投稿元:
レビューを見る
はちゃめちゃで有名な関西落語の巨匠だった松鶴の弟子である松喬が自らの修行時代と師匠との思い出を回想したもの。豪放磊落、借金まみれ、酒飲みながらも芸には厳しかった、と関東で言えば志ん生のような落語家らしい落語家であった松鶴(または仁鶴、鶴光、鶴瓶の師匠と言ったほうが判り易いか)の面白エピソードが満載。但し、弟子にはキチンと稽古を付けていたのが志ん生と一番の違いだ。(と、書いているが俺は自慢じゃないが「志ん生を知らない子供たち」の世代なのでこれ等は全て彼の弟子達の本の受け売りだ)
では何故この本を買ったかだが、それは田中啓文の「笑酔亭梅寿シリーズ」のモデルがこの松鶴だからで、一重に梅寿シリーズをより楽しむためと言っても過言では無い。偏屈で酒を呑んでは金髪トサカ頭の弟子・竜二に無理難題を押し付ける愛すべき落語家・梅寿だが、思い返せば確かにここに書かれているエピソードが盛り込まれていることに気がつく。梅寿が居酒屋に行こうとすると店のシャッターを降ろされる、おかみさんを「あーちゃん」と呼ぶ、一番弟子だけが違う事務所で売れっ子(仁鶴=吉本興業、その他松鶴以下松竹芸能)、あーちゃんの居ない間に弟子達が愛犬をいじめるなどなど。
あぁ、枕元の梅寿シリーズ第五巻を読みたいのだが、これがシリーズ完結編となるともったいなくて読めない。ツライ。とりあえずは同じ弟子である松枝の「ためいき坂 くちぶえ坂」も買ってあるのでそちらを先に読んでからだな。
投稿元:
レビューを見る
私は自伝本はその人物を知りたくて読むだけで、内容が楽しいかどうかには期待していないのだが、この本は予想外におもしろかった。
推薦文(鶴瓶さん)に「逃げない男の強さ」と書かれていたがその通りで、よくこの厳しい環境から逃げなかったなと、時代背景もあるが、私のような甘い、逃げ道のある人間には耐えられない環境だ。
良い事も悪い事も赤裸々に書いてくれている。嘘や綺麗事を並べた自己陶酔系の自伝本とは違う本気さ、真摯さが伝わってくる。
詳述は省くが、今だと社会的に許されない、当時だから何となく時代的に許せてしまう(時効)エピソードがぽんぽんと出てきて興味深かった。
投稿元:
レビューを見る
大阪のみならず、東京の噺家さんでもまくらで話される松鶴師匠。
この本を読めば、松鶴師匠と松喬さんの師弟愛が伝わってくる。
何度も涙しました。
あーちゃんがどれだけ笑福亭を支えてきたことか。松鶴師匠は、実は家では1滴もお酒を飲まない。飲まずに外で飲むことで、師匠自身やお弟子さんたちに良きことが。。。また、松鶴師匠に一生ついて行こうと心に決めたときのお話が素晴らしかった。
どちらかというだけでなく、うまい具合にお二人のお話がバランスよく書けていると思います。
一つだけ読んでて悩んだ点があった。それは時系列で書かれているとは限らないので、いつの時のお話かわかりづらい個所がいくつかあったかな。
投稿元:
レビューを見る
今日は「手水廻し」を
やらせてもらいます
この話は
私が「どんくさい」と
言われ続けていたころに
松鶴師匠が
私のために「独演会」の中で
毎晩、この噺をしてくださった
そんな思い入れのある噺です
松喬さんが
亡くなる五年ほど前に
ある地方のお寺で
「松喬さんの会」でされた
マクラでした
一年に一度
いつも11月の晩秋の日に
行われる その会が 楽しみでした
笑福亭松喬さん
ほんとうに
落語家さんらしい噺家さん
でした