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パレスチナの小さな村でカイトを揚げている少年サイードに出会ったイギリス人の映像記者マックス。口をきけないサイードと友だちになり、二人でカイトを揚げた。サイードはそのカイトを、壁の向こうのイスラエル人の入植地に飛ばしてしまう。すると壁の向こうで車椅子の少女がそのカイトを拾う。
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物語の舞台はパレスチナ。
主人公サイードの兄は、兵士に撃たれ命を失った。
それからサイードは言葉を失う。
サイードは兄に教わった方法で凧を作り続ける。
彼の凧には『サラーム』と書いてある。
東風が吹いたときにサイードは凧を上げる。
そして、つないでいる糸を解いて、凧を高い壁の向こうへ放つ。
その凧はイスラエル側の子どもの手に渡る。
彼は、平和を願い、パレスチナ側からイスラエル側へ、高い壁を超えて凧をとばしているのだ。
やがて、高い壁の向こうからも凧が飛んでくるようになる。
飛んできた凧には『シャローム』と書かれている。
『サラーム』も『シャローム』も平和を意味する言葉。
サイードの凧が、双方の平和の交流に発展につながっていく、という物語。
僕は、国際協力に興味がある。
パレスチナ、アフガニスタン、ソマリア、リビア、チベット、ハイチ...
色々な国のことがわかってくると、それが つらさを引き受けること
であることがわかってきた。
「日本に生きる者としての責任」が、自分たちにあることも感じられるようになってきた。
僕は「他者の立場を考えることは、その責任を果たす行為の一つ」だと考えている。
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「銃弾がどんなことをするのか、みんながわかれば、もう誰も撃たないようにすると思うんだ。」
大好きな兄を兵士に撃たれて亡くした、パレスチナの少年サイードが、亡き兄に語りかける。撃った兵士も、相手が少年だったことに気付き涙していた。
紛争も戦争も多くの人を苦しめるだけなのに、なくならず憎しみを再生産する。カイトを上げるサイードは、壁の向こうに平和を願う想いを送り続ける。
簡単に読めるボリュームだけど、心に残った悲しさも希望も大きい。
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パレスチナにドキュメンタリー映画を撮りにきた記者マックス。そこで、一心に凧(カイト)を作っている羊飼いの少年サイードと出会い、友達になる。サイードは2年前に兄といた時に起こった事件以来しゃべることができなくなった。その事件とは…
パレスチナにあるユダヤ国家のイスラエルと、パレスチナ人の自治地区であるガザ地区およびヨルダン川西岸地区の境には分離壁が建設されている。
その壁の向こう側とこちら側では、お互いに家族を殺された、捕らえられたなど、憎しみを抱えた人がいがみ合っている。
壁のこちら側、パレスチナ自治地区に住む8歳のサイードのお父さんはイスラエルの収容所に拘束されている。
サイードの言葉
「占領軍がひとりのこらず悪いってわけじゃなくて、おれたちのほうと同じだとしたら、両方の側のいい人間が集まって、問題を解決すればすむって話だろ?そしたら兵士はみんな国に帰れるし、とうさんは収容所から解放されて、俺たちのいる家に帰ってくる、そしてまた全てうまくいくようになるじゃないか」
この言葉に、日々辛い思いをしていて、何とかしてささやかな平和を取り戻したい子供が一生懸命に考えた様子が表れていて心に突き刺さりました。子供だってこれくらいのことがわかるのに、どうして大人はそれができないんだろう?争いを起こし、しつこく続けようとしているのは、大抵その国の一部の悪い人たちなのに…
サイードは毎日カイトを作り、そこにサラーム(平和)と書いて空高く飛ばして、わざと手を離し、壁の向こう側にカイトを落とす。その行為を続けた結果、ある奇跡が起こります。
ちょっとやそっとの事では争いはおさまらないのが現実ではあるけれど、希望を真摯にまた続け、変化をもたらす、その道標となるものをサイード達が教えてくれました。