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日本の復興への道と、アメリカが世界に与える影響がわかる一冊。
アメリカはご存知の通り、世界最大の経常収支赤字国。02年にはアメリカの経常収支赤字が全世界に占める割合が、02年にはシェア8割に達していた。そのアメリカの不動産バブルが崩壊し、09年には経常収支赤字は半減した。
このことは、全世界の需要が急激に減少したことを意味する。当然各国に与えた影響は大きい。欧州のギリシャ・アイルランド・ポルトガルはその典型だ。
そんなアメリカが、今度は2011年の一般教書演説で、「今後輸出を倍増させ、国内の雇用を増やす」と発表した。ますます世界から、旺盛なアメリカの個人消費がなくなっていく。
アメリカが輸出を増やす手段のひとつが「TPP」だ。日本では、この問題に対して「農業」「製造業」の2つしか取り上げていない。しかし、アメリカが本当に狙っているのは、「金融サービス」や「投資」だ。
日本では、震災により、国内の消費、企業の設備投資が一層冷え込んでいる。需要よりも供給が多いデフレの状態だ。その状況でお金を使えるのは、政府しかない。
そして、震災を起きた現在、政府の支出先、すなわち公共工事を必要とする場所は溢れかえっている。もちろん公共工事もGDPを増加させる大きな要因となる。GDPが増加すれば、需要が次第に回復し、景気は上向く可能性が高い。
まさしく現在は、日本が生まれ変わるチャンスなのではないだろうか。
しかし、TPPに加盟し自由貿易化すると、アメリカは日本の公共工事すら輸出先として狙ってくるのは確実だ。すると、お金はアメリカに流れGDPの回復は難しくなる。また、日本の企業が、復興のノウハウを蓄積することもできない。
まさしく、現在の日本は岐路にたっている。全国民がこの事実を真剣に考えなければならない。
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・日本は災害の多い国。だからこそ、公共事業で防災をするべき。耐震補強や防波堤など、地震や津波のない国とは比べられない。復興債を発行して日銀が買いとってもいいので、それによってお金をまわすべき。
・日本は供給能力が高いので、対外純資産が積みあがっている。大震災にもかかわらず円高になるのはその表れ。その供給能力を生かして震災復興を。
・TPPは農業と工業の対立のような報道しかされていないが、本当の問題は投資・金融サービスの自由化。アメリカが日本市場を狙っているだけ。個々の国々とはすでにEPAなどを結んでおり、TPPに参加しなくても充分開かれている。TPPは国の主権を売り渡す行為。地方自治体の公共事業までもを外資に開くことにつながり、中小企業がつぶされる。
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また読んでしまったというのが率直な感想です。著者の主張はある程度分かっていますが、著者の小気味良い論調と日本のポテンシャルへの礼賛。素直に日本人として頑張ろうという気にさせてくれます。
自然災害により多くの被害を被ってきた日本は、他国よりも災害に対するインフラコストがかかるという認識やIMFが最大の金主の日本に注文をつけるのはIMFの日本人職員のためというのが新たな気付きで面白かったです。
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この人は割と単純なリフレ派なんですね(違うの?よく知らない)。そう思って読めば、まあそんなもんか、と。
あと中国がアメリカの替わりにならない、という根拠として輸入品に占める資本財の割合が高く、最終消費財は少ない(アメリカは多い)事をあげているけども、その後で日本の輸出の多くを資本財が占めている、と説明している。これは日中がベストマッチであると言ってしまっている訳で結構この手の墓穴も多いです。
IMFに財務官僚が出向していて、盛んに国債暴落を煽っている、という説には一理あるが、じゃあS&Pとかムーディーズにも出向してるの?その辺はどういうカラクリなんでしょうか?