紙の本
安全な被曝量は存在しない!って、ホント?
2011/07/12 11:17
24人中、18人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を読むと目からウロコ状態になって僕自身の無知であったことを次から次へと気づくきっかけになりました。文章は平易でわかりやすい。それだけでなく、小出さんが何故、原子核工学を専攻しながら、反原発運動にシフトしていったのかと言う動機、履歴が素直に語られ一人の人間の生き方として好感を持ってしまう編集構成です。
無駄のない章立てで興味のあるところから読んでもいいと思う。
第一章(福島第一原発はこれからどうなるのか)第二章(「放射能」とはどういうものか)第三章(放射線汚染から身を守るには)第四章(原発の常識は非常識)第五章(原子力は未来のエネルギー」か)第六章(地震列島・日本に原発を建ててはいけない)第七章(原子力に未来はない)
3・11まで小出裕章という人を知らなかった。それ以降ネットで小出さんを知ると、その語り口の「理屈」と「情」の見事なバランス、佇まいに惹かれてしまった。それに比して推進派と言われる人たちの胡散臭さが露呈されて僕自身どちらの派と言明するだけの初歩的な知見を持っているわけではないのに、小出さんは信頼出来るよなぁ、と次第に小出さんの視点を通して原発について考えるようになりました。これも洗脳かなぁ(笑)。
反対、推進、中間のポジショントーク以前に小出裕章という漢がクールでチャーミングです。そんな背景があるから小出さんの言葉がどんどん浸潤してしまう。でも、積極的に原発推進を画策する政治家であれ学者、言論人でカリスマ性を持った人はいないねぇ。
バイパスで『「反核」異論』を書いた吉本隆明が『思想としての3・11』で「これから人類は危ない橋をとぼとぼ渡っていくことになる」とつぶやいているが、推進派の連中は鬱状況なのでしょうか、それにしても「脱・原発」になかなか結集しない。理屈、合理性でない「空気の流れ」で動いてしまう国民性について嘆いてしまった言論人がいたが相変わらずの「依存症候」なのか?
2007年、町内会の社会見学で、関西電力大飯原子力発電所の見学に行って来ましたが、
■僕が興味を持ったことは一体、火災保険、地震保険はどうなっているのか?
もし、保険契約を結ぶとしたら、原子力発電所はどのような査定になるのか?
そんなことを質問したのですが、僕の質問もよくないのか、ナットクのゆく答えがなかったです。
本書によると、
≪原子力損害賠償法が最初に設定した賠償措置額は50億円。「それ以上の被害が出たら国が国会の議決を経て援助を行う」と定めています。この法律はほぼ10年ごとに見直されており、2009年にも改定されて賠償措置額は1200億円になりました。/1200億円というと私たちからすれば想像もつかない大金ですが、電力会社は「どうせ保険だし、それで済むなら原子力発電をやってみるか」と思ったのでしょう。ただし「それ以上の賠償金は国で支払ってくれ」ということにして、今日までやってきたのです。逆に言えば、もし全ての被害を電力会社が賠償する制度だったら、原子力発電をやろうとはしなかったはずです。p106≫
かような合理的なアンサーをしてくれれば是非はともかく納得できます。僕らの見学者に対して「安全神話」の洗脳一本やりでしたねぇ。
「もしも事故が起きたらこういう事故処理、手当があります」なんての話はありませんでした。だからいじわる質問したわけです。広報のやり方としても古臭い、制御社会(コミュニケーション社会)に対応した広報をしなくては、前近代的な管理社会に対応した広報ですよ。
意図的に隙を見せて(原発のデメリットを開示して)、制御(コミュニケーション)の渦を巻き起こす。そうやって侃々諤々の論争を巻き起こしより良い着地点を見出す。そんな大人の対応が欲しい。
小出さんは反原発の論者だけど大人ですよ。それに比して「現場で働く人たち」にはリスペクトするけれど、推進を広報する人たちの「やらせメール」と言いあまりにも餓鬼の振る舞いが多い。
紙の本
科学者の誠実さとは何か
2015/09/30 00:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:garuhi - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の内容を紹介するためにはその全てを引用しなければならないと思うほどである。それは不可能なので、索引から拾い上げてみる。
「すでに原爆80発分の放射能が拡散している」「若ければ若いほど死ぬ確率が高くなる」「原発を作れば作るほど儲かる電力会社」「原発100年分の『死の灰』をため込む六カ所再処理工場」「廃炉にしても大量に残る『負の遺産』100万年の管理が必要な高レベル放射性廃棄物」「原発が生み出した『死の灰』は広島原爆の80万発分
少しでも今回の福島第1原発の事故がどのような事態であるのかを「原発村」の御用学者の非科学的な発言に疑問を持つ方。真に科学的に考察することを感じていらっしゃる方にはぜひ一読して欲しい本です。
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311以後の初の書きおろし。
こちらのまとめを読んで読みたくなった。
小出裕章参考人の全身全霊をかけた凄まじい原発批判がわかりやすすぎる!(文字おこし)
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65737210.html
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「安全な被曝は存在しない」(閾値”しきいち”)なんて存在しない。
安全な地球環境を子供や孫に引き渡したいのであれば、その道はただ一つ。「知足」しかありません。
これが一番大変なんだよなあ~・・・。
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一気に惹きつけられて読みました。私は今までも、原発を安全だとは思っていませんでしたが、かといって恐ろしい事実を直視しようとも思いませんでした。今、福島第一原発の事故を目の当たりにし、何が事実かを知らなくてはならなくなった時、TVや新聞は「ひとつになろう」「頑張ろう」と言うばかりで本当のことは伝えてくれませんでした。この本に事実がわかりやすく書いてあります。この国難に小出先生がいらっしゃることに感謝しています。
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京大の先生。ニコニコ生放送で小出先生の番組を見てすごく読みたくなった。もともと希望を持って原発の研究を始めたけど、今は反原発の活動をしているんだって。真面目で誠実そうな人だった。
福島の作業員が着ていた紙の防護服は、プルトニウム239を防ぐためのもの。プルトニウム239はアルファ線をだしている。アルファ線は透過率が低いので、紙で防ぐことができる。
プルトニウムは人類が遭遇した最凶の毒物と言われている。核分裂反応が起こっている場所で発生する。
けれど、この防護服ではヨウ素131、セシウム137、ストロンチウム90を防ぐことはできない。
LNT:Linear Non-Threshold
アメリカ 1950年~ 被曝の健康影響を調べる寿命調査
囲い込み 長期間
広島・長崎の近距離被爆者 約5万人
遠距離被爆者 約4万人
非被爆対照者 約3万人
『朽ちていった命』NHK東海村事故取材班
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長年「反原発」を貫いている著者が【原発・原子力って何?】を、分かりやすく、丁寧に説明しています。
「豊かな生活を支える」電力を供給する原発、あまりにも大きい代償でした。
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原発は百害あって一利なし! 言い切るぞ、私は! この期に及んで原発推進なのは、無知か利権か核兵器持ちたいかだけ。
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今、福島の子供たちが晒されている現状を思うと子を持つ親として涙が出る…国民全員が責任を持って考える義務がある。マスコミがいかに無責任か、是非読んで考えて欲しい…
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ウェブに流れていた、小出先生のプレゼン動画を見て興味を持ち、この本を買いましたが、内容は同じでした。しかし、2回繰り返したことで、内容がするりと入ってきたのでOKです。電気の安定供給のために原発も必要悪としか思っていなかった自分の思考停止度を改めて恥ずかしく思いました。
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40年にわたって原発の危険性を訴え続けている京大原子炉実験所助教授、小出裕章氏による書き下ろし。被曝量の影響にしきい値はないとして、その危険を訴える。具体的な数字とあまりに杜撰な原子力施設の現状に憂鬱になるが、ここで思考停止してはならない。よく学んで考え、行動しなくては。
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現在問題になっている原発について40年もの間研究し、反体制、反原発者として戦ってきた学者。
福島がこういう状況になって改めて原発というものを知ろうとした時、あまりの情報の少なさに呆然とした。
そんな中で作者の声はアンダーグラウンドからじわりじわりと響いてきた。最初はラジオの片隅から。それも地方局。
そしてインターネットにのり、やがて大手メディアへと反原発者の声として京都大学原子炉実験所小出助教(講師)が広く知られるようになっていった。6月現在、小出氏はもはやネット上の神のような扱いをされているが、実際には彼はそれを望んでいないことが、この本を読むことではっきりと伝わってくる。
氏が望んでいるのは面子や名声や収入の増加ではなく、真に「原発をいますぐ54基止めてくれ」という願いだけだ。
氏が言うように「今すぐ原発をすべて止めても、日本は電力不足にならないか」や「電気代が高騰するのではないか」などといった不安からくる疑問にすべて答えている。
なぜ危険か。なぜやめるべきなのか。なぜ都会に作れないものを人口が少ないからといって地方に負担と危険を押し付ける形で建築してきたのか。
ただし、地球温暖化などの問題については現在世界的基準とされている二酸化酸素による地球温暖化説に疑義を呈しているので、これは意見が分かれてくるだろう。
僕は専門家ではないので判断はつかないが、ここから見えてくるのは、このようにして「科学」というものがいかに曖昧な定義しか構築できないかということ。
モノの見方、角度、各々の利益と不利益によって定義が180度変わることがあるというもの。それが現在扱われている「科学」となってしまっているということ。
それはたぶん、科学を真摯に研究し続けてきた熊取6人組にとっては悲しい限りなのだろうと推測する。
科学はデータ化され、実証されるものであるはずなのだ。経済や私営企業や政治や行政の意見で左右されるようなものではないはずだ。
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一人の学者の方の良心に基づいて、
原発についての見方が示された本。
放射能の怖さ、一般に語られている原発なくして電力供給は
賄えない、という論説のごまかしと、
原発を放棄したばあいに覚悟しなければいけないこと、
がとても腑に落ちる冷静な言葉で語られる。
原子力を志し、そのおそろしさを知り、以来原発反対派の立場で
活動を続けてきたという著者の言葉には、
行動の裏付けのある説得力がある。
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本書の構成は、
第1章 福島第一原発はこれからどうなるのか
第2章 「放射能」とはどういうものか
第3章 放射能汚染から身を守るには
第4章 原発の常識は非常識
第5章 原子力は「未来のエネルギー」か?
第6章 地震列島・日本に原発を建ててはいけない
第7章 原子力に未来はない
福島第一原発事故で、すでに原爆80発分の放射能が拡散してしまったそうで、
まだ事故が収束していないことを考えると、最終的にはもっと増える可能性がある。
政府は、放射性物質が検出されても
「ただちに健康に影響を及ぼす量ではありません」
と繰り返しているが、どんなにわずかな被爆でも危険であるということは、
国際的な研究グループがみな認めている。
例えば、アメリカ科学アカデミーの放射線の影響を見当する委員会は、
「被爆のリスクは低線量にいたるまで直線的に存在し続け、しきい値はない。
最小限の被爆であっても、人類に対して危険を及ぼす危険性がある」
と結論づけている。
誰にも管理できない「核のゴミ」を大量に垂れ流す原発を止めても困らない。
原発はすべて止めるべき。
以上が、小出先生の結論。
今、一番知りたいエッセンスが盛り込まれ、文字数も多くありませんので、短時間で読めます。
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とてもわかりやすい。まずは現実を知ることから。被爆の様子が生々しくてやるせなかった‥。こんな小さな島国でとてつもない恐怖と隣り合わせで生活してるんだね‥。