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小説そのものはテンポよく面白く読めた。
がしかし。
そもそもこのアイデア(旅行がてら遺言を書く)は実際に行われているのである。
読みながらどこかで聞いたことがあるなあと思って調べてみたところ、2009年に有馬温泉への遺言ツアーが実施されている。
このツアーにも行政書士が同行しており、定員は4名となっていた。
そういった事実からこの小説が発想されたのだろうか。書きおろしということでどこにも解説はない。
もちろんそのことが小説の面白さを損ねているわけではない。むしろ、小説になったことでより具体的に想像できるようになっている。
世間一般の感覚では遺言というのは今まさに死にそうな人が自分の財産をどう分けるか決めるものだと認識されている。だから遺言と言っただけで「縁起でもない」と拒絶反応が起きたり、「遺言を書くツアー」=「自殺旅行」といったような短絡的な反応を示してしまうのだろう。小説の登場人物たちもまさにそういう反応である。
ツアーの企画者である川内美月ですら遺言についての知識がない中で、あれこれ試行錯誤していくさまが面白く描かれている。
遺言というのは何度も書き直すことができるし、相続争いというのは財産の多寡に関わらず起きるということがもっと知られてもいいいと思う。
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こんなツアーがあったなら、私は家族全員で参加するな。私と両親だけで参加すれば、あとでいろいろと言われるだろうし。自分でもしっかりと遺しておきたいことがあるし。それに、家族のこと、もっと知ることができるかもしれない。
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先の読める、あまり深くない作品ですが、遺言ツアーという発想が面白かったです
萩原浩さんが書きそうな。。。
新人気分の抜けない川内美月さんが企画した遺言ツアー
参加者は4名
アクシデント続きで、一人で取り仕切ることになってしまう
難しい本を読んだ後にオススメですね!
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なかなか良かった。
★3.5ってとこかな。
就職活動に苦労して、やっと辿り着いた小さな会社で働く美月。
やる気は失っていないが、あまり仕事はうまくいってはいない。
そんなある日に、やけっぱちで出した企画案の「遺言ツアー」にgoサイン。トラブルの続出だが、壁にぶち当たっても、その度にどうすればいいかを考える美月。
これまでの仕事に対する自分の姿勢を反省して、成長を遂げる。
美月の成長もそうだけど、参加者の心の推移も興味深い。
そして人はみかけによらず、それぞれの痛みを抱えている。これは私も肝に銘じて、人に思いやりを持って接したいと思った。
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本当は重たいテーマであるはずだけど,こんな軽いノリで遺言ツアーに参加してみるのも面白いかもしれない,と思わせるような話.
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タイトルにびっくりして読みました。中身はあっさりで頭の中をするっと通り抜けていきました。遺言ツアーはないかもしれないけど、面白いツアーは実際にいろいろありそう。温泉旅行に行きたいなぁ。
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イベント会社の思いつきによる遺言ツアーの小説。
少人数の個性ある参加者が物語を面白くさせる。
遺言書の勉強にはならないが、遺言書を残そうとする心情について、学ばされるものがある。
旅気分を味わいつつ、各個人の心情がとても面白かった。
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主人公の美月は2泊3日のツアーのうちに何が何でも参加者全員の遺言を完成させようと焦っていましたが、途中から傾聴に重きを置くようになります。
そうすると一癖も二癖もある参加者から、遺言作成の手掛かりになりそうなことを徐々に聞き出すことができるようになりました。
何でも押しつけではなく、ゆったりと構えて聴く姿勢で臨めば、相手も自然と胸の内を打ち明け、頭の中を整理していく方向で事が運ぶのだと感じました。
2泊3日で遺言を書き上げるのはさすがに難しいと思いますが、非日常の温泉に入って、リラックスして大切なことに思いを巡らせるのは、なかなか有効なことなのではないかと思いました。