投稿元:
レビューを見る
戦争前に日米双方で互いについて同じ不安を持っていたことを知った。以前「昭和16年夏の敗戦」も読んだが、日本はなぜ誤った道を歩んでしまったかが悔やまれる。(アメリカがうまく立ち回れただけで正義となったしまったのかも知れないが)
投稿元:
レビューを見る
■概要
本書は、黒船を起点に日米戦争に至る日本人の精神を、日米未来戦記を解き明かすことで描いたノンフィクションである。Ⅲ部構成で、日米未来戦記がどのようにⅠ勃興し、Ⅱ流行したか、最後にⅢ物語と現実が交錯していくさまを描いている。
■サマリー
[Ⅰ太平洋へ向かうベクトル]
黒船の衝撃が旧体制を崩壊させ、日本人は外圧対策として日清、日露戦争へと進んだ。日露戦争後、脅威の対象は、太平洋を越えて対峙する黒船の国アメリカに向かった。最初の未来戦記、水野広徳の『次の一戦』は、そうした米国に備えよと軍備拡張を主張した。米国では、極東で力を増す日本の脅威を綴ったホーマー・リーの『無知の勇気』が人気となった。
[Ⅱ日米未来戦記の流行]
第一次大戦の時代、日米未来戦記はブームを迎えた。樋口麗陽、押川春浪、佐藤歌鋼次郎、、、といった流行作家が次々生まれた。米国は悪だ、恋やヒーローの冒険、軍拡プロパガンダ、出版社の思惑などが互いに刺激しあう。一方、第一次大戦下の欧州を視察した水野は、近代戦争の悲惨さを知る。英国では、ジャーナリストのバイウォーターが、軍事データと知識に基づく緻密な日米戦シュミレーション『太平洋海権論』『太平洋大戦争』を書き上げた。
[Ⅲ物語と現実の交錯]
水野は、『海と空』『日米興亡の一戦』で東京が空襲される悲惨な姿を描いた。他の作家たちの空襲は、SFや楽天的なエンターテイメントの要素が強く、開戦の空気を励ますことになった。山本五十六は、バイウォーター『太平洋大戦争』をほぼ踏襲する作戦を立て、戦争の結果も同じシナリオを辿った。
■特徴
・通常の歴史書と違って、一般庶民の空気感を読み進めながら感じることができる。
・詳細で緻密な文章から、知らなかった歴史の事実をいくつも発見することができる。
・「日本人は、なぜ米国と戦おうとしたのか」「なぜハワイを奇襲したのか」など、推理小説のように読むことができる。
投稿元:
レビューを見る
大変面白い本。
未来戦記に限らず、将来の国際情勢を予想する類の書籍は、現代ではあまり見かけない。昔は外国に対する不安が高まっていたとはいえ、現在の状況はあまりに寂しい。
大局観のない、世界での役割に無頓着な日本という国をよく表しているといえよう。将来の日本はどうあるべきなのか、停滞期であるからこそ議論したい問題だと思う。
投稿元:
レビューを見る
追い詰められたのは外圧(アメリカ)であり、世論(日本)でもあった。
戦争になれば日本に残された戦法は紀州しかなく、それは日本に勝ち目がないことは山本はわかっていた。
投稿元:
レビューを見る
“ペリーが来航しなければ、日本は鎖国の中で充分平和だった。裁くならペリーを裁け! ” 石原莞爾。
極東軍事裁判にて、「平和に対する罪」を問われて。