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不動産と株式に関する税務上の時価の考え方を過去の裁決事例を元ネタに記載されている。争いになるのは、相続税法7条「著しく低い価額」と「時価」の解釈だろう。それに付随して、所得税法59条「時価の2分の1未満の譲渡の場合は、時価に引き上げて譲渡所得課税が行われる」とする解釈も問題となる。引用している税法規定は少ないけれど、規定自体があいまいで解釈の仕方が難しい。
不動産の譲渡では、相続税評価額で行われても客観的交換価値によるものとは言えず、通常な取引価額が時価とされている。一方、株式の譲渡では、相続税評価額が取引時の時価とされている点、異なる。それは、不動産の相続税評価額が、公示価額(時価)の80%に減額されているからであろう。
同族株主以外の株主等が取得した株式については、配当期待権しかないため、特例的評価として、配当還元方式により株式の価額を算定する。同族株主間では、原則的評価である類似業種比準価額、純資産価額により株式の価額を算定する。まれに、大分地裁判決に見られるように、取引事例による評価が裁判所で認められた事例もある。
発行法人に自己株式を譲渡した場合のみなし配当と既存株主への贈与の問題など勉強になった。