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三国志には珍しい一人の人物に焦点を当てたヒューマンドラマ。
三国志ものの大半は視点や舞台があっちこっちに飛ぶ上に各国の人物がうじゃうじゃ出てくるので、視点を主人公一人に絞ったこの本は三国志初心者や初めての人にも読みやすいと思う。
地図や登場人物紹介もついているし(ただし初心者にとっては結局ただの暗号かもしれない)。
で、その視点を誰に絞ったかというと、主人公はなんと陳宮。
三国志の中ではどちらかというと「敗者」の立場にいる陳宮の生き方は生真面目で不器用。
親友・曹操の元から離れ、愛する陳琳を失って、どんなに追い詰められても、なんとか策を見出して解決しようとする。
しかし呂布はアホーで余計なことばかりするわ、陳宮の企みもなかなか上手くいかないわで、あまりの崖っぷちっぷりに歯痒くなることも。
そのなかで曹操のキャラクターはずば抜けて魅力的でした。
曹操がかっこいいほど「なんで曹操を裏切っちゃったんだよー」という想いも強くなって悲しくなる。
ところで曹操や呂布、劉備などのキャラクター達に「これで筆者が『蒼天航路』読んでなかったら嘘だろう」ってくらい蒼天らしさを感じた。作者が好きなのかな。
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もともと三国志にはあまり詳しくはなかったのだけど、読み始めたら一気読み。今まで単純に「曹操は嫌なやつ、劉備はカッコイイ」と思っていたうつけものさを猛反省… 曹操!ごめんなさい!あなたがこんなにステキなヤツだったなんて。そして劉備!もっとがんばれや! 若き日の曹操の熱い思いと強い心にやられました。今までなぜこんや嫌なやつにみんな従ってるんだと不思議でしたけど、これを読んで納得納得。 吉川永春さん!ありがとう!新たなる三国志ワールドここに誕生。
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新たな三国志像! 個性豊かな登場人物たちに圧されっぱなし。史実と演義が好きな方はパロディ気分で読める作品。
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久しぶりの三国志もの。主役が陳宮、という珍しさもあり迷わず購入。
復讐心と野心を抱えながら主君を変えてゆく生き様、その描写に感情移入しやすく一気に読み終えました。
前半の打倒董卓から始まり曹操の元で辣腕を振るう陳宮の活躍は、非常に華々しく読んでいて爽快です。曹操の人物像も魅力的で、一方呂布の存在感もあなどれない。
けれどそこから一転、呂布を主と定めたはよいものの迷走しつづける後半は読んでいても非常にもどかしく、だからこそ陳宮という人物の人間味がより一層鮮明に思えます。
そして最終章、全てを失った陳宮と彼に救いと手を差し伸べる曹操とのやりとり。そこで漸く己の本心に気づく陳宮の不器用さ、けれどもそれこそが非常に優れた策略家である陳宮の最大の魅力なのかもしれない。
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まだ、69ページ。面白いと思う。読売新聞の書評で「我が槍は覇道の翼」をみつけて、読みたくなって、先に刊行されたこちらを読んでいる。陳宮のお話。
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三国志ファンとしては、新たな切り口の作品となれば、読みたくなる。
今回は、かつて曹操の軍師、その後呂布の軍師となった陳宮が主役だが、残念なことに彼が曹操を裏切る動機に、説得力がない。
また、彼の生き方の芯となるものにも共感できない。
また、呂布の人物像は新しいものだが、さほど魅力的ではない。
三国志の面白さの一つの核は、登場人物の生き方の熱さ
だろうと思うが、本作にはそれは少なかった。
残念
(でも、次作の程普の巻も読むよ)
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これは珍しい陳宮が主役の三国志。曹操との出会いから陳宮の終焉まで。
あまり良いように書かれることの少ない陳宮だけれど、裏切りというより志のために「転職」と思えばありそうだ。
ここに書かれている曹操は爽やか系で好感が持てる。
劉備の渡世人口調が面白いので、劉備側の誰か視点の話もあればいいのに。
陳宮の最後の曹操とのやり取りはちょっと感動的で心に残る。
わかりやすく読みやすかった。
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「三国志」に詳しくない私だが
いいこともあるんだなと思った。
何せ、先がどうなるのか全然知らないのである。
だから、夢中になって読んだ。
現代のサラリーマンにも通ずる処世術みたいな、
テンポがよくて読みやすい。
陳さん、張鈴のことには命がけだったのに
妻子やお母さんのことはあっさりしちゃっているんだな~
と、ちょっと女性目線で思いました。(笑)
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沢山の作家さんが描く「三国志」書く人によっていろいろ見方・考え方があって面白いですね。
それほど「三国志」という物語は話・人物ともに魅力的だということなんでしょうね。
この本の主人公は陳宮。
曹操から呂布に乗り換えた軍師。
物語の序盤でいなくなってしまうし、乗り換えた。という事実があまり良いイメージがなかった人物。
しかし、しかし!この陳宮は格好良い。曹操、もっと格好良い(笑)ただし悪食だけど(爆)
陳宮と曹操、この2人のシーン全部良い。
だから最後の会話が余計に切ない。
呂布の元に行ってからの陳宮は「こんな筈では…。」の連続。自分の信念が自分をがんじがらめにして動けなくなった様な感じ。あのまま曹操の元にいれば…。と「たら・れば」を思ってしまう。
戦いの場面はあっさりめ。しかし策略がふんだんに飛び交うので面白い。頭脳戦って読んでて疲れるけれど止められない。
この本の呂布は北方版の呂布が好きな人は多分「えー!」って思うかもしれない。なんなんだ、こいつは?という状態…。
私は肥満な童卓、任侠な人・劉備に違和感を感じ、「夏侯惇」の呼び名をどうしても「かこうじゅん」と読んでしまう。
つくづく私の中では吉川英治&横山光輝が根底にあるんだなと認識してしまった本だった。