまとまっているので、既習者が復習のために読むのが良さげ。
【メモ】
・登場する民族が多いので、ざっくりでかまわないから各民族の特徴をひとことでまとめてみると良いかも
・シュメル人 = メソポタミア文化のほとんどを創造した先進的クリエイター(神殿共同体と都市国家、法典による司法・行政、楔形文字をもちいたコミュニケーションと記録)
・アモリ人 = 自身は凡庸であるいっぽう文化の運び屋として活躍、シュメル人の成果物を全オリエントに伝えた
・海の民 = わんぱくな荒らし屋
・アッシリア人 = 残虐な戦闘民族
・統治期間が長すぎると国土の荒廃に気づかないことがある(エジプト古王国の王たち、エジプト新王国のラムセス2世)