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「ものとしての本」と言われ方をすることがある。
単なる情報の束というだけではなく、一つの質量をもった、
製品として見られる本のことだ。
近年、「電子書籍化」が現実味を帯びるに連れ、
一部愛好家の間では、そこに注目が集まっている。
外装、重み、ページをめくる質感。
そういうものが好きな人にはたまらない一冊である。
そしてまた、一つの工業製品としての本が出来上がるまでに、そこに存在する匠の技と出会える一冊でもある。
本が好き、とりわけ、ものとしての本が好き、とはいっても、
そこに具体的な工程として何が存在しているのか、意識する機会は少ない。
一つこの本を通じて覗いてみてはいかがだろうか。
(しかし、一般読者向けと言うよりは業界人向けに書かれているようで、
一部専門用語についていけないところがある。今の世は便利でぐぐれば大体出てくるから良いけれど。)
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本が好きな人が読んでも制作に携わっている人が読んでもたのしめる一冊。
書籍の、web化が進む昨今では、昔の貴族のような、自分のためだけの、カラーあり、豪華装丁本をつくるといった趣味が逆にはやるかもしれないと思った。
まあでも、貧乏だと無理か。。。
若者はどれぐらい紙媒体に愛着を持っているのだろう。
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昔ながらの活版印刷から、古書修復、様々な印刷方法に加工が匠とともに紹介されています。何世代にもわたって受け継がれてきた小さな会社やグループ会社、どれも魅力的です。
個人的には最初に紹介されている、銀座の活字鋳造の会社に行ってみたい。カードかオリジナルのレターセットを作ってもらいたい!
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面白かったけど、写真が小さくてよく分からない仕組みや仕掛けの多かったのが残念です。
それにしても、製本や印刷のこともちゃんと理解した上で、チャレンジングな注文を出して、印刷屋の親父たちの「そんなの無理だ!絶対にできない!」を説き伏せていく、デザイナーの祖父江慎さんって、本当にスゴい人なんですね!
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紙の本を作るために、今も沢山の匠たちが技術を受け継ぎ、開発して働いています。ブックデザイナーの名久井直子さんが現場を訪ねました。
活字鋳造 中村活字
活版印刷 弘陽
現在の印刷現場はDTPが主流ですが、今も味のある活版印刷を導入することもあります。
そのための活字を鋳造しているのが、中村活字。活字の母型を作る会社はもう廃業しているそうですが、今も真鍮の母型を大切にして、鋳造を続けています。
弘陽ではその活字を組み合わせて名刺などのレターヘッドを活版印刷しています。
インキ製造 女神インキ工業株式会社
印刷用インキの原材料は顔料とワニス。インキ作りの工程で一番重要なのは“調色”。目指す色が色相環にあるか考え、色相、濃度が綺麗なだけでなく、光源による色の見え方もチェック。でも最終的に重要なのは“印刷後の色味”。
製本 大口製本印刷株式会社
全紙に刷られた本文を3回折り曲げ16ページ分の“折”を作る(折加工)。それを重ねて(丁合)、背を綴じる。その後、“背均し”“下固め”“三方断ち”“スピン入れ”“丸み出し・バッキング”“背貼り”“表紙くるみ”。これが一般的な製本。耐久性や柔軟性に気を配る匠の技。
スクリーン印刷 熊沢印刷工業株式会社
シルクスクリーンの原理を利用し、特殊なものに印刷する。
小口印刷 図書製本株式会社
本の小口(側面で、背と反対側)への印刷。辞書の“あ”“か”“さ”などの見出しとか。この技術を利用した装丁もある。
製函 株式会社加藤製函所
今は少ないが高級な全集や辞書、昔の岩波書店の児童書などは函入が多かった。湿度や温度によって変化する紙の膨らみを計算しながら函を設計する。
古書修復 東京修復保存センター
虫食いや染み、ヤケで傷んでしまった歴史資料を修復する。
紙漉きの原理を応用した“リーフキャスティング”という技術。
一時期よく使われていた酸性紙の紙の中の酸を抜き、資料を長持ちさせる“脱酸化処理”もある。
薄紙印刷 三英グラフィック・アーツ/ 三栄印刷
辞書のような薄い紙に印刷する特別な技術。
バーコ印刷 バーコ・ダイワ株式会社
表面に散布下バーコ樹脂を熱で溶かし、それを定着させることで印刷面を盛り上げる技術。
ダンボール製造・フレキソ印刷 株式会社クラウン,パッケージ
商品パッケージに使う、美化粧ダンボール印刷。
天金加工 図書印刷グループ/ 図書製本株式会社
本の天の部分に金を塗る加工。
フロッキー加工 株式会社山忠紙芸
布地や紙の表面にシルクスクリーンの要領で樹脂を植えつけ、ベルベットのようにする加工。
装丁家のデザインした夢ような本を実現するためにこんなに沢山の匠たちが働いてくれているのですね。この技術の灯火を消したくないです。