紙の本
中学生にも面白く読める”通貨”の歴史
2012/02/09 15:21
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hisao - この投稿者のレビュー一覧を見る
橋下徹大阪市長が浜教授に“喧嘩”をふっかけているそうだ(まあ実のある“論争”でも無さそうだが)
お二人の民衆を惹き付ける良い意味での“エンタメ性”、お互い似たもの同士故かえって我慢がならなかったのだろう
勿論、華麗な口舌で圧倒する強引な論理や仕組まれた無茶振りに辟易する方も居られるだろうが、その類い希な表現力をもって政治や学問を民衆の手元に届け民衆を取り込む力量は、現代リーダーに必須の才覚だろう
政治では橋本市長、経済学では浜教授ほど面白く語ってくれる方は、それ程居ない
本書の主題は“基軸通貨論”である
浜教授、いつもの巧みな表現で“基軸通貨”の歴史を辿りながら“通貨の呪い”(矛盾)を炙り出す
実に解りやすく面白い、“猿”は兎も角、中学生でもよく解るように“通貨”の歴史が語られる
浜教授の定義では“誰もがハッピーになれる通貨、それが基軸通貨”、経済が停滞したとき基軸通貨国は世界の幸せのため“通貨の番人”としての義務を守れるか?ポンドもドルも国内経済救済のための貨幣増発の誘惑に抗し得なかった(これが通貨の呪い)、そしてその反動が世界の金融体制を破壊させ自らの首も絞める事になった
かくて浜教授は基軸通貨存続(通貨集約の論理)を疑問視する、もはや“基軸通貨”が世界経済を主導する時代は終わった
そして教授は“基軸通貨”の危機、ユーロ通貨統合の危機から波及されるブロック経済化を警戒するあまりか、“地域通貨”を主張される
“地球経済時代は地域通貨時代ではないか”として“三段構えの3D的通貨構造?”を提示される
“通貨集約の時代はもう終わった、これからは通貨の分散の時代だ、国の数よりも通貨の数の方が多くなる”かくて財布の中身は色々の通貨が混在するようになる
一方SDRのような“共通通貨”も評価される
私が“通貨が集約する属性を持つ”という古い観念に囚われて居るのかも知れないが、先生のこのご主張には少々付いていけない
いまやよれよれのユーロではあるが統合通貨に走ったには、それなりの理由があった、SDRも現在有効な働きを期待されていないではないか
浜教授の“円高”に対する見方は、先日コメントした佐々木融氏と同様のようである
“為替介入”という対症療法で“円高”に立ち向かうことが無駄な抵抗なら、円相場を下げるには更なる金融緩和でインフレを巻き起こすか、海外資本投下を強め資本収支を赤字にするしかない
しかし世界的景気沈滞で海外投資は縮小し円は買い戻されている、円高是正のためのインフレも本末転倒であるし、ゼロ金利、量的緩和と頑張ってもいっかなデフレも円高も解消していない
そうなれば円高は是認すべき前提環境である、浜教授は備えあれば憂いなし、1ドル50円を目標とすべき相場圏とまで主張する
ではどのように備えるか?答えが“内需拡大”に有る事は言うまでもないが、さて如何様にして内需を拡大するかが問題である
浜教授はプラザ合意(1985年、ドルの黄昏の象徴)の翌年提起された“前川リポート”を取り込むかどうかが日本の分岐嶺であったとされる
日本は“前川リポート”で提起された“構造改革”による“内需拡大”を選択せず、根強い円高恐怖症から“金融大緩和”で一気に“バブル経済”になだれ込んだと言われる
しかし“前川リポート”の“構造改革路線”は“内需拡大策”として妥当なものだったのだろうか、元々対米貿易黒字解消を目的とした政策は金融緩和の論理をも内包してはいなかったのか?
その後の日本経済の路線とさほどの相違があったのだろうか
ことは小泉“構造改革路線”の評価にもつながる、“規制緩和”“小さな政府”“金融自由化”は本当に“内需拡大”に繋がったのだろうか?結果としての“格差拡大”はむしろ内需を締め付けていないだろうか?
増税による財政赤字解消は是か非か?日本経済の活路は?
その辺り、本書の課題ではないと言われればそれまでだが、明確な“政策論”がないのが残念だ
演技・表現の巧みな方の得意とする説法は、誠に失礼ながら“現状解説・体制批判”に止まるのだろうか?
(勿論私たち素人が本来“芝居気”ある言動を好むことも相まっての事ではあるのだが)
国家や官僚が駄目だからと言って、地方権力拡大や通貨の分散で問題が解決できるだろうか
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円安が読める
2015/01/27 11:52
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投稿者:棟梁 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1ドルが50円に向けての円高を検証しつつ、円安の方向性が読める。
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この方の経済解説書は、論理的なのだけど、少し劇場がかっていておもしろい。
他のかたい経済書を読んだ後だと、大げさに感じることもあるけれど。。。
今回の通貨を軸にした経済史は読みごたえがあった。
いろいろの要素があるから一概には言えないけど、為替を多国間の関係を数値で表している、と見ることができるから。
1ドル=50円時代、来るのかなぁ。
日本はもちろん、ユーロも中国もぐらぐらだし、世界はどうなっていくのかなぁ。
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通貨の歴史、基軸通貨の二つの軸を語ったうえで。
1ドル50円時代がやってくる可能性について言及。
全て納得できたわけではないにしても、一理あるとは思った。
日本円についての考え方が少し強引すぎるような気もするけど。
やっぱり基軸通貨という考え方はもはや時代遅れなのかも。
これだけグローバル化した通貨をコントロールするのは難しいし。
統合ではなく、共生を目指すべきという考え方は好きです。
ユーロだけの話ではなく、全世界的に目指すべきな気がする。
それは、通貨にしても、政治にしても。
足を引っ張り合ったり、強制的に支配するのは空しすぎる。
既得権益を守るために、奪い合いをする無駄に気づいたとき。
きれいごとだとしても、全員が前へ進んでいければいいなと思った。
久々に勉強したって気分になりました。
大学の時にもう少し真面目に経済学を勉強しておけばよかったな。
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読了。うーむ。冒頭の強烈なメッセージが歴史を追う章で間延びし、結論でも訴求に欠けた。地域通貨は十分有り得ると思うが、まさかSDRとは。有り得ん。
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通貨が誕生のお話から来る、1ドル50円の時代、地域通過の話。過去から未来までの話。私的には過去と未来の話より、アジア通貨危機やら、リーマンショックと言った割と最近の話の方が面白かった。
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"1ドル50円の時代"は必ず来るとのこと。
アメリカ側が、基軸通貨としての立場を放棄する件、
震災で明らかになった、円の強さ。
歴史から、今後の展望。
通貨の入門書のように読めた。
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こちらも入院しているときに読んだ本。
私はまだまだ経済とか、読めない人なんですねぇ。
今後も学ぶ機会が必要です。
しかし、円高が50円にまでいってしまったら、どうなるんでしょうね。
そんなに遠くない未来だとおっしゃっていますが、
70円台後半でも日本国内は大騒ぎなのに・・・。
海外製品を安く手に入れますか?
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アメリカが輸出5倍政策を打ち出している限り、円安はない。
Euroは頼れない。ドイツが脱退すれば、EUro崩壊。
円低金利であることがLeamanの種を作った。
円は隠れ基軸通貨。
Leaman対策で量的緩和で対抗。株、商品のバブル化。
TPPは集団鎖国をもたらす。
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興味深く読み、いろいろ考えさせられた。もともとその世界の覇者の通貨が基軸通貨になりやすい歴史。最近のアメリカのポジション変化からはドルの基軸通貨としての価値が薄らいでることがわかる。また、教書演説の内容にも驚いた。ドル安の流れが国策にもなっているということ。
円が隠れ基軸通貨だとかもっと円高になるとかそのへんはちょっとわからないし素人の私でも強引かもと思うことはあったけど、でも面白い。
ただ、このままだと未来が資源国の保護貿易→戦争のシナリオが結構有り得るなぁと思えて、怖くなった。アメリカと中国あたり。日本はそうなったら、どうするんだろ。
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世界は読めませんでしたが、それがひとつの答えかも。筆者の1ドル50円の考え(拠り所)をもう少し知りたいと思いました。
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通貨の歴史などが丁寧に解説されており、読みやすい。
その中で以下の展開がなされている。
・ドルは基軸通貨から脱落していっている。
・その反対に日本円は「隠れ基軸通貨」として機能している。
・今後は1ドル=50円程度になるだろうと予測。むしろ恐れずそれを目指すべき。
・アジア通貨危機や、リーマンショックの真犯人は日本円である。
・これほど円が強い状況なのに、なぜ日本は円に自信をもたないのか?
話は未完ながらも、最終的には単一の基軸通貨では成り立たなくなる時代が来るかもしれない。と書かれている。
内容はかなりの部分で賛同できた。
しかしながら、利便性を求めるならば人類は何らかの「基軸通貨」を求めるのではないかなと思う。
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浜のり子著「通貨を知れば世界が読める」PHPビジネス新書(2011)
*通貨と貨幣の違いを一言で表すとすれば、「貨幣に足が生えると通貨になる」ということだと筆者は整理している。
*1939年、ドイツ軍のポーランド侵略を機に第二次世界大戦が勃発。すでにこの時期基軸通貨としての地位を奪われていたイギリスポンドは、この対戦により完全に基軸通貨の地位を譲り渡すことになる。この大戦の敗戦国であった、日本、ドイツ、イタリアだけではなく戦勝国であったイギリスやフランスにも深い傷をのこしたまま終結。この後、金本位制策を維持できるような国はアメリカしか残されていなかった。
*1783年に独立戦争に勝利してイギリスから独立して以来、ついにアメリカがイギリスを経済的に追い越す場面がやってきた。1944年7月に開かれたブレトンウッズ会議こそが基軸通貨ポンドの終わりを告げる瞬間であった。ここではドルを基軸通貨としてIMFと世界銀行を両輪とするブレトンウッズ体制が提唱された。これによって、金本位制を維持する唯一の通貨ドルとの関係でIMF諸国の通貨価値が決められることになった。日本は一ドル360円という体制である。第二次世界大戦の終結はその一年後のことであった。
*このような状態が戦後しばらくの間続くことになるが、20年もしないうちに、その栄光にかげりがみえる。アメリカが保有する金の量よりも巨額のドルが世界中を駆け巡るようになったためである。ついに1971年8月にニクソンショックである「ドルと金との交換停止」を発表。27年におよんだブレトンウッズ体制は崩壊し、ドルは基軸通貨から退位をし始めた。すぐに、日本では、固定相場の変更が行われ、360円→308円→270円→240円と円高が進む。
*ニクソンショックを機にアメリカ経済は猛烈なインフレになっていく。なぜなら、誰でも簡単にドルが刷れるようになる。次の山場が1985年のプラザ合意であった。1981年に大統領に就任したレーガンの政策はレーガノミクスといって賛美していたが、これがアメリカのドルの更なる下落を引き起こす終わりの始まりであった。この時期のアメリカのインフレ率は最低のところで収まっていた。低インフレの下での高成長という理想の状態が達成されたかに見えた。しかし、インフレ率があがらない原因は別の所に会った。1つが輸入の急拡大であった。国内需要が急激に増加すれば、普通はものの物価が上がるが、輸入が増え国内の供給不足を補ってくれたのだ。
*サブプライムローンというのは、それが問題であるのではない。サブプライムローンの証券化が問題であるのだ。リーマンチョックによって真っ先に危機に陥ったのは投資銀行であった。そのうちゴールドマンサックスと、モルガンスタンレーは驚く方法で回避をのりこえようとした。それは、銀行持ち株会社へのわらじ替えである。銀行持ち株会社となれば、投資銀行と商業銀行の2足のわらじをはくことができる。これが重要であり、なぜなら、FBRの管轄下に商業銀行がはいり、その監視の目にさらされるが、そのかわり公的資金注入を得ることができるためである。
*次の基軸通貨としてユーロの期待が高まったがそうにはならなかった。2008年リーマンショックによる信用不安が世界中を揺るがしている最中、アイルランドがある発表を行った。それは国内預金の全額保護である。通貨としてのユーロが統一されても実際の金融政策については各国が主導権を握っていた。
*膨張を続けるアジア経済とそれを動かしていた円。確かに根強い円高恐怖賞が根本的な体質の変換の行くてを阻んだ。円の価値が上がることは日本経済の成熟度の証に他ならない。その現実から目を背けたばかりに、その後の日本経済は実に長期にわたって代償を払い続けることになる。しかしながらプラザ合意を機に日本企業が新たなチャレンジを始めたのは事実である。それは、円高を背景にしてのアジア進出である。日本にとってさらに都合が良かったのが、東アジア各国がドルと連動して通貨価値が動くドルペックという固定通貨体制をとっていた。アジア地域の高成長に日本という債権国からの投資資金が新興国で成長を生んだ。しかし、成長への投資も行き過ぎれ我バブルの種をまく。円にあおられた経済の景気過熱により、受け入れ側の各国はインフレ高とそれに伴う対ドル固定レートの切り下げ圧力にさらされるようになった。それをさけるべく各国は金融の引き締めに動いた。しかし、円高対応の日本による金融大緩和による影響がでてきた。つまり、超低金利の日本から引き締めで高金利化したアジア諸国へと向かう投機資金の流れが生まれたのだ。工場進出という直接投資がこのころおこった日本のバブル崩壊によって頭打ちになった代わりに、一攫千金をねらう短期の投資の動きがアジア投資の主流をしめるようになった。
*アジア通貨危機の犯人は実は日本であった。つまり円である。アジア成長の奇跡を後押しし、そのバブル化をあおり、旧冷却をもたらし、諸通貨を暴落に至らしめた。ここに円の「隠れ基軸通貨」的な側面がある。影響力は大きいが、表の顔はドルの行方や、ヘッジファンドの暗躍に翻弄される弱体通貨風である。たよりなさそうな世を忍ぶ仮の姿の背後に、地球経済を震撼させる債権大国の底力が隠れている。本当に頼りないのは、その底力に対する自覚不足と管理能力不足である。子供じみた振る舞いとの決別のときが来ている。大人の国の大人の通貨を音ならしく管理する覚悟が求められている。
*通貨危機の当事者達に対して、金融引き締めを求めたのはIMFであった。バブル崩壊の打撃に苦しんでいる国々にデフレの追い打ちをかけていった。その原因はIMF自体の体質の問題である。IMFは1944年のブレトンウッヅ協定によって生まれた。これはドル基軸通貨の側面の担い手として誕生した。アメリカ以外の国々にたいして、ドル不足を起こさないように監視をする。これが基本体制である。今は世の中は変わった。しかしIMFの行動はドルの希少性が前提となっている。
*アメリカの大統領は、毎年の年頭に、一般教書演説を行う。ここで向こう一年間の政策の方針の背景と考え方が語られる。その意味で注目の演説となる。2010年にはオバマ大統領はむこう5年間でアメリカの輸出を倍増させるという輸出倍増宣言を行った。つまり通貨政策上はドル安の方が良いのである。さらに2011年には、本年以降世界で誕生する雇用機会は全部アメリカで生���れる物でなければならない。今後おこる新しいイノベーションは全部アメリカでおこる物でなければならない。輸出倍増の次は、雇用独り占めであった。この路線で行けば、明らかにドル高は国益に反する。
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基軸通貨の変遷の歴史をつらつらと解説している本である。ただそれだけ。特に1ドル50円になる根拠を深く掘り下げて解説はしてくない。通貨の歴史のが知りたいのならどうぞ。私は浅学なので勉強になりました。
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通貨の歴史をわかりやすく説明。
我々の生きる世界において通貨は重要
ざっくりとでも押さえておくべき知識