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人に代わって謝罪をすることで金儲けをする仕事。クリスとその弟ヴォルフ、タマラとその親友フラウケ。親しい友人である彼らは、4人で『謝罪代行』の仕事を始める…。
物語におけるこのようなアウトラインを掴んだところで、こんな仕事が果たして上手くいくわけがない!…と容易に想像がつくことでしょう。
事実、仕事を始めてしばらく上手くいっていた彼らには、恐ろしく奇妙な出来事が起こるのです。
この作品を読んで思ったのは、非常に難しい作品であるということ。ストーリーの順番もさることながら、描写の方法が複雑であることがその一因ではないでしょうか。
代行社メンバーのそれぞれの目線から物語を追ったメインのストーリー。さらに『おまえ』、『わたし』、『彼』という3つの謎の目線から物語を追う不規則な描写。
一見すると不親切とも取れるこの描写の仕方が、わたしには本書を読み進めるうえで最大の障害となりました。
しかし。全てはラストに向かうにつれて、1つの目標へと収束するように美しく絡み合っていきます。巧妙な伏線といくつもの罠が仕掛けられていたことに気づかされるのです。
物語を読み進めていくと分かるのですが、この作品には『明日にむかって撃て』が、物語の伏線に深く関わっています。
---この作品自体が、『明日にむかって撃て』のなかで、明日を夢見て儚くも散っていったブッチとサンダンスそのものではなかったのだろうか…。
わたしには、そう思えて仕方がありません。
---彼の温もりがなくて寂しい。
と2回繰り返し、眼下にリーツェン湖を見た『わたし』。
彼女もまた、きっと…なのだろうというのが、わたしの本書への結論なのですが。
この作品をラストまで読み終えた人と、お互いの結論を話してみたいと思える作品でした。
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依頼人に代わって謝罪をするという仕事を始めた4人の若い男女。ある日、彼らの一人が指定の場所に行くと……。
人の代わりに謝る会社を立ち上げるという冒頭の暢気な雰囲気が、ある出来事をきっかけに一変。物語は予想外の方向へ。
4人の仲間たちに加え、謎めいた「わたし」「彼」「おまえ」の複数の視点が交錯し、時制も入り乱れる複雑な構成と二転三転するストーリーから目が離せない。
終盤の”罪”や”許し”ヘの問いかけも圧巻。
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罪と赦しの話。ひとに代わって謝罪する、と言う行為の捉え方が、キリスト教徒と非キリスト教徒とで違うのだろう。原罪から教会での懺悔まで、彼らの意識は常に罪の意識に苛まれているのだろうか。
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非常に悲劇的で陰惨な出来事の連続とトリッキーな物語構成。謎が謎を呼ぶとはいえ、そこはあまり重要ではない。
こうした要素を支えている背景が必然性を持たないコメディ的状況であるところはユニークだ。
最後まで読んでもスッキリするような作品ではないけれど、そこに残るモヤモヤは、作中人物の感じているであろう気持ちを多少なりとも体験させてくれる。
人生は理不尽だ、とかなんとか。
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なんとも救いのないお話だ。面白くないわけじゃあないけれど…。ドイツミステリはどうも肌に合わない。気持ちが冷え冷えとしてしまった。
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ハヤカワ・ミステリ・リニューアル1周年&ハヤカワ・ミステリ文庫創刊35周年記念作品。
ドイツ推理作家協会賞受賞作
内容(「BOOK」データベースより)
失業したクリスら四人の若い男女は、依頼人に代わって謝罪する仕事を始めた。
ある日、彼らの一人が指定の場所に行くと、壁に磔にされた女性の死体が!
依頼人は死体に謝罪し、それを録音して送ること、死体を始末することを求めた。
家族の身を守るため拒否はできなかった。
やがてさらに不可解な事件が起き、彼らを悲劇が襲う!
ひたすら車を走らせる「わたし」とは誰か?
女性を殺した「おまえ」の正体は?
謎めいた行動をする「彼」とは?
さまざまな仕掛けを施して描く、驚愕のドイツ推理作家協会賞受賞作。
…
はぁ〜読みにくかった;
過去と現在の時系列と登場人物達の主観が入り乱れ、これはかなり…本読みとして上級者向けの小説ではないでしょうか。
ちんぷんかんぷん。
謝罪代行社の女の子が死んでしまった辺りまではなんとか一応、理解したつもりで読み進められたんですが…
それ以降はもう、ごちゃ2しちゃってワケわかんない(爆)
なので結局犯人とかラストとか分かんないまま…(誰かおせーて
あ、でも不謹慎ですが…腐読みでは少年の性的虐待とか、親友同士(虐待される側・何も出来ない側)の物語とか、悩ましく深い哀しみ苦しみ怒りが胸に迫ってきます。
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モノクロームの悪夢を見ているような話。ヨーロッパ的だなあと思う。でも、ポケミスと文庫で同時に出すほど?
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構成が複雑なので仕掛けを期待したが、それまでに読む気が萎え、実につまらない読書となってしまった。
四人の男女の行動を繰り返し書いてるだけの展開だが、誰一人共感できないし、キャラクターに何の興味も感じない。序盤で追い詰められ、犯人のなすがままに動くのだが、そこからもう納得できない。考えてること、やってることについていけず、どんどん作中との距離が開いていった感じ。
いい加減に展開してるようで、なぜかテーマは重い。しかし、そのテーマに対してストレートに対峙してないから、却って作品のお荷物になってる感がある。それもこれも凝った構成の悪影響だろう。後味も悪いし、じたばた動き回った割には主張もメッセージ性も感じられない。小説よりもシナリオ向きのネタなんだろうな。
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誰かに代わって謝罪を請け負う、という商売を始めた主要人物の四人が最後まで自分の為だけに行動するあたりは皮肉なんだろうか。これは彼らを厄介な状況に追い込み危害すら加える「理不尽」を体現したかのような人物にも共通している。
皆が利己的に振る舞い結果的に自滅し誰一人救われない。読後感はすこぶる苦い。
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4人の若者が立ち上げた謝罪代行社。
依頼人に代わって謝罪に赴いた先で待っていたのは女性の死体だった。
依頼人の正体、4人を見張る人物、過去の児童虐待と謎は多いのだけど、その分殺人犯の正体と動機という一番根っこにあるものが埋もれてしまって読み終わったあとすっきりしないというか。
これでもかと言うぐらいねちっこい人物描写が折り重なってラストに描かれる真実は、緊迫感もあるし怖さもあるんだけど、はっきりとした形を持たないのでどう消化していいのか悩むところではある。
これは読み手の自分が未熟なだけだけど。
ラストに宗教観が唐突に出てきたのも馴染めなく、だったら最初から犯人は狂信者の態をとっていて欲しかったり。
面白くないのかと言われればそうではないし、でもなんか釈然としない1冊だった。
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まず「SORRY」という原題を「謝罪代行社」と訳出したセンスが光る。タイトルだけで読んでみたいという向きが少なからずいるだろう。斯く言う私もその1人である。しかしですね、「謝罪代行社」という標題はそれ自体はいいいのだけれど、「名が体を表わしていない」のである。そういうわけで、読後に「なんじゃ、こりゃ」と思ってしまう向きも少なからずいるだろう。斯く言う私もその1人である。でも、これ「このミス」あたりではトップテンに入ってくるんだろうなあ。うーん、微妙なところだ。
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他人に代わって謝罪する会社を起こす4人組、突飛な設定な割に会社自体のエピソードがほとんどなく、終盤にさしかかるまでもっとこの設定を活かすようなエピソードは入れられなかったのかとずっと思っていた。
でもまあ犯人の動機がそういうことならしょうがない、というかここは著者のメッセージでもあるようにも感じた。
結局全体を見渡すと、思いあがった4人組が狂人に難癖つけられて、あげくの果てに第3者の逆恨みまで引き受けさせられて消化不良の解決を迎えるという、何とも踏んだり蹴ったりなだけの物語。
「おまえ」とか「現場にいなかった男」とか思わせぶりな幕間があり、後半で視界が開けることを期待するのだが、これがまた残念。ミステリ性は非常に乏しい。
■このミス2012海外17位
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このミスの紹介文で面白そうだったので、読んでみたんですが、ミステリーとしはちょっと残念でした。
いろいろ展開があるのかと思ったら、正直あらすじ以上の事は無く、結局何が焦点だったんでしょう。
これ文庫本でも出てたんですね。後で気が付いて、しまったと思ったんですが、値段は変わらないんですね。
ポケミスを初めて読んだんですが、なぜか学校の図書室の本を思い出して、懐かしい気がしました。
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どきどきした。内容は思いの外、残酷な話。わたし、お前とは誰なのかなかなかわからなかった。特にわたしが意外でした。面白い作品。
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依頼人に代わって謝罪する仕事を始めた4人が殺人事件に巻き込まれる・・・
三人称視点で描かれる謝罪代行社の4人の話を中心に、一人称視点の「わたし」のエピソードと二人称視点の「おまえ」のエピソードが挿入され、さらに中盤以降は「現場にいなかった男」のエピソードも追加される。
加えて「あいだで起きたこと」「以後におきたこと」「以前に起きたこと」と、各エピソードの時間軸が異なるなど、入り口は申し分なし。
最後まで「わたし」については気づけず、最後のどんでん返しも悪くない。
ただ入り口から最後の結末までに至る過程で、「謝罪代行社である意味」「死体に謝罪させる意味」「事件の発端」等々、満足できない事も多々。。。
どっぷりハマる程ではないにしても、決して悪くはなかったので、もう少しタイトルとなっている「謝罪代行社」として、作品全体としても、事件内でも意味を訴えかけて欲しかった。
そこが残念。